中古車購入を検討する際、エコカー減税が使えるかどうかは、総支払額を左右する重要なポイントです。
この記事では、中古車でも対象となる「環境性能割」や「グリーン化特例」の仕組みから、減税対象となる車種の具体的な選び方、注意点までを網羅的に解説します。

中古車だと、どの税金がどれくらい安くなるんだろう?

購入時の「環境性能割」と翌年度の「自動車税」が対象です。賢く選べば数万円お得になりますよ
- 中古車のエコカー減税で対象になる税金の種類
- 減税対象となりやすい車種や年式の選び方
- 減税額のシミュレーションと購入時の注意点
- 各減税制度がいつまで適用されるかの最新情報
中古車のエコカー減税で安くなる税金は?
中古車の購入を検討しているとき、「エコカー減税は使えるの?」と疑問に思いますよね。
結論から言うと、中古車でもエコカー減税の恩恵は受けられます。
ただし、新車とは対象となる税金が少し異なります。
中古車選びで損をしないためには、どの税金が安くなり、どの税金が対象外なのかを正しく理解することが重要です。
この章では、中古車購入時に適用される減税制度の全体像を分かりやすく解説します。
【結論】中古車で対象となる2つの税金
中古車を購入した際に、エコカー減税の対象となる税金は「環境性能割」と「自動車税(グリーン化特例)」の2種類です。
この2つの制度をうまく活用することが、中古車の購入費用や維持費を抑えるカギとなります。
環境性能割は車の購入時にかかる税金が安くなる制度で、自動車税のグリーン化特例は購入した翌年度の税金が安くなる制度です。
それぞれ適用されるタイミングが異なります。

新車と何が違うんだろう?

新車で減税額が大きい「自動車重量税」が、中古車では対象外になる点が大きな違いです
中古車と新車の減税制度の違いを理解することが、賢い車選びの第一歩になります。
なぜ自動車重量税のエコカー減税は対象外?
中古車のエコカー減税を調べるうえで、多くの方が疑問に思うのが自動車重量税です。
自動車重量税のエコカー減税が中古車で対象外になる理由は、この制度が「新車として新規登録する際」にのみ適用されるものだからです。
自動車重量税の減税は、環境性能に優れた車が「新車として運輸支局に初めて登録される際」に、その後の初回継続車検までの税金が免除または減税される一度きりの特例措置です。
すでに一度登録されている中古車は、この新規登録のタイミングに該当しないため、制度の対象になりません。
そのため、中古車を購入した後の車検時には、定められた基準通りの自動車重量税を支払う必要があります。
【環境性能割】中古車購入時の減税を解説
中古車におけるエコカー減税の主役ともいえるのが「環境性能割」です。
これは、自動車を取得した際にかかる税金で、燃費性能に応じて税率が変動する仕組みになっています。
環境性能割の税率は、国が定める2030年度燃費基準の達成度合いに応じて非課税(0%)、1%、2%、3%の4段階に設定されています。
燃費性能が良い、つまり環境に優しい車ほど税率が低くなるため、購入時の諸費用を直接的に抑える効果があります。

自分の欲しい車が対象かどうやってわかるの?

販売店の見積もりで確認するのが確実です。非課税になるケースも多いですよ
特に年式の新しいハイブリッド車などは非課税になる可能性も高く、購入時の大きなメリットになります。
【自動車税】グリーン化特例の適用条件
購入した翌年度の税金を安くできるのが「グリーン化特例」です。
これは、毎年4月1日時点の車の所有者に対して課される自動車税(種別割)が、環境性能の優れた車に限り、購入・登録した翌年度分のみ軽減される制度です。
対象となるのは電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)といった、特に環境負荷の少ない車種です。
条件を満たす中古車を購入した場合、購入・登録した翌年度の自動車税がおよそ75%も軽減されます。
対象車種 | 翌年度の自動車税 軽減率 |
---|---|
電気自動車(EV) | 概ね75%軽減 |
プラグインハイブリッド車(PHEV) | 概ね75%軽減 |
燃料電池自動車(FCV) | 概ね75%軽減 |
クリーンディーゼル車(新規登録から11年未満) | 概ね75%軽減 |
対象車種は限られますが、該当する中古車を選べば購入後の維持費を効果的に節約できます。
減税はいつまで?制度の期限まとめ
中古車購入で利用できるエコカー減税の制度には、それぞれ適用される期限が設けられています。
期限を逃すと税金の負担が増えてしまうため、購入のタイミングを計画的に考えることが重要になります。
現在、中古車の購入で活用できる主な減税制度の期限は、2026年3月31日が一つの目安となります。
具体的には、「環境性能割」の税率軽減と「グリーン化特例」がこの期限となっています。
制度の名称 | 減税の対象となる税金 | 現在の適用期限 |
---|---|---|
環境性能割 | 自動車取得時にかかる税金 | 2026年3月31日までの登録 |
グリーン化特例 | 翌年度の自動車税種別割 | 2026年3月31日までの新規登録 |

制度がまた変わるかもしれないと思うと、いつ買うのがベストか悩むな…

税制は変更される可能性もあるため、最新情報を確認しつつ期限内に動くのが確実です
環境性能割やグリーン化特例は、過去にも適用期限が延長されてきましたが、今後の税制改正で条件が厳しくなったり、制度自体が終了したりする可能性も十分にあります。
お得に中古車を手に入れるためには、制度が確実に適用される期間内に購入手続きを完了させることが賢明な判断と言えます。
中古車はCEV補助金の対象になる?
エコカー減税とよく混同される制度に「CEV補助金」(クリーンエネルギー自動車導入促進補助金)がありますが、これは原則として中古車は対象になりません。
CEV補助金は、環境性能に優れた新車の普及を目的とした制度です。
そのため、補助金の交付は新規に車両を購入・登録する場合に限られます。
ただし、ディーラーが販売目標のために登録だけ済ませた「登録済み未使用車」のように、市場に出ていない車両がごく稀に対象となるケースもあります。

じゃあ補助金は期待できないんだな

はい、補助金は基本的に新車向けと考え、中古車では減税制度の活用に集中しましょう
中古車を探す際は、CEV補助金をあてにするのではなく、本稿で解説している環境性能割やグリーン化特例といった減税制度に注目して車選びをすることが賢明です。
減税対象になるエコカー中古車の選び方
減税メリットを最大限に活かすためには、車種だけでなく年式や購入時のチェックポイントを押さえることが重要になります。
せっかく税金が安くなっても、購入後に思わぬ出費があっては意味がありません。
ここでは、実際にどのような中古車を選べば減税の恩恵を受けられるのか、具体的な車種から購入時の注意点までを実践的に解説します。
車種名 | 中古車価格帯の目安 | 燃費(WLTCモード)の例 | 減税の期待度(環境性能割) |
---|---|---|---|
トヨタ アクア | 80万円~200万円 | 29.3~35.8km/L | ◎ |
トヨタ プリウス | 100万円~280万円 | 27.2~32.1km/L | ◎ |
日産 ノート e-POWER | 100万円~220万円 | 23.8~28.4km/L | ◯ |
ホンダ フィット e:HEV | 130万円~230万円 | 23.2~28.8km/L | ◯ |
減税対象になりやすい人気車種でも、年式やグレードによって性能は異なります。
単に車種で選ぶのではなく、一台一台のコンディションと減税条件を照らし合わせることが、賢い中古車選びの鍵です。
減税対象となる中古車の具体的な条件
減税対象かどうかを見極める上で最も重要なのが「2030年度燃費基準」をどの程度達成しているかです。
これは国が定めた将来の燃費目標値で、この基準に対する達成率が高い車ほど、環境性能が高いと判断されます。
中古車の場合、特に購入時にかかる環境性能割がこの基準に大きく左右されます。
例えば、環境性能割が非課税となる「2030年度燃費基準85%達成」といった高いレベルをクリアしている車は、それだけ新しい技術が使われた燃費の良いモデルである証拠です。
電気自動車やプラグインハイブリッド車、そして年式の新しいハイブリッド車の多くがこれに該当します。

古い年式だと、減税は期待できないのかな?

年式が古いと燃費基準の達成が難しくなるため、新しいモデルほど有利です
結論として、中古車でエコカー減税を狙うなら、まず「2030年度燃費基準」の達成率が高い車両を探すことが最初のステップとなります。
【車種別】減税が狙える人気中古車リスト
エコカー減税の対象となりやすく、中古車市場でも人気が高い車種を知っておくと、車探しがスムーズに進みます。
これらの車種は燃費が良いだけでなく、流通量が多いため選択肢が豊富で、自分に合った一台を見つけやすいのが魅力です。
特に人気が高いのは、トヨタの「アクア」や「プリウス」、日産「ノート e-POWER」といったモデルです。
アクアはコンパクトで運転しやすく、プリウスはハイブリッド車の代名詞として根強い人気を誇ります。
また、ノート e-POWERはモーター駆動ならではの静かで力強い走りが支持されています。
車種 | 主な特徴 |
---|---|
トヨタ アクア | コンパクトなボディとトップクラスの燃費性能 |
トヨタ プリウス | ハイブリッド車の先駆けで広い室内空間と信頼性 |
日産 ノート e-POWER | 100%モーター駆動による独特の走行フィール |
ホンダ フィット e:HEV | 使い勝手の良い広い室内とスムーズな2モーター式ハイブリッド |
トヨタ ヤリス ハイブリッド | 最新の技術が投入されたコンパクトカーで高い燃費性能 |
これらの車種は中古車検索サイトでも簡単に見つけられます。
ただし、同じ車種でも年式やグレードによって燃費性能は異なるため、個別の車両情報をしっかり確認することが大切です。
年式は重要!何年落ちまでが狙い目か
中古車でエコカー減税を狙うなら、年式は決定的に重要な要素です。
なぜなら、自動車の燃費基準は年々厳しくなっており、新しい年式の車ほど高い基準をクリアしている可能性が高いためです。
環境性能割で最大のメリットである非課税を狙うのであれば、具体的な目安として「3年落ち以内」のモデルが狙い目となります。
2021年以降に発売されたモデルやマイナーチェンジを受けたモデルは、より厳しい「2030年度燃費基準」を前提に設計されており、減税条件を満たす可能性が上がります。

予算的に5年落ちくらいを考えているんだけど…

5年落ちでも対象になる車はありますが、非課税を狙うなら新しい年式が確実です
もちろん、5年落ちや7年落ちの車でも燃費性能が高く、減税対象となるモデルは存在します。
予算と減税額のバランスを考えながら、なるべく新しい年式の車を中心に探していくのが効率的な方法です。
減税額はいくら?簡単シミュレーション
「結局、減税でいくら安くなるの?」という疑問に答えるために、具体的なモデルでシミュレーションしてみましょう。
ここでは人気の高い中古車を例に、環境性能割がいくらになるかを計算します。
例えば、3年落ちのトヨタ アクアを車両価格150万円で購入したと仮定します。
この場合、車の価値を示す「課税標準基準額」が約120万円程度になることが多く、燃費基準の達成率が高いため環境性能割が非課税になる可能性が高いです。
項目 | 減税あり(非課税)の場合 | 減税なし(税率2%)の場合 |
---|---|---|
車両価格 | 1,500,000円 | 1,500,000円 |
課税標準基準額(※仮) | 1,200,000円 | 1,200,000円 |
環境性能割 | 0円 | 24,000円 |
お得になる金額 | 24,000円 | — |
このように、条件の良い中古車を選ぶことで、数万円単位の節約が期待できます。
実際の課税標準基準額や税率は車種や年式、グレードによって変動するため、購入前には必ず販売店で見積もりを取得し、正確な金額を確認しましょう。
後悔しないための購入時の注意点
エコカー減税は中古車選びの大きな魅力ですが、減税額だけに注目して選ぶと、後々後悔することにもなりかねません。
本当に重要なのは、減税メリット以上に車両全体のコンディションを見極めることです。
特にハイブリッド車や電気自動車の場合、最も注意したいのが「駆動用バッテリーの状態」です。
このバッテリーは消耗品であり、寿命が近づくと交換が必要になります。
交換費用は高額で、車種によっては20万円から50万円以上かかることもあり、減税額が簡単に吹き飛んでしまいます。

バッテリーの状態って、どうやって確認すればいいの?

販売店にハイブリッドシステムの診断記録を見せてもらうのが確実な方法です
安心して長く乗るためには、以下の点を必ずチェックしましょう。
チェック項目 | 確認するポイント |
---|---|
駆動用バッテリーの保証 | メーカー保証が残っているか、販売店の独自保証があるか |
整備記録簿(メンテナンスノート) | 定期的な点検・整備がされていたかの履歴 |
販売店の保証制度 | 車両全体に対する保証の期間や範囲 |
試乗でのフィーリング | 異音や走行中の違和感がないか自身の感覚で確認 |
減税という購入時のメリットと、バッテリー交換など将来の維持費を天秤にかける視点が不可欠です。
トータルコストで判断することが、後悔しない賢い中古車選びの結論です。
よくある質問(FAQ)
- Q購入したい中古車がエコカー減税の対象になるか、事前に確認できますか?
- A
はい、ご自身で確認する方法はあります。
国土交通省のウェブサイトで公開されている燃費基準の達成状況リストで、お目当ての車種の型式を照合すれば確認が可能です。
しかし、中古車はグレードや年式によって条件が細かく異なるため、中古車販売店やディーラーで見積もりをもらい、減税が適用されるか直接確認するのが最も確実な方法になります。
- Q中古の軽自動車でもエコカー減税は適用されるのでしょうか?
- A
はい、中古の軽自動車もエコカー減税の対象です。
普通車と同じように、燃費性能に応じて購入時にかかる環境性能割が軽減されます。
また、電気自動車など特に環境性能に優れたモデルであれば、購入した翌年度の軽自動車税(種別割)が安くなる「グリーン化特例」の適用も受けられます。
- Q減税を受けるために、購入時に特別な手続きは必要ですか?
- A
いいえ、購入者自身が特別な申請手続きを行う必要は通常ありません。
中古車を購入する際、中古車販売店やディーラーが名義変更などの登録手続きを代行します。
その際に、減税の条件を満たしていれば自動的に適用手続きを行ってくれますので、ご安心ください。
- Q個人売買で購入した中古車でも減税の対象になりますか?
- A
はい、個人間での売買であっても、車が減税の条件を満たしていれば対象となります。
この場合、車の名義変更などの登録手続きを運輸支局でご自身で行う必要があります。
その手続きの際に、車の環境性能に応じて環境性能割の軽減が適用されます。
手続きに不安がある場合は、行政書士に代行を依頼することも可能です。
- Qエコカー減税は2025年以降も続きますか?廃止の可能性はありますか?
- A
自動車に関する税制は毎年の税制改正で見直されます。
環境性能割は当面の間、継続される見通しです。
一方で、自動車税のグリーン化特例は現行制度では2026年3月31日までに新規登録した車が対象となっています。
今後、制度が延長されるか、あるいは内容が変更される可能性もあるため、常に最新の情報を確認することが大切です。
- Q環境性能割の具体的な計算方法を教えてください。
- A
環境性能割は、車の取得価額(課税標準基準額)に、燃費基準の達成率に応じた税率を掛けて計算します。
この課税標準基準額は、新車時の価格や経過年数から算出されるため、個人で正確に計算するのは困難です。
そのため、具体的な税額を知るためには、購入を検討している中古車販売店で見積もりを取得し、金額を確認するのが一番確実な方法となります。
まとめ
中古車でもエコカー減税は利用でき、購入時の「環境性能割」と翌年度の「自動車税(グリーン化特例)」が対象になります。
賢く活用すれば費用を抑えられますが、最も大切なのは、減税額以上に車のコンディションを見極めることです。
- 中古車のエコカー減税で対象となる2つの税金(環境性能割・グリーン化特例)
- 減税が狙える年式(3年落ち以内など)や対象車種(アクア・プリウスなど)の選び方
- 減税額よりも重要な駆動用バッテリーなど車両状態のチェックポイント
まずはこの記事で紹介した車種を参考に、中古車情報サイトでご自身の予算に合う一台を探すことから始めてみましょう。
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