PC操作で「ファイル名を指定して実行」の画面をどこで出すか迷った経験はありませんか。
便利なショートカットキーを知っていても、いざという時に思い出せないこともあります。Windows11への移行で、さらに場所が分からなくなった方もいるかもしれません。
この記事では、基本的な使い方から、よく使うコマンドの実行までを網羅的に解説します。Webサイトを直接開いたり、管理者権限でプログラムを起動する応用的な方法も紹介します。
また、スタートメニューに表示されない、つまり「ない」という状況の具体的な対処法も説明します。気になる実行履歴の削除手順や、英語OSでの表示の違いについても触れていきます。
- ファイル名を指定して実行の基本的な起動方法と使い方がわかる
- 業務効率を上げる便利なコマンド一覧を学べる
- 管理者権限での実行や履歴削除などの応用技が身につく
- 表示されないなどのトラブル解決法が理解できる
「ファイル名を指定して実行」の基本と便利なコマンド一覧
- ショートカットキーですばやく起動する方法
- ファイル名を指定して実行はどこにある?
- まずは覚えたい基本的なコマンド一覧
- webサイトを直接開く便利な使い方
- 気になる履歴を削除する具体的な手順
- 英語OSでの名称とコマンド入力の注意点
ショートカットキーですばやく起動する方法
WindowsのPC操作を効率化する上で、「ファイル名を指定して実行」ダイアログボックスの起動は基本中の基本です。最も速く、そしてスマートにこの機能を呼び出す方法は、キーボードのショートカットキーを利用することです。具体的には、キーボードの「Windows」キーを押しながら「R」キーを押します。この操作により、マウスに手を伸ばすことなく、瞬時にダイアログボックスを開くことができます。
この「Windows + R」という組み合わせは、ほとんどのWindowsバージョンで共通して利用できるため、一度覚えてしまえば長く活用できる知識となります。プログラマーやシステムエンジニアなど、PC操作の速度が生産性に直結する職業の方々にとっては、必須のショートカットキーと言えるでしょう。
ショートカットキー以外の起動方法
ショートカットキーが何らかの理由で使えない、あるいは忘れてしまった場合でも心配は不要です。以下の方法でも「ファイル名を指定して実行」を起動させることが可能です。
1. スタートメニューから起動する
Windowsのバージョンによって多少異なりますが、スタートボタンを右クリックすると表示されるメニューの中に「ファイル名を指定して実行」が含まれています。特にWindows 10や11では、この方法が直感的で分かりやすいかもしれません。マウス操作が主になりますが、確実な方法の一つです。
2. タスクマネージャーから起動する
少し上級者向けの方法ですが、タスクマネージャーからも起動できます。「Ctrl」+「Shift」+「Esc」キーを同時に押してタスクマネージャーを開きます。その後、上部のメニューから「ファイル」を選択し、「新しいタスクの実行」をクリックすると、「ファイル名を指定して実行」とほぼ同等の機能を持つダイアログが表示されます。
これらの方法を知っておくことで、キーボードの故障時や、特定のアプリケーションがキー入力を阻害している状況でも、柔軟に対応できるようになります。しかし、日常的な利用においては、やはり「Windows + R」のショートカットキーが最も迅速であり、習得しておくことを強く推奨します。
ファイル名を指定して実行はどこにある?
「ファイル名を指定して実行」は非常に便利な機能ですが、PCに不慣れな方にとっては、そもそもその存在や場所が分からないというケースも少なくありません。「どこにあるの?」という疑問は、多くの初心者が最初に抱くものです。ここでは、主要なWindowsのバージョンごとに、その場所を具体的に解説します。
Windows 11の場合
最新のWindows 11では、ユーザーインターフェースが刷新され、スタートメニューのデザインも大きく変更されました。Windows 11で「ファイル名を指定して実行」を見つけるには、以下の手順が有効です。
まず、タスクバーの中央(または左端)にあるスタートボタンを右クリックします。すると、システム関連の機能へアクセスするためのメニューが表示され、そのリストの中に「ファイル名を指定して実行」という項目を確認できます。クリックすれば、おなじみのダイアログボックスが起動します。
あるいは、スタートボタンをクリックしてスタートメニューを開き、上部にある検索ボックスに「ファイル名を指定して実行」または単に「run」と入力して検索する方法も簡単です。検索結果に表示されたアイコンをクリックするだけで起動できます。
Windows 10の場合
Windows 10でも、基本的な探し方はWindows 11とよく似ています。タスクバー左端のスタートボタンを右クリックすると、同様のシステムメニューが表示され、そこに「ファイル名を指定して実行」があります。この方法は、Windows 10に慣れ親しんだユーザーにとっては最も手早いアクセス手段でしょう。
また、スタートメニューのアプリ一覧から探す方法もあります。スタートボタンをクリックし、アプリ一覧をスクロールしていくと、「W」の項目に「Windows システム ツール」というフォルダがあります。このフォルダを展開すると、その中に「ファイル名を指定して実行」のショートカットが格納されています。
「ファイル名を指定して実行」が見つからない、という場合は、後述する「スタートメニューに表示されない時の対処法」のセクションをご確認ください。システムのポリシー設定によって非表示にされている可能性があります。
いずれのOSバージョンにおいても、ショートカットキー「Windows + R」が最も素早い起動方法であることに変わりはありません。しかし、その機能がOS上のどこに位置しているのかを一度確認しておくことで、Windowsというシステムへの理解がより一層深まるはずです。
まずは覚えたい基本的なコマンド一覧
「ファイル名を指定して実行」の真価は、様々な「コマンド」を入力して、Windowsの機能やアプリケーションを直接起動できる点にあります。マウスでアイコンを探して何回もクリックする代わりに、短いコマンドを打ち込むだけで目的のツールを瞬時に開けます。ここでは、PC作業の効率を上げるために、まず覚えておきたい基本的なコマンドをいくつか紹介します。
これらのコマンドは、Windowsに標準でインストールされているツールを呼び出すためのものです。覚えておくと、日常のちょっとした作業が格段にスムーズになります。
コマンド | 起動するプログラム | 主な用途 |
---|---|---|
notepad | メモ帳 | テキストファイルの作成・編集、一時的なメモ取り |
calc | 電卓 | 簡単な計算から関数計算まで |
mspaint | ペイント | 簡単な画像の作成・編集、スクリーンショットの加工 |
cmd | コマンドプロンプト | より高度なコマンド操作、PCの診断など |
explorer | エクスプローラー | ファイルやフォルダーの管理・閲覧 |
control | コントロールパネル | PCの各種設定(古い設定項目へのアクセス) |
osk | スクリーンキーボード | 物理キーボードが使えない時に画面上で文字入力 |
コマンド利用のメリット
コマンドを利用する最大のメリットは、作業のスピードアップです。例えば、「電卓を使いたい」と思った時、スタートメニューから探すよりも、「Windows + R」を押して「calc」と入力しEnterキーを押す方が、圧倒的に速く起動できます。この小さな時間短縮の積み重ねが、一日を通してみると大きな差になるのです。
最初はコマンドを覚えるのが少し大変に感じるかもしれません。しかし、ここに挙げたような使用頻度の高いものから少しずつ使っていくうちに、自然と指が覚えていくでしょう。まずは「notepad」と「calc」あたりから、日々の業務や作業に取り入れてみることをお勧めします。
webサイトを直接開く便利な使い方
「ファイル名を指定して実行」の機能は、PC内にインストールされたアプリケーションを起動するだけにとどまりません。実は、インターネット上のwebサイトを直接開くという、非常に便利な使い方も可能です。この方法を使えば、わざわざブラウザのアイコンをクリックして新しいウィンドウを開き、アドレスバーにURLを入力する、という一連の手順を大幅に短縮できます。
やり方は驚くほど簡単です。「Windows + R」でダイアログボックスを開いたら、入力欄に見たいウェブサイトのURLを直接入力してEnterキーを押すだけです。例えば、Googleのトップページを開きたい場合は、以下のように入力します。
https://www.google.com
または
www.google.com
「https://」の部分は省略しても、多くの場合Windowsが自動的に判断して既定のウェブブラウザでページを開いてくれます。これにより、ブックマークに登録していないサイトや、メールで送られてきたURLを素早く確認したい場合などに、非常にスムーズなブラウジングが実現します。
この機能は、特定のウェブサービスを頻繁に利用する方にとっても有効です。例えば、社内の勤怠管理システムや、よく使うプロジェクト管理ツールのURLを入力する癖をつければ、日々の業務開始がよりスピーディーになるでしょう。コマンドによるアプリ起動と合わせて、このURL直接入力もマスターすることで、「ファイル名を指定して実行」をさらに強力な効率化ツールとして活用できます。
注意点
入力したURLに誤りがあると、当然ながらページは表示されずエラーとなります。また、PCにインストールされている既定のブラウザ(Edge, Chrome, Firefoxなど)でページが開かれるため、特定のブラウザで見たい場合は、あらかじめ既定のブラウザ設定を変更しておく必要があります。
気になる履歴を削除する具体的な手順
「ファイル名を指定して実行」は便利な反面、過去に入力したコマンドが履歴として残るため、プライバシーが気になる場面や、入力ミスしたコマンドがリストに残るのが煩わしいと感じることもあります。特に共用のPCを使っている場合、作業内容の履歴を他人に見られたくないと考えるのは自然なことです。ここでは、その実行履歴を削除するための具体的な手順を解説します。
残念ながら、通常のWindowsの設定画面には、この履歴を簡単に削除するオプションが用意されていません。そのため、「レジストリエディタ」という、Windowsのシステム設定を直接編集するためのツールを使用する必要があります。
レジストリ操作の重要注意点
レジストリはWindowsの動作の根幹に関わる非常にデリケートな部分です。操作を誤ると、最悪の場合、Windowsが起動しなくなるなどの深刻なトラブルを引き起こす可能性があります。以下の手順を行う際は、細心の注意を払い、必ず自己責任で実行してください。不安な方は、操作前にシステムの復元ポイントを作成しておくことを強く推奨します。
履歴削除の手順
1. レジストリエディタの起動
まず、「ファイル名を指定して実行」(Windows + R)を開き、「regedit」と入力してEnterキーを押し、レジストリエディタを起動します。ユーザーアカウント制御の警告が表示されたら「はい」をクリックします。
2. 該当キーへの移動
レジストリエディタの画面左側のツリーを辿り、以下の場所まで移動します。アドレスバーに直接パスをコピー&ペーストすることも可能です。
HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Explorer\RunMRU
3. 履歴データの削除
「RunMRU」キーを選択すると、画面右側に過去に実行したコマンドの履歴が一覧で表示されます。これらの値(a, b, c… といった名前の付いたエントリ)が履歴の実体です。「MRUList」という値を除き、削除したい履歴に対応するアルファベットのエントリを右クリックして「削除」を選択します。すべての履歴を消したい場合は、「MRUList」以外のエントリをすべて選択して削除してください。
4. 確認
レジストリエディタを閉じた後、再度「ファイル名を指定して実行」を開いてみましょう。ドロップダウンリストから、先ほど削除した履歴が消えていることが確認できるはずです。
この手順は少し複雑でリスクも伴いますが、一度覚えてしまえば、不要な履歴をクリーンに保つことができます。操作は慎重に行いましょう。
英語OSでの名称とコマンド入力の注意点
グローバルなビジネス環境や、海外製のソフトウェア開発に携わっていると、英語バージョンのWindowsを使用する機会があります。その際、日本語環境とはいくつかの点で異なる部分があり、戸惑うことがあるかもしれません。「ファイル名を指定して実行」もその一つです。
英語OSでの名称は「Run」
まず最も基本的な違いとして、機能の名称が異なります。日本語OSで「ファイル名を指定して実行」と呼ばれている機能は、英語OSではシンプルに「Run」と呼ばれています。そのため、スタートメニューを右クリックした際に表示される項目も「Run」となります。同様に、スタートメニューで検索する際も「run」と入力することで見つけることができます。
ショートカットキーの「Windows + R」は、言語設定に関わらず万国共通なので、これを覚えておけば言語環境の違いを意識する必要はほとんどありません。
コマンド入力は基本的に共通
幸いなことに、「notepad」や「calc」、「cmd」といった、プログラム本体を直接呼び出すコマンドのほとんどは、OSの言語に関係なく共通で利用できます。アプリケーションの実行ファイル名(.exe)は言語によって変わることがないためです。
しかし、いくつかの点で注意が必要です。
環境変数とフォルダ名
システムが利用するフォルダ名が言語によって異なる場合があります。例えば、日本語OSでは「ドキュメント」フォルダですが、英語OSでは「Documents」となります。`%USERPROFILE%`のような環境変数を使えばある程度吸収できますが、パスを直接指定するようなコマンドを実行する際は、英語のフォルダ名を意識する必要があります。
コマンドの出力メッセージ
`cmd`(コマンドプロンプト)などでコマンドを実行した際に表示されるメッセージやエラー内容は、当然ながらOSの言語設定に依存します。英語OSであれば、すべての出力が英語で表示されるため、エラー内容を読み解く際には英語の知識が求められます。
これらの違いを理解しておくことで、異なる言語環境のWindowsでもスムーズに作業を進めることができます。特に、海外の技術情報を参考にする際には、コマンドの実行結果が英語で示されていることが多いため、慣れておくと非常に役立ちます。
上級者向け|ファイル名を指定して実行の応用テクニックとトラブル解決法
- スタートメニューに表示されない時の対処法
- 管理者権限でコマンドを実行するには?
- windows11での起動方法と主な変更点
- 仕事が捗るよく使うコマンド厳選リスト
- 総括:ファイル名を指定して実行を使いこなそう
スタートメニューに表示されない時の対処法
普段当たり前のように使っている「ファイル名を指定して実行」が、ある日突然スタートメニューの右クリックメニューなどから消えてしまい、「ない」状態になって慌てた経験はありませんか。この現象は、多くの場合、意図しない設定変更や、組織のIT管理者によるセキュリティポリシーが原因です。
ショートカットキー「Windows + R」が機能するうちはまだ良いですが、それすら無効化されている場合もあります。ここでは、そのように機能が非表示・無効化された際の対処法を、原因別に解説していきます。
これから紹介する方法は、Windowsのシステム設定を変更するものです。特に会社のPCなど、管理されている環境で設定を無断で変更すると、セキュリティポリシーに違反する可能性があります。操作は自己責任で行い、不明な点はシステム管理者に確認してください。
原因1:グループポリシーによる制限
企業や学校などで使われるPCでは、管理者が「グループポリシー」を用いて、ユーザーが利用できる機能を制限していることがよくあります。この設定を確認・変更するには「グループポリシーエディター」を使用します。(WindowsのHomeエディションでは使用できません)
確認手順
1. 「ファイル名を指定して実行」で「gpedit.msc」と入力し、グループポリシーエディターを起動します。
2. 左側のツリーから、以下の順に展開します。
`[ユーザーの構成] → [管理用テンプレート] → [スタート メニューとタスク バー]`
3. 右側の一覧から「[スタート] メニューから [ファイル名を指定して実行] コマンドを削除する」という項目を探し、ダブルクリックします。
4. 設定画面で「未構成」または「無効」にチェックが入っていれば正常です。「有効」になっている場合は、これが原因で機能が非表示になっています。管理者に許可されている場合のみ、これを「無効」に変更して「OK」をクリックします。
原因2:レジストリによる制限
グループポリシーと同様の設定は、レジストリを直接編集することでも可能です。何らかのソフトウェアのインストールや設定変更によって、意図せずこの値が書き換わってしまうこともあります。
確認手順
1. 「ファイル名を指定して実行」で「regedit」と入力し、レジストリエディタを起動します。
2. 左側のツリーから、以下のキーに移動します。
`HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Policies\Explorer`
3. 右側の画面に「NoRun」という名前の値がないか確認します。もし存在し、そのデータが「1」になっている場合、機能が無効化されています。
4. 「NoRun」を右クリックして削除するか、ダブルクリックして値を「0」に変更します。変更後はPCを再起動すると設定が反映されます。
これらの方法を試しても解決しない場合は、システムファイルが破損しているなど、より深刻な問題が隠れている可能性も考えられます。その際は、システムの復元やOSの修復インストールなどを検討する必要があります。
管理者権限でコマンドを実行するには?
「ファイル名を指定して実行」から起動するコマンドは、通常、現在ログインしているユーザーの権限で実行されます。しかし、システムの重要な設定を変更したり、特定のアプリケーションをインストールしたりする際には、「管理者権限」での実行が必要になる場面が多々あります。
しかし、残念ながら「ファイル名を指定して実行」のダイアログボックスには、管理者権限で実行するためのチェックボックスのような直接的な機能は備わっていません。では、どうすればよいのでしょうか。ここでは、管理者権限でコマンドを実行するための、いくつかのスマートな方法を紹介します。
方法1:タスクマネージャーを利用する(推奨)
最も簡単で安全な方法は、タスクマネージャーを経由することです。この方法なら、どんなコマンドでも管理者として実行できます。
手順
1. キーボードで「Ctrl」+「Shift」+「Esc」を同時に押し、タスクマネージャーを起動します。
2. タスクマネージャーのウィンドウ上部にある「ファイル」メニューをクリックし、「新しいタスクの実行」を選択します。
3. 「新しいタスクの作成」というダイアログボックスが表示されます。これは「ファイル名を指定して実行」とほぼ同じ見た目です。
4. 実行したいコマンド(例:「cmd」)を入力し、その下にある「このタスクに管理者特権を付与して作成します。」というチェックボックスにチェックを入れます。
5. 「OK」をクリックすると、指定したコマンドが管理者権限で実行されます。
この方法は、GUIで視覚的に確認しながら操作できるため、コマンド操作に不慣れな方でもミスが少なく、最もおすすめできる手段です。
方法2:検索機能から直接管理者として実行する
`cmd`(コマンドプロンプト)や`powershell`といった、頻繁に管理者権限で使うアプリケーションの場合は、もっと直接的な方法があります。
手順
1. スタートメニューまたはタスクバーの検索ボックスに、実行したいプログラム名(例:「cmd」)を入力します。
2. 検索結果に表示された「コマンドプロンプト」のアイコンの上で右クリックします。
3. 表示されたメニューから「管理者として実行」を選択します。
この方法で起動したコマンドプロンプトやPowerShellのウィンドウ内では、後から実行する全てのコマンドが管理者権限を持つことになります。システムの設定変更など、連続して管理者権限が必要な作業を行う際に便利です。
これらのテクニックを使い分けることで、Windowsのメンテナンスやトラブルシューティングをより効率的かつ安全に行うことができます。
windows11での起動方法と主な変更点
Windows 11は、Microsoftが提供する最新のオペレーティングシステムであり、UIデザインや機能面に多くの変更が加えられました。長年Windows 10に慣れ親しんだユーザーの中には、こうした変化に戸惑う方もいるかもしれません。ここでは、Windows 11における「ファイル名を指定して実行」の扱いや、注目すべき変更点について解説します。
起動方法は従来通りで安心
まず最も重要な点として、基本的な起動方法はWindows 10から一切変更されていません。キーボードショートカットの「Windows + R」は、Windows 11でも健在です。また、タスクバーのスタートボタンを右クリックして表示されるメニュー(通称:クイックリンクメニュー)からも、これまで通り「ファイル名を指定して実行」を選択できます。
UIのデザインは新しくなっていますが、基本的な操作感は維持されているため、既存のユーザーが使い方を改めて学び直す必要はほとんどないでしょう。
UIデザインの変更点
Windows 11のダイアログボックスは、角が丸みを帯びたデザイン(Rounded Corners)に変更され、全体的にモダンで柔らかな印象を与えます。機能自体に差はありませんが、視覚的な変化に気づくはずです。
注目すべき新機能:「Windows Terminal」との連携
Windows 11における大きな進化点の一つが、新しいコマンドラインツール「Windows Terminal」の標準搭載です。これは、従来のコマンドプロンプトやPowerShell、さらにはWSL(Windows Subsystem for Linux)などを、一つのウィンドウ内でタブ化して管理できる非常に強力なツールです。
そして、「ファイル名を指定して実行」から、このWindows Terminalを簡単に呼び出すことができます。
コマンド: wt
この`wt`という短いコマンドを入力するだけで、モダンで高機能なWindows Terminalが起動します。これは、従来の`cmd`や`powershell`コマンドの、いわば後継とも言える使い方です。
さらに、引数を与えることで、特定のプロファイルで起動することも可能です。
- `wt cmd` : コマンドプロンプトのタブを開く
- `wt powershell` : PowerShellのタブを開く
- `wt ; split-pane -p “Command Prompt”` : ウィンドウを分割してコマンドプロンプトを開く
このように、Windows 11では「ファイル名を指定して実行」が新しいWindows Terminalとシームレスに連携することで、開発者やパワーユーザーにとっての利便性が格段に向上しています。単なるランチャーとしてだけでなく、より高度な作業への入り口としての役割が強化されたと言えるでしょう。
仕事が捗るよく使うコマンド厳選リスト
基本的なコマンドをマスターしたら、次は一歩進んで、PCのシステム管理や設定変更を劇的に効率化する、中〜上級者向けのコマンドを覚えてみましょう。これらのコマンドは、コントロールパネルの奥深くにある設定項目や、通常は複数のステップを踏まないと開けない管理ツールを、一発で呼び出すことができます。
IT担当者や、PCのパフォーマンスを常に最適化したいパワーユーザーにとって、これから紹介するコマンドはまさに「魔法の呪文」となるはずです。カテゴリ別に整理しましたので、ご自身の用途に合わせて活用してください。
コマンド | 起動するツールや設定画面 | 主な用途 |
---|---|---|
msconfig | システム構成 | PCの起動モード変更、スタートアップアプリの管理 |
services.msc | サービス | バックグラウンドで動作するサービスの開始・停止・管理 |
regedit | レジストリエディター | Windowsのシステム設定情報の直接編集(上級者向け) |
msinfo32 | システム情報 | PCのハードウェア構成やソフトウェア環境の詳細確認 |
eventvwr.msc | イベントビューアー | システムエラーやセキュリティログの確認、トラブル解決 |
resmon | リソースモニター | CPU、メモリ、ディスク、ネットワークの使用状況を詳細に監視 |
コマンド | 起動するツールや設定画面 | 主な用途 |
---|---|---|
devmgmt.msc | デバイスマネージャー | 接続されているハードウェアの確認、ドライバーの更新・削除 |
diskmgmt.msc | ディスクの管理 | ハードディスクのパーティション分割・フォーマット |
dfrgui | ドライブのデフラグと最適化 | ディスクの断片化を解消し、パフォーマンスを改善 |
ncpa.cpl | ネットワーク接続 | ネットワークアダプターの設定変更、IPアドレスの確認 |
firewall.cpl | Windows Defender ファイアウォール | 通信の許可・ブロックルールの設定 |
main.cpl | マウスのプロパティ | ポインターの速度やダブルクリック速度の調整 |
timedate.cpl | 日付と時刻 | PCの日付、時刻、タイムゾーンの設定 |
コマンドの末尾にある「.msc」や「.cpl」は、それぞれ「Microsoft Management Console」「Control Panel Item」の略です。これらは、Windowsの管理ツールやコントロールパネルの項目を直接呼び出すための拡張子です。
これらのコマンドをすべて暗記する必要はありません。まずは、ご自身の業務で頻繁にアクセスする設定項目に対応するコマンドから覚えて、少しずつレパートリーを増やしていくのが良いでしょう。よく使うものを付箋に書いてモニターに貼っておくのも有効な方法です。これらのコマンドを使いこなせれば、PC操作の熟練度が一段階上がり、日々の作業がより快適になることをお約束します。
総括:ファイル名を指定して実行を使いこなそう
この記事では、「ファイル名を指定して実行」の基本的な使い方から、作業効率を飛躍的に向上させる応用テクニックまで、幅広く解説してきました。最後に、本記事の重要なポイントをリスト形式で振り返ります。
- 最も速い起動方法はショートカットキー「Windows + R」
- スタートボタンの右クリックメニューからも起動できる
- notepadやcalcなど基本的なコマンドでツールを即座に開ける
- URLを直接入力すれば既定のブラウザでWebサイトを開ける
- 実行履歴はレジストリエディタ(regedit)から削除可能
- 英語OSでの名称は「Run」だがショートカットは共通
- メニューに表示されない場合はポリシーやレジストリの設定を確認
- 管理者権限での実行はタスクマネージャー経由が安全で確実
- Windows11では新しい「Windows Terminal(wt)」との連携が強力
- msconfigでPCの起動オプションを管理できる
- ncpa.cplでネットワーク設定画面に素早くアクセス可能
- devmgmt.mscでデバイスマネージャーを直接開ける
- コマンドを使いこなすことはマウス操作の回数を減らすことに繋がる
- PCのトラブルシューティングにも役立つ知識となる
- 日々のPC操作を高速化し生産性を高めるための第一歩になる
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