子犬の愛らしい甘噛みも、成犬になっても続く噛み癖も、どうしつけたら良いのか悩んでしまうことがありますよね。
そのお気持ち、とてもよく分かります。
この記事では、初心者の方に向けて、犬が人や物を噛む原因を子犬・成犬別に解説し、具体的なしつけのやり方を5つのステップでご紹介します。
この記事を読むことで、噛む理由への理解が深まり、愛犬との信頼関係を大切にしながら正しい方法でトレーニングを進めるヒントが見つかります。
問題行動の改善に向けて、一緒に取り組んでいきましょう。

甘噛みがひどくて、どうしつけたらいいのか分からない…

そのお悩み、よく分かります。この記事で具体的な原因と正しい対処法を学びましょう
- 犬が人や物を噛むさまざまな理由
- 初心者にもできる正しいしつけの基本ステップ
- 子犬の甘噛みや成犬の噛み癖への対処法と注意点
- しつけを始めるのに適した時期と信頼関係の大切さ
犬が噛む行動の背景にあるさまざまな要因
- 子犬特有の甘噛みの理由 歯の生え変わりと遊び心
- 成犬に見られる噛み癖 要求やストレスのサイン
- 恐怖心や警戒心からの防衛的な噛みつき
- 遊びがエスカレートした時の興奮による噛み行動
- 縄張り意識や所有欲からくる威嚇とその対処法
- 過去の経験に基づく学習された噛み癖の理解
- 体の不調や痛みが原因の可能性と見極め方
- 噛む状況の観察 どんな時に噛むかの記録
犬が噛む行動にはさまざまな理由があることを理解することが、適切な対処の第一歩です。
この見出しでは、子犬特有の甘噛みから成犬の噛み癖、恐怖心や興奮、縄張り意識、過去の経験、体の不調といった多様な要因、そして噛む状況を観察することの重要性について解説していきます。
愛犬がなぜ噛むのか、その背景にある気持ちや状況を具体的に知ることで、効果的なしつけにつなげていきましょう。
子犬特有の甘噛みの理由 歯の生え変わりと遊び心
甘噛みとは、子犬がじゃれたり遊んだりする中で、加減せずに噛んでしまう行動を指します。
生後4ヶ月から6ヶ月頃は、乳歯から永久歯へと歯が生え変わる時期にあたり、口の中にむずがゆさを感じやすくなります。
この不快感を解消しようと、手近なもの、時には飼い主さんの手や足に噛みついてしまうのです。
また、子犬にとって噛むことは、兄弟犬とじゃれ合うような遊びの一環でもあります。
どのくらいの力で噛んだら相手が痛いのか、まだ加減が分からないため、つい強く噛んでしまうことも少なくありません。

うちの子、最近やたらと手をカミカミしてくるのは、歯がかゆいのかな?

その可能性が高いですね。遊びたい気持ちも相まって、つい噛んでしまう時期なんです
子犬の甘噛みは成長過程で見られる自然な行動ですが、放置せず、早い段階で「人の手は噛んではいけないもの」と教えるしつけが重要になります。
成犬に見られる噛み癖 要求やストレスのサイン
成犬になっても噛む行動が見られる場合、それは子犬の甘噛みとは異なる理由が隠されていることが多いです。
例えば、「もっと遊んでほしい」「おやつがほしい」といった要求を通すために、飼い主さんの注意を引こうとして噛むことがあります。
あるいは、お留守番の時間が長かったり、運動不足だったり、引っ越しなどで生活環境が変わったりすることによるストレスや不安が原因で、物を破壊したり、人を噛んでしまったりするケースも考えられます。
状況 | 考えられる理由 |
---|---|
飼い主の手や服を軽く噛む | かまってほしい、遊びたい(要求) |
家具やスリッパを破壊する | 退屈、運動不足(ストレス) |
特定の状況で突然噛みつく | 環境変化への不安、分離不安(ストレス) |
要求吠えと一緒に噛みつく | 要求を通したい |
成犬の噛み癖には、犬からの何らかのサインが込められています。
そのサインを読み取り、要求を満たしてあげたり、ストレスの原因を取り除いたりするアプローチが大切です。
恐怖心や警戒心からの防衛的な噛みつき
防衛的な噛みつきとは、犬が自分自身や自分のテリトリーを守るために、恐怖や強い警戒心から相手を攻撃する行動です。
過去に怖い思いをした経験がある犬や、知らない人や他の犬に対して元々臆病な性格の犬は、恐怖を感じると「これ以上近づかないで!」というサインとして噛みつくことがあります。
特に、逃げ場がないと感じる状況、例えば狭い場所に追い詰められたり、急に触られたりすると、パニックになって防衛的に噛んでしまう可能性が高まります。
インターホンが鳴った時に激しく吠えながらドアに突進する、散歩中に他の犬や人に遭遇すると唸って噛みつこうとするなどの行動も、強い警戒心の表れと考えられます。
恐怖心や警戒心からくる噛みつきに対しては、犬を怖がらせる原因を特定し、安心できる環境を整え、無理に近づいたりせず徐々に慣らしていく対応が求められます。
遊びがエスカレートした時の興奮による噛み行動
大好きな飼い主さんとの遊びは、犬にとって非常に楽しい時間です。
しかし、その楽しさゆえに興奮しすぎてしまい、我を忘れて強く噛んでしまうことがあります。
特に、引っ張り合いっこや追いかけっこのように、動きが激しくなる遊びではアドレナリンが放出されやすく、遊びの延長で本気で噛んでしまうケースが見られます。
最初は軽く噛んでいたのに、だんだん力が強くなってくる、遊びをやめようとすると唸って抵抗する、といった様子が見られたら、興奮が高まっているサインです。

遊んであげると喜ぶけど、どんどん激しくなって最後はガブッて…どうしたらいいの?

興奮しすぎる前に、こまめに休憩を入れたり、落ち着かせる指示を出したりするのが効果的ですよ
遊びによる興奮が原因の噛みつきを防ぐには、遊びのルールを決め、犬が興奮しすぎる前にクールダウンさせる工夫が必要です。
縄張り意識や所有欲からくる威嚇とその対処法
縄張り意識(テリトリー意識)や所有欲(特定のものに対する執着)は、犬が本来持っている本能的なものです。
自分の大切な場所や物を守ろうとする気持ちが、威嚇や噛みつき行動につながることがあります。
来客に対して激しく吠えたり、配達員さんに噛みつこうとしたりするのは、縄張りを守ろうとする行動の一例です。
また、お気に入りのおもちゃや食べ物、あるいは寝床などを誰かに取られそうだと感じた時に、唸ったり噛みついたりして所有権を主張することもあります。
これは、飼い主さんに対しても起こりうる行動です。
「これはボクのだ!」という強い気持ちが働いている状態といえます。
状況 | 対処法 |
---|---|
来客に吠える・噛みつこうとする | クレートや別室で待機させる、落ち着いて挨拶させる練習をする |
食事中に近づくと唸る・噛む | 手からフードを与える練習(一口給餌法)、安全な場所で食事させる |
おもちゃを取ろうとすると噛む | 「ちょうだい」のコマンドを教える、より魅力的な物と交換する |
縄張り意識や所有欲からくる噛みつきには、犬のテリトリーや所有物を尊重しつつ、人間社会のルールを教えるトレーニングが必要です。
特に食事やおもちゃに関する問題は、根気強い対応が求められます。
過去の経験に基づく学習された噛み癖の理解
犬は経験からさまざまなことを学びます。
もし過去に、「噛んだら嫌なことから逃れられた」「噛んだら要求が通った」という経験をしてしまうと、それが成功体験として記憶され、同じような状況で再び噛む行動を選択するようになります。
これを学習された噛み癖と呼びます。
例えば、ブラッシングを嫌がって噛んだら、飼い主さんがブラッシングをやめてしまった、という経験が繰り返されると、「嫌なことは噛めばやめてもらえる」と学習してしまうのです。
同様に、吠えたり噛んだりしたらおやつをもらえた、という経験も、要求吠えや要求噛みを強化してしまう原因となります。
学習によって身についてしまった噛み癖を直すには、「噛んでも良いことは何も起こらない」「噛まない方が良いことがある」という新しい経験を、根気強く積み重ねて教え直す必要があります。
体の不調や痛みが原因の可能性と見極め方
いつもはおとなしい犬が、急に特定の場所を触られるのを嫌がって唸ったり、噛みついたりするようになった場合、その背景に体の不調や痛みが隠れている可能性があります。
例えば、関節炎で足が痛い、歯周病で口の中が痛い、皮膚病でかゆみが強い、内臓疾患でお腹が痛いなど、さまざまな原因が考えられます。
高齢犬の場合は、認知機能の低下によって不安感が増し、それが噛みつき行動につながることもあります。
普段と違う様子が見られたら、注意が必要です。
チェックポイント | 具体的な行動例 |
---|---|
特定の部位を触ると嫌がる | 背中、お腹、足、口周りなどを触ると唸る、噛む、逃げる |
歩き方や動きに変化がある | 足を引きずる、階段を嫌がる、動きが鈍い |
食欲や元気がない | ご飯を残す、寝てばかりいる、遊びたがらない |
排泄に変化がある | トイレを失敗する、排泄時に痛がる |
性格が急に変わった | イライラしやすくなった、臆病になった |

最近、抱っこしようとすると嫌がるようになったんだけど、どこか痛いのかな?

急な変化は心配ですね。一度、動物病院で診てもらうことをおすすめします
犬の突然の攻撃的な行動の変化は、病気や怪我のサインである可能性も否定できません。
思い当たる節があれば、早めに動物病院を受診し、獣医師の診察を受けましょう。
噛む状況の観察 どんな時に噛むかの記録
愛犬の噛む行動を改善するためには、「いつ」「どこで」「誰に対して」「どんな状況で」「どのように」噛むのかを客観的に把握することが非常に重要です。
詳細な記録をつけることで、噛む行動の引き金(トリガー)となっているものや、そのパターンが見えてきます。
例えば、「夕食の準備中に、足元にまとわりついてきてズボンの裾を噛む」「散歩中に他の犬を見かけると、興奮してリードを噛む」「子どもが急に頭を撫でようとした時に、唸って歯を当てる」など、具体的な状況をメモしておきましょう。
記録する項目としては、日時、場所、噛む直前の状況、噛まれた対象(人、物)、犬の様子(興奮度、体の使い方)、噛んだ後の状況などをできるだけ詳しく書き留めます。

記録って、具体的にどんなことを書けばいいの?

日時、場所、噛む直前の出来事、誰(何)を噛んだか、どんな風に噛んだか、その後の様子などをメモすると、原因究明や対策に役立ちますよ
噛む状況を冷静に観察し記録することは、問題の根本原因を突き止め、愛犬に合った効果的なしつけ方法や対策を見つけるための、不可欠なステップとなります。
子犬の甘噛みと成犬の噛み癖 正しいしつけの方法
- 基本ルール 人の手足や家具は噛まないことの徹底
- 「痛い」の一言と無視 正しい中断の合図とそのやり方
- 噛んでも良いおもちゃへの効果的な誘導方法
- 褒めるしつけのタイミングと具体的な方法
- 罰や体罰は逆効果 禁止されるしつけ行為
- 家族全員での一貫した対応の重要性
- 成犬の噛み癖 原因に応じたアプローチの違い
- 要求からくる噛み癖への対処法
- ストレスや不安が原因の場合の環境改善策
- 本気噛みが見られる場合の初期対応と注意点
愛犬が噛む行動に悩む飼い主さんは少なくありません。
特に子犬の時期の甘噛みや、それが続いてしまう成犬の噛み癖は、早めの対処が肝心です。
「どうして噛むの?」と不安になる気持ち、とてもよく分かります。
ここでは、子犬の甘噛みと成犬の噛み癖、それぞれのしつけにおける基本ルールから、具体的な中断の合図、おもちゃへの誘導方法、効果的な褒め方、絶対に避けたい禁止行為、そして家族全員での協力体制について詳しく解説します。
さらに、成犬の噛み癖については、原因に応じたアプローチや、本気噛みへの初期対応についても触れていきます。
正しい知識に基づいたやり方で、根気強くトレーニングを続けることで、愛犬とのより良い信頼関係を築きながら、噛む問題を解決していきましょう。
基本ルール 人の手足や家具は噛まないことの徹底
犬の噛むしつけで最も大切なのは、「人の手や足、家具などは絶対に噛んではいけない」という基本的なルールを犬に理解させることです。
子犬は遊びの中で、どれくらいの力で噛んだら相手が痛いのか、まだ分かっていません。
悪気なくじゃれているつもりでも、人間の皮膚は犬の歯で簡単に傷ついてしまいます。
甘噛みを「子犬だから仕方ない」と許していると、犬は「人の手を噛んでも良いんだ」と勘違いして学習してしまう可能性があります。
成犬になって力が強くなると、思わぬ怪我につながることもありますし、大切な家具がボロボロになってしまうことも避けたいですよね。
まず、「噛んで良いもの」と「噛んではいけないもの」の区別を、子犬のうちから一貫して教えることが、しつけのスタートラインになります。

どこまで許していいのか分からなくて…

まずは「これはダメ」というラインをはっきり示すことが大切です
最初にこのルールを根気強く教えることが、将来の噛み癖を防止するための重要な第一歩となるのです。
「痛い」の一言と無視 正しい中断の合図とそのやり方
子犬が手や足を噛んできた時、効果的なのが「遊びの中断」という合図です。
具体的には、噛まれた瞬間に低い、落ち着いた声で「痛い」と短く伝えます。
甲高い声や騒ぐような声は、犬を興奮させたり、「飼い主さんが喜んでいる」と勘違いさせたりする可能性があるため避けましょう。
「痛い」と伝えたら、すぐにその場で遊びを中断します。
犬に背中を向けて完全に無視する、あるいは静かにその場を立ち去るのが効果的です。
時間は数秒から長くても1分程度で構いません。
この行動によって、犬は「人の手を噛むと、楽しい遊びが終わってしまう」と学習していきます。
遊びが再開されたときにまた噛んだら、同じように中断と無視を繰り返します。

無視しても、すぐまたじゃれついて噛んでくるんです…

根気強く繰り返すことで、「噛むと遊んでもらえない」と学習していきますよ
この「痛い」の一言と無視の組み合わせは、罰を与えることなく、犬自身に「噛むのは良くないことだ」と考えさせるための正しいやり方です。
根気強く一貫して行いましょう。
噛んでも良いおもちゃへの効果的な誘導方法
犬には、もともと何かを噛むという欲求があります。
特に子犬の歯が生え変わる時期(生後4ヶ月~6ヶ月頃)は、口の中がむずがゆくなり、何かを噛みたがるものです。
この欲求を無理に抑えつけるのではなく、噛んでも良い代替品である「おもちゃ」に意識を向けさせることが重要です。
人の手を噛んできたら、「痛い」と言って遊びを中断した後、少し時間を置いてから、犬が好きそうなおもちゃを提示し、「これで遊ぼう」と誘ってみましょう。
ゴム製の知育トイ(中にフードを詰められるコングなど)や、歯固め用の硬めのガム、ロープ状のおもちゃなどがおすすめです。
犬の年齢や大きさ、好みに合わせて、安全で壊れにくい素材のものをいくつか用意してあげると良いでしょう。
おもちゃの種類 | 特徴・使い方例 |
---|---|
知育トイ(コング等) | 中にフードを詰め、遊びながら食べられる |
歯固めガム・おもちゃ | 噛む欲求を満たす、硬めの素材 |
ロープトイ | 引っ張りっこ遊び、飼い主との交流 |
ぬいぐるみ | 柔らかい感触、振り回して遊ぶ |

どんなおもちゃを選べばいいの?

愛犬の好みや成長段階に合わせて、いくつか試してみましょう
人の手や足、家具ではなく、おもちゃを噛むことは良いことだと教え、噛みたい欲求を安全に満たしてあげることが、甘噛みや噛み癖の対策として非常に効果的です。
褒めるしつけのタイミングと具体的な方法
犬のしつけにおいて、「褒める」ことは非常に効果的な方法です。
望ましい行動をした直後に褒めることで、犬はその行動が良いことだと学習し、繰り返すようになります。
噛み癖のしつけにおいては、「人の手を噛まずにいられた時」や「おもちゃを上手に噛んで遊んでいる時」が絶好の褒めるタイミングです。
具体的には、犬が良い行動をした瞬間に、「いい子!」「上手だね!」など、優しい声色で具体的に褒めてあげましょう。
同時に、頭や体を優しく撫でてあげるのも良いコミュニケーションになります。
さらに効果を高めたい場合は、小さくちぎったおやつをご褒美として与えるのも有効です。
ただし、おやつの与えすぎは肥満の原因にもなるため、量には注意が必要です。

褒めても、なかなか言うことを聞いてくれなくて…

褒めるタイミングが重要です。良い行動をした「直後」を逃さないようにしましょう
叱るのではなく、良い行動を積極的に見つけて褒めることで、犬は楽しくしつけを学ぶことができます。
これが、信頼関係を築きながら噛む行動をやめさせるためのポジティブなトレーニング方法です。
罰や体罰は逆効果 禁止されるしつけ行為
愛犬が噛んだ時、つい感情的に叱ってしまったり、体罰を与えてしまったりしたくなるかもしれませんが、罰や体罰を用いたしつけは絶対に避けるべきです。
叩く、蹴る、マズル(口吻)を強く掴む、大きな音で脅かすといった行為は、犬に恐怖心やストレスを与えるだけで、根本的な解決にはなりません。
罰を受けた犬は、飼い主に対して不信感を抱き、信頼関係が崩れてしまう可能性があります。
一時的に噛むのをやめたとしても、それは恐怖心から従っているだけであり、飼い主が見ていないところで問題行動を起こしたり、別の問題行動(過剰な吠え、破壊行動など)が現れたりすることもあります。
最悪の場合、恐怖心から自己防衛のために、さらに攻撃的になってしまう危険性すらあります。

ついカッとなって叱ってしまうことも…

気持ちは分かりますが、ぐっとこらえて正しい方法を続けましょう
犬のしつけは、恐怖で支配するのではなく、信頼関係に基づいて行うことが何よりも大切です。
「無視」と「褒める」を基本とした正しいやり方で、根気強く教えていきましょう。
家族全員での一貫した対応の重要性
犬のしつけを効果的に進めるためには、同居している家族全員が同じルールと方法で一貫した対応をとることが非常に重要です。
例えば、お父さんは甘噛みを許すけれど、お母さんは厳しく叱る、といったように、人によって対応がバラバラだと、犬は何が良くて何が悪いのか混乱してしまいます。
これでは、せっかくトレーニングをしてもなかなか学習が進みません。
しつけを始める前に、家族間で「噛まれた時の対応」「褒めるタイミング」「禁止事項」などについて話し合い、ルールを統一しておくことが大切です。
小さなお子さんがいる場合は、お子さんにも分かるように、なぜ噛んではいけないのか、どう対応すれば良いのかを具体的に教えてあげましょう。

家族で言うことが違うと、犬も混乱しちゃいますよね?

その通りです。みんなでルールを守ることが、しつけ成功への近道です
家族みんなで協力し、一貫した態度で犬と接すること。
これが、犬が安心してルールを学び、噛み癖を直していくための大切なポイントです。
成犬の噛み癖 原因に応じたアプローチの違い
子犬の甘噛みとは異なり、成犬の噛み癖には、より多様な原因が隠れていることが多いです。
そのため、なぜ噛むのか、その背景にある理由をしっかりと見極め、原因に合わせたアプローチをとることが重要になります。
成犬が噛む主な原因としては、「要求(遊んでほしい、おやつがほしいなど)」「ストレスや不安(運動不足、長時間の留守番、環境の変化など)」「恐怖や警戒心」「遊びの興奮」「縄張り意識や所有欲」「過去の経験に基づく学習」「体の痛みや不調」などが考えられます。
どのような状況で、誰に対して、どの程度の強さで噛むのかをよく観察することが、原因を探るヒントになります。

子犬の頃と違って、理由が複雑そう…

そうなんです、だからこそ原因を探ることが大切になります
表面的な行動だけを見て叱るのではなく、その行動の裏にある犬の気持ちや状況を理解しようと努めることが、成犬の噛み癖を改善するための第一歩です。
要求からくる噛み癖への対処法
「ねぇ、構ってよ!」「おやつちょうだい!」といった要求を伝えるために、飼い主さんの手や足に噛みつく場合があります。
このような要求からくる噛み癖に対しては、噛むことで要求が通らないことを学習させるのが基本です。
もし要求のために噛んできたら、まずはその要求に応じず、無視を徹底します。
騒いだり、叱ったりせず、静かにその場を離れるか、完全に無視しましょう。
そして、犬が噛むのをやめて落ち着いたら、「おすわり」や「ふせ」など、何か別の指示を出し、それに従ったら要求に応えてあげる(遊んであげる、おやつをあげるなど)ようにします。
こうすることで、「噛んでも要求は通らないけれど、落ち着いて指示に従えば良いことがある」と学習していきます。

無視してると、もっと噛んでくる気がして…

最初はエスカレートすることもありますが、ここで応じないことが重要です。一貫して続けましょう
重要なのは、「噛む」という行動と「要求が通る」という結果を結びつけないことです。
正しいコミュニケーションの方法を教え、要求行動としての噛み癖をやめさせるように導きましょう。
ストレスや不安が原因の場合の環境改善策
犬は、運動不足やコミュニケーション不足、長時間の留守番、引っ越しや家族構成の変化といった環境の変化など、さまざまな要因でストレスや不安を感じることがあります。
これらのストレスが原因で、噛み癖という問題行動が現れるケースも少なくありません。
もし、愛犬の噛み癖がストレスに起因すると考えられる場合は、生活環境を見直し、ストレスの原因を取り除いてあげることが根本的な対策になります。
具体的には、散歩の時間を長くしたり、回数を増やしたり、ドッグランなどで思い切り走らせたりして、エネルギーを発散させてあげましょう。
一緒に遊ぶ時間を増やしたり、知育おもちゃを与えたりすることも有効です。
また、犬が安心して休める自分だけの場所(クレートやハウスなど)を用意し、静かで快適な環境を整えてあげることもストレス軽減につながります。
ストレス軽減策 | 具体例 |
---|---|
運動 | 散歩時間の延長、ドッグランの利用、室内での遊び |
安心できる場所 | クレート、サークル、ベッドの設置 |
知的な刺激 | 知育トイ、ノーズワーク |
コミュニケーション | 一緒に過ごす時間の確保、マッサージ |

うちの子、お留守番が多いからストレスかも…

お留守番前後のコミュニケーションや、安心できる環境作りが大切ですね
愛犬が心身ともに満たされ、安心して過ごせる環境を整えることが、ストレス性の噛み癖を防止し、改善するための鍵となります。
本気噛みが見られる場合の初期対応と注意点
唸り声をあげて威嚇したり、歯をむき出しにしたり、あるいは実際に血が出るほど強く噛みつく「本気噛み」が見られる場合は、状況が深刻である可能性が高く、特に注意が必要です。
これは単なる甘噛みやじゃれつきとは異なり、強い恐怖や警戒心、攻撃性が背景にあることが考えられます。
もし本気噛みが発生してしまったら、まずはご自身の安全を最優先してください。
無理に犬を抑えつけようとしたり、叱りつけたりすると、さらに興奮させて事態が悪化する可能性があります。
可能であれば、静かにその場を離れ、犬が落ち着くのを待ちましょう。
そして、絶対に自己流で解決しようとせず、できるだけ早く専門家の助けを求めることが重要です。

もし本気で噛まれたらどうしよう…

まずはご自身の安全を確保し、無理せず専門家を頼りましょう
本気噛みは、放置すると飼い主や他の人に深刻な怪我を負わせる事故につながる危険性があります。
必ず、経験豊富なドッグトレーナーや、行動診療に詳しい動物病院の獣医師に相談してください。
犬の噛むしつけ いつから始める? 効果的な対策とサポート
- しつけ開始の理想的な時期 社会化期との関連性
- 新しい家での信頼関係構築の優先
- 噛む欲求を満たすおもちゃ選びのポイント コングや歯固めガム
- 一緒に遊ぶためのロープトイなどのおもちゃ選び
- 噛みつき防止スプレー(ビターアップル等)の補助的な活用法
- クレートやハウス 安心できる場所の提供とトレーニング
- 口輪やエリザベスカラー 使用上の注意点と専門家への相談
愛犬が噛む行動に悩むとき、いつから、どのようにしつけを始めれば良いのかは非常に重要なポイントです。
早すぎるしつけはストレスになる可能性がありますし、遅すぎると噛み癖が定着してしまうこともあります。
ここでは、しつけを始める理想的なタイミングや、その前に優先すべき信頼関係の構築、噛む欲求を満たすためのおもちゃ選びのコツ、クレートやハウスといった安心できる場所の提供、そして噛みつき防止スプレーなどの補助的なグッズの活用法や注意点について解説していきます。
愛犬との良好な関係を築きながら、根気強く犬の噛むしつけを進めるための具体的な方法と、困ったときのサポートについて紹介します。
しつけ開始の理想的な時期 社会化期との関連性
本格的なしつけの前に知っておきたいのが「社会化期」です。
これは、子犬が生後3週齢頃から12~16週齢頃までの、様々な刺激や環境に慣れやすく、社会性を身につける上で非常に大切な期間を指します。
この社会化期には、無理に「ダメ」を教え込むよりも、人や他の犬、様々な物音、場所などにポジティブな形で触れさせ、慣れてもらう経験を優先することが、将来的な恐怖心や警戒心からの噛みつきを予防する上で効果的です。
本格的な「人の手は噛んではいけない」といったルールを教えるしつけは、子犬がお家の環境に慣れ、社会化期が少し落ち着き始める生後4ヶ月頃からを目安に、焦らずゆっくりと始めていくのが良いでしょう。

子犬を迎えたばかりだけど、すぐにしつけを始めた方がいいの?

まずは新しい環境に慣れてもらい、楽しい経験をたくさんさせてあげましょう
社会化期の特性を理解し、子犬の心理的な発達段階に合わせてしつけを開始することが、ワンちゃんに余計なストレスを与えず、効果を上げるための重要なポイントになります。
新しい家での信頼関係構築の優先
どんなしつけを始めるよりも、まずワンちゃんとの間に揺るぎない信頼関係を築くことが最も重要です。
新しい環境に来たばかりの子犬や成犬は、期待とともに大きな不安を感じています。
特に家に迎えてから最初の1週間程度は、無理にしつけをしようとせず、まずは安心できる環境を整えることに注力しましょう。
優しく声をかけたり、名前を呼んでおやつをあげたり、穏やかに撫でたり、おもちゃで短時間遊んだりといったポジティブな関わりを通じて、「ここは安全な場所だよ」「あなたのことを大切に思っているよ」というメッセージを伝えることが大切です。
ワンちゃんが飼い主さんを信頼し、「この人と一緒にいると安心できる、楽しいことがある」と感じられるようになって初めて、しつけの言葉を受け入れやすくなります。

早く甘噛みをやめさせたいけど、焦っちゃダメってこと?

その通りです。焦らず、まずは「大好きだよ」という気持ちを伝えることから始めましょう
信頼関係というしっかりとした土台があってこそ、犬の噛むしつけをはじめとする様々なトレーニングはスムーズに進み、より良い効果が期待できるのです。
噛む欲求を満たすおもちゃ選びのポイント コングや歯固めガム
犬が何かを噛むのは、本能的な欲求の一つです。
特に子犬は歯の生え変わりで口の中がむずがゆかったり、成犬でもストレス解消や退屈しのぎのために噛むことがあります。
人や家具などを噛む代わりに、噛んでも良いおもちゃでその欲求を安全に満たしてあげることが、噛み癖のしつけにおいて非常に効果的です。
ワンちゃんが1匹で遊ぶ時に適しているのは、中にフードやおやつを詰められるタイプの知育トイです。
代表的なものにゴム製の「コング」があり、10種類以上のサイズや硬さから愛犬に合わせて選べます。
これらは長時間夢中になって遊べるため、留守番時の退屈しのぎやストレス解消に役立ちます。
また、子犬の歯の生え変わり時期には、安全な素材でできた「歯固めガム」や、噛むためのおもちゃを与えることで、歯茎の不快感を和らげることができます。
おもちゃの種類 | 特徴 | おすすめポイント |
---|---|---|
コング(知育トイ) | 中にフードを詰められる、丈夫なゴム製 | 長時間集中して遊べる、ストレス解消、留守番時にも活躍 |
歯固めガム | 噛むことで歯の健康維持、子犬の歯がゆさ軽減 | 安全な素材・サイズを選ぶ、与えすぎに注意 |
硬質ナイロン製トイ | 壊れにくく長持ち | 強い噛む力を持つ犬にも、破片を飲み込まないよう監視 |
木製トイ | 天然素材、適度な硬さ | ささくれにくい加工のものを選ぶ |
愛犬の年齢、体の大きさ、犬種、そして噛む力の強さに合わせて、安全で楽しめる素材や形状のおもちゃを選んであげることが大切です。
一緒に遊ぶためのロープトイなどのおもちゃ選び
飼い主さんと一緒に遊ぶ時間は、ワンちゃんにとって最高のコミュニケーションであり、有り余るエネルギーを発散させる大切な機会です。
この時も、人の手や足でじゃれ合うのではなく、おもちゃを使う習慣をつけることが、甘噛み防止につながります。
一緒に遊ぶおもちゃとして人気があるのは、引っ張り合いっこができる「ロープトイ」です。
選ぶ際は、犬が噛む部分と人が安全に持てる部分が離れており、最低でも30cm以上の長さがあるものを選ぶと、遊びの最中に興奮して誤って人の手を噛んでしまうリスクを減らすことができます。
また、投げたものを取ってくる遊びが好きなら、柔らかい素材のボールやフライングディスクなども良いでしょう。
遊びを通して、「取ってきて」「ちょうだい」といった指示を教えることも可能です。

手でじゃれ合って遊ぶのはダメなの?

人の手は噛むものではないと教えるため、おもちゃを介して遊ぶことを習慣づけましょう
おもちゃを選ぶ際は、ワンちゃんが飲み込んでしまう可能性のある小さな部品がついていないか、壊れやすくないかなど、安全性を第一に考えましょう。
そして何より、愛犬が喜んで遊んでくれるおもちゃを見つけて、楽しいコミュニケーションの時間をたくさん作ってあげてください。
噛みつき防止スプレー(ビターアップル等)の補助的な活用法
どうしても家具の脚や電気コードなどを噛んでしまう場合、最後の手段として噛みつき防止スプレーの利用を考えるかもしれません。
ただし、これは根本的な解決策ではなく、あくまでしつけの補助として限定的に使用するものと理解しておく必要があります。
市販されているスプレーには、犬が嫌がる苦い味(例えばリンゴの苦味成分を利用した「ビターアップル」など)がついているものが多くあります。
これを噛んでほしくない場所に吹き付けておくことで、犬がその場所を噛むのをためらう効果が期待できます。
しかし、全ての犬に効果があるわけではなく、中には苦味を気にせず噛み続けてしまう子もいますし、スプレーの匂いや味自体がストレスになる可能性も考えられます。
また、効果を持続させるためには定期的にスプレーし直す必要があります。
メリット | デメリット |
---|---|
特定の場所への噛みつきを一時的に抑制 | 効果がない犬もいる(約2割程度とされることも) |
使い方が比較的簡単 | 根本的な原因(欲求不満、退屈など)解決にはならない |
舐めてしまうことによる体調不良の可能性(まれ) | |
犬にとってストレスになる可能性 | |
定期的な再塗布が必要 |

スプレーを使えばすぐに噛まなくなる?

効果は一時的で、ワンちゃんによっては効かないことも。他のしつけと併用するのが基本です
噛みつき防止スプレーは、危険なもの(電気コードなど)への噛みつきを緊急的に防ぎたい場合などに限り、他のしつけ(噛んで良いおもちゃを与える、運動欲求を満たすなど)と並行して、慎重に使用を検討しましょう。
クレートやハウス 安心できる場所の提供とトレーニング
犬にとって、自分だけの静かで安心できるテリトリー(縄張り)があることは、精神的な安定を保つ上で非常に重要です。
クレートやハウス(犬小屋)は、そのようなパーソナルスペースを提供するのに役立ち、結果としてストレス軽減や問題行動の予防につながることがあります。
無理やり閉じ込める場所ではなく、「安心して休める自分だけの寝床」「安全な隠れ家」として認識してもらうことが大切です。
そのために行うのが「クレートトレーニング」です。
最初はクレートの扉を開けたままにし、中におやつやお気に入りのおもちゃを入れたりして、自ら入ることを促します。
中に入ったら褒めてあげ、ポジティブな経験と結びつけましょう。
1日数回、1回あたり数分から始め、徐々に慣らしていくことが成功のコツです。
クレートやハウスに慣れておくと、来客時や留守番、動物病院へ行く際、災害時の避難など、様々な場面で役立ちます。

閉じ込めるみたいでかわいそうじゃない?

無理強いしなければ、自分だけの安全な隠れ家として認識してくれるようになりますよ
適切にトレーニングされたクレートやハウスは、犬にとって罰の場所ではなく、心からリラックスできる大切な場所になります。
安心できる場所があることは、噛むといった問題行動の抑制にもつながるのです。
口輪やエリザベスカラー 使用上の注意点と専門家への相談
噛みつきを物理的に防ぐための道具として、「口輪(マズルガード)」や、怪我の保護などに使われる「エリザベスカラー」がありますが、これらの器具は犬の行動を強く制限するため、安易な使用は絶対に避けるべきです。
「口輪」は、犬が口を開けて噛みつくことを防ぎますが、同時に舌を出して体温調節する(パンティング)行為も妨げてしまいます。
特に夏場や運動後の長時間の装着は熱中症のリスクを高め、非常に危険です。
また、装着自体が犬にとって大きなストレスとなり、恐怖心や不安感を増大させる可能性があります。
「エリザベスカラー」も同様に、視界や動きが制限されることでストレスを感じる犬が多いです。
これらの器具は、動物病院での診察や処置、トリミングなど、専門家の管理下で、安全確保のために一時的に使用されることがほとんどです。
器具 | 主な目的 | 使用上の最大の注意点 |
---|---|---|
口輪 | 噛みつきの物理的防止 | 体温調節の阻害、強いストレス、専門家の指導下でのみ使用 |
エリザベスカラー | 傷口の保護、舐め壊し防止 | 行動・視界制限によるストレス、獣医師の指示がある場合に限る |

噛みつきがひどいから口輪を使ってもいい?

自己判断での使用は危険です。必ず獣医師さんやトレーナーさんに相談してください
もし愛犬の噛みつきが深刻で、これらの器具の使用を考えてしまうような状況であれば、それは飼い主さんだけで解決できる範囲を超えている可能性が高いサインです。
問題をこじらせる前に、必ず獣医師や経験豊富なドッグトレーナーといった専門家に相談し、原因の究明と適切な対処法について指導を受けましょう。
諦めないで 専門家の力も借りる噛み癖対策
- しつけが上手くいかないと感じた時のサイン
- ドッグトレーナーへの相談 しつけ教室や出張トレーニングの活用
- 動物病院での相談 体調不良の可能性チェックの重要性
- 根気強く続けることの大切さ 犬とのコミュニケーション再確認
- 問題行動としての噛み癖を放置するリスク
- 犬種による先天的な噛みやすさへの理解と配慮
- 行動分析学に基づく褒めるトレーニングの考え方
- しつけを通じた愛犬とのより良い関係性の構築
愛犬の噛み癖のしつけ、根気強く続けていてもなかなか改善が見られないと、心が折れそうになりますよね。
諦めない気持ちと、必要であれば専門家の力を借りる勇気を持つことが、解決への大切な一歩です。
ここでは、しつけが上手くいかないと感じる具体的なサイン、相談先となるドッグトレーナーや動物病院の活用法、そして根気強く続けることの重要性や噛み癖を放置するリスク、さらには犬種による特性や行動分析学に基づいた褒めるトレーニングの考え方、しつけを通じた関係構築について詳しく解説していきます。
一人で抱え込まず、さまざまな選択肢があることを知って、愛犬とのより良い関係を目指しましょう。
しつけが上手くいかないと感じた時のサイン
一生懸命しつけに取り組んでいるのに、なかなか効果が見えない…そんな時は、客観的に状況を見つめ直すサインが出ているのかもしれません。
具体的には、次のような状況が見られたら、一度立ち止まって専門家への相談を検討するタイミングです。
- 基本的なしつけ(無視、おもちゃへの誘導、褒める)を試しても、噛み癖が一向に改善しない
- 噛む力が以前よりも強くなってきた、または頻度が増えている
- 飼い主や家族だけでなく、友人や来客などにも噛みつこうとする素振りを見せる
- 噛まれることへの恐怖心から、飼い主自身が愛犬とのコミュニケーションを避けるようになってしまった
- しつけに対するストレスで、飼い主が精神的に疲弊してしまっている

色々試してるのに、全然良くならない…もうどうしたらいいの?

そんな時は、一人で悩まず専門家への相談を考えるタイミングですよ
これらのサインは、今の方法が愛犬に合っていない、あるいは他に原因がある可能性を示唆しています。
無理に続けようとせず、次のステップに進むことを考えましょう。
ドッグトレーナーへの相談 しつけ教室や出張トレーニングの活用
ドッグトレーナーは、犬の行動学や心理学に基づいた知識と経験を持つ、しつけとトレーニングの専門家です。
ドッグトレーナーに相談することで、愛犬の噛み癖の原因を客観的に分析してもらい、その子に合った具体的なトレーニングプランを提案してもらえます。
主なサービス形態には、以下のようなものがあります。
サービス形態 | 特徴 | おすすめな人 |
---|---|---|
しつけ教室(通学) | 日中の預かりトレーニング、他の犬との交流 | 日中留守がちな飼い主、社会性を育てたい飼い主 |
しつけ教室(同伴) | 飼い主も一緒に参加し学ぶ(グループ/個人)、他の飼い主との交流 | 飼い主自身がトレーニング方法を習得したい人 |
出張トレーニング | 自宅での個別指導、慣れた環境での実践 | 特定の問題行動の改善、自宅環境での課題解決 |
オンライン相談 | 場所を選ばずに相談可能、移動の手間がない | 遠方在住、多忙な飼い主、まずは気軽に相談したい人 |
どの形態が良いかは、愛犬の性格、問題の深刻度、飼い主のライフスタイルや予算によって異なります。
まずは複数のドッグトレーナーの情報を集め、相談してみることから始めると良いでしょう。
動物病院での相談 体調不良の可能性チェックの重要性
噛み癖の原因は、しつけや環境の問題だけとは限りません。
時には、体のどこかに痛みや不調を抱えていることが原因で、触られることを嫌がって噛んでしまうケースもあります。
特に、以下のような変化が見られる場合は、まず動物病院で獣医師に相談することが重要です。
- 以前は平気だったのに、急に特定の場所(耳、口周り、足先、お腹など)を触られるのを嫌がるようになった
- 急に攻撃的になった、または性格が変わったように感じる
- 食欲不振、元気消失、歩き方の変化など、他の体調不良のサインも見られる

最近、体を触ろうとするとすごく嫌がるようになった気がする…

もしかしたら、どこか痛いのかもしれません。一度、動物病院で診てもらいましょう
関節炎、歯周病、皮膚病、内臓疾患など、さまざまな病気が噛みつきの原因となり得ます。
獣医師による診察や検査を受け、健康状態に問題がないかを確認することは、適切な対応をするための第一歩となります。
根気強く続けることの大切さ 犬とのコミュニケーション再確認
犬のしつけ、特に長年の癖を直すには、一朝一夕にはいきません。
効果がすぐに見えなくても、焦らず根気強く続ける姿勢が何よりも大切です。
大切なのは、ただルールを教え込むのではなく、「なぜこの子は噛むのだろう?」と愛犬の気持ちに寄り添い、理解しようと努めるコミュニケーションです。
日々の散歩や遊び、お手入れの時間を通して、愛犬が何に喜び、何に不安を感じるのかを注意深く観察しましょう。
そして、できたことをたくさん褒めてあげることで、「飼い主さんは自分のことを見てくれている」という安心感と信頼関係が育まれます。
しつけは、愛犬との絆を深めるための共同作業です。
諦めずに続けることで、きっと良い方向へ進んでいきます。
問題行動としての噛み癖を放置するリスク
「子犬の頃の甘噛みだろう」「うちの子は大丈夫」と安易に考え、噛み癖を放置してしまうことには、さまざまなリスクが伴います。
噛み癖は、単なる癖ではなく、深刻な問題行動に発展する可能性があります。
放置することで起こりうるリスクを理解しておくことは、早期対策の重要性を認識するために不可欠です。
リスクの種類 | 具体的な内容 |
---|---|
人への危害 | 飼い主や家族、第三者への咬傷事故、重大な怪我や感染症につながる可能性 |
生活への支障 | 来客を気軽に呼べない、散歩中に他の人や犬を過度に警戒する |
犬のストレス増加 | 常に緊張や不安を抱え、心身の健康に悪影響を及ぼす可能性 |
他の問題行動の誘発 | 無駄吠え、破壊行動、分離不安など、他の問題行動を引き起こす可能性 |
社会的な問題 | 近隣とのトラブル、公共の場でのトラブル、法的責任を問われる可能性 |
飼い主との関係悪化 | 信頼関係の崩壊、しつけへの意欲喪失、飼い主の精神的負担の増大 |
最悪のケース | 飼育困難による飼育放棄、殺処分につながる可能性 |
これらのリスクを避けるためにも、噛み癖のサインが見られたら、できるだけ早く、正しい方法で対処を始めることが重要です。
犬種による先天的な噛みやすさへの理解と配慮
すべての犬が同じではありません。
犬種によっては、その歴史的な役割や遺伝的な特性から、他の犬種に比べて噛む行動が出やすい傾向を持つ場合があります。
例えば、テリア種のように獲物を追い詰めて捕らえるために作出された犬種や、柴犬などの日本犬のように独立心や警戒心が強いとされる犬種は、先天的に噛むことへの欲求が強かったり、防衛的な反応として噛みつきが出やすかったりすることがあります。
だからといって、「この犬種だから仕方ない」と諦める必要はありません。
大切なのは、その犬種が持つ一般的な傾向を理解した上で、個々の犬の性格や気質に合わせた配慮をすることです。
具体的には、早期からの社会化トレーニングでさまざまな刺激に慣れさせたり、ロープトイでの引っ張りっこや知育トイなど、噛む欲求を安全に満たせる遊びや道具を積極的に取り入れたりすることが有効です。

うちの子、ミックスだけど柴犬っぽい顔してるんだよね…やっぱり噛みやすいのかな?

犬種による傾向はありますが、個性がいちばん大切です。その子の特性を理解して接しましょう
犬種特性はあくまで参考情報とし、目の前にいる愛犬の個性をしっかりと見つめ、適切な環境とトレーニングを提供してあげましょう。
行動分析学に基づく褒めるトレーニングの考え方
近年、犬のしつけにおいて主流となっているのが、行動分析学に基づいた考え方、特に「褒める」ことを中心としたトレーニング(陽性強化)です。
これは、「犬が望ましい行動をした直後に、その犬にとって嬉しいこと(ご褒美)を与えると、その行動が増える」という原理に基づいています。
噛み癖のしつけで言えば、人の手を噛まずにおもちゃで遊べた瞬間に「いい子!」と褒めておやつを与える、といった具合です。
この方法は、犬が自ら考えて正しい行動を選ぶことを促し、楽しく学習を進めることができます。
一方で、昔ながらの叱る、叩くといった罰を用いる方法は、一時的に行動を抑制するかもしれませんが、犬に恐怖心や不安を与え、飼い主への不信感を招いたり、別の問題行動を引き起こしたりするリスクが高いです。
行動分析学に基づく褒めるトレーニングは、犬との信頼関係を損なうことなく、効果的に望ましい行動を教えることができる、非常に有効なアプローチです。
しつけを通じた愛犬とのより良い関係性の構築
噛み癖のしつけは、単に「噛む」という行動をやめさせることだけが目的ではありません。
それは、愛犬と飼い主が互いを理解し、信頼し合い、より良い関係性を築くための大切なコミュニケーションのプロセスです。
しつけを通して、飼い主は愛犬の気持ちや行動の理由を深く理解しようと努めます。
そして愛犬は、飼い主の指示(言葉や合図)を理解し、「この人に従えば安心できる」という信頼感を育んでいきます。
ルールを学ぶことで、犬は人間社会でより多くの自由と楽しみを得ることができ、自信を持って行動できるようになります。
一緒に目標に向かってトレーニングに励む時間は、何物にも代えがたい絆を深める時間となるはずです。
大変なこともありますが、しつけは、愛犬とのより豊かで幸せな共生を実現するための、価値ある投資なのです。
よくある質問(FAQ)
- Q「痛い!」と言ってもやめません。手や足を噛むのがエスカレートするだけです…
- A
低い声で「痛い」と伝えても興奮して遊びが続く場合、それは「遊びの中断」が犬に伝わっていないのかもしれません。
無視する時間を少し長くしたり、別の部屋に移動して完全に姿を消したりするなど、中断の合図をより明確に示しましょう。
それでも続く場合は、ストレスや要求など他の原因も考えられるため、行動をよく観察することが大切です。
専門家への相談も検討してください。
- Q子犬の甘噛みと、危険な本気噛みの違いは何ですか?
- A
子犬の甘噛みは、歯の生え変わりでむずがゆい時期や、じゃれている時などに見られ、まだ力加減ができていないことが多いです。
手などを痛いと感じるほど噛むこともありますが、悪気がない場合がほとんどです。
一方、本気噛みは、唸り声をあげたり歯をむき出しにしたりするなど、明らかな威嚇や攻撃性を伴います。
恐怖や縄張り意識が原因のことが多く、血が出るほどの怪我につながる危険があります。
本気噛みが見られたら、安全を確保し、すぐにドッグトレーナーや病院に相談しましょう。
- Qしつけで叩いたり、マズルを掴んだりするのは、なぜダメなのですか?
- A
叩く、マズル(口吻)を強く掴むなどの体罰は、犬に恐怖心やストレスを与え、飼い主への信頼関係を壊してしまいます。
一時的に噛むのをやめたとしても、それは恐怖から従っているだけで、根本的な解決にはなりません。
むしろ、見えないところで問題行動をしたり、さらに攻撃的になったりするリスクがあります。
正しいしつけは、罰ではなく、褒めることと正しいコミュニケーションで行うことが重要です。
- Q噛み癖のしつけは、どのくらいの期間続ければ効果が出ますか?
- A
噛み癖のしつけにかかる期間は、犬の年齢や性格、噛む原因、トレーニングの頻度ややり方によって大きく異なります。
子犬の甘噛みであれば比較的早く改善することもありますが、成犬になってからの根深い噛み癖の直し方には数ヶ月以上かかることも珍しくありません。
大切なのは焦らず根気強く続けることです。
効果が見えなくても、一貫した態度でコミュニケーションを取り続けることが信頼関係を築き、改善につながります。
- Q留守番中に家具などを噛んでしまいます。どう対策すればいいですか?
- A
留守番中の噛み癖は、退屈や分離不安によるストレスが原因と考えられます。
対策としては、まず留守番前に十分な運動や遊びでエネルギーを発散させてあげることが大切です。
また、ゲージやハウスなど安心できる場所を用意し、中にはコングなどの知育おもちゃや安全な歯固めなどを入れておきましょう。
噛まれて困るものは片付け、噛みつき防止スプレーの活用も補助的に検討できますが、根本的なストレス軽減策が重要です。
- Q噛み癖について相談したいのですが、ドッグトレーナーと動物病院、どちらが良いですか?
- A
噛み癖の相談先は、状況によって使い分けるのが良いでしょう。
しつけの具体的なやり方やトレーニング方法を知りたい、問題行動全般を改善したい場合はドッグトレーナーが適しています。
一方、急に噛むようになった、特定の場所を触ると嫌がるなど、体の不調や痛みが疑われる場合は、まず動物病院で獣医師に診てもらい、健康状態を確認することが重要です。
必要に応じて、病院とトレーナーが連携することもあります。
まとめ
この記事では、子犬の甘噛みから成犬の噛み癖まで、犬が噛む行動の様々な原因と、初心者向けの正しいしつけ方法を5つのステップで解説しました。
愛犬がなぜ噛むのかを深く理解し、適切な対応を取ることが問題解決への第一歩になります。
- 犬が噛む行動の多様な原因(甘噛み・要求・ストレスなど)の理解
- 罰ではなく「無視」と「褒める」を基本とした正しいしつけの実践
- 噛みたい欲求を適切に満たす、おもちゃの効果的な活用方法
- しつけが難しい場合の専門家(ドッグトレーナー・動物病院)への相談
ここで紹介したポイントを参考に、愛犬との信頼関係を大切にしながら、焦らず根気強くトレーニングを進めていきましょう。
もし途中で難しさを感じたら、一人で悩まず専門家への相談も検討することが重要です。
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