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メダカと水道水|カルキ抜きから安全な水換えまで徹底解説

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メダカ飼育を始める際、多くの方が疑問に思うのが飼育に使う水についてです。

特に、最も手軽な水道水をそのまま使って良いのかは、初心者にとって最初の関門と言えるでしょう。メダカに水道水をそのまま与えることには、実は大きなリスクが潜んでいます。

水道水に含まれる塩素は、メダカにとって有害な物質です。この塩素を安全に除去するためのカルキ抜きには、正しいやり方と適切な時間が必要です。

中和剤を使い一瞬で処理する方法もあれば、バケツに汲み置き1日以上待つ方法もあります。

また、カルキ抜きが完璧でも、水換えの方法を間違えるとメダカの突然死につながることもあります。特に水温が下がる冬場の管理や、フィルターの有無によっても注意点は変わってきます。

この記事では、メダカと水道水の関係について、網羅的に解説します。

この記事でわかること

  • 水道水をメダカに使うための正しい手順
  • 塩素(カルキ)を安全に除去する具体的な方法
  • メダカを突然死させない水換えのコツ
  • 季節や設備に応じた水質管理のポイント

メダカ飼育で水道水を使う前に知っておくこと

メダカの飼育を始めるにあたり、最も基本となるのが「水」の準備です。私たちの生活に欠かせない水道水は、果たしてメダカにとって安全なのでしょうか。このセクションでは、水道水をメダカの飼育に利用する上での基本的な知識と、絶対に欠かせない「カルキ抜き」の重要性について、その理由から具体的な方法までを詳しく解説していきます。

  • メダカに水道水をそのまま使うのは危険?
  • 水道水の塩素がメダカに与える影響とは
  • 中和剤を使えばカルキ抜きは一瞬で完了
  • 汲み置きでのカルキ抜きの正しいやり方
  • カルキ抜きにかかる時間と日数の目安

メダカに水道水をそのまま使うのは危険?

結論から言うと、水道水をそのままメダカの飼育に使うことは非常に危険です。なぜなら、日本の水道水には、雑菌の繁殖を防ぐために「塩素(カルキ)」という消毒成分が含まれているからです。この塩素は、人間にとっては安全な濃度ですが、体の小さなメダカにとっては大きな脅威となります。

メダカは、エラ呼吸によって水中の酸素を取り込んで生きています。しかし、水道水に含まれる塩素は、このデリケートなエラの組織を破壊してしまうのです。エラが傷つくと、メダカは正常に呼吸ができなくなり、最悪の場合は死に至ります。これが、水道水をそのまま使ってはいけない最大の理由です。

また、塩素はメダカの体表を覆っている粘膜にもダメージを与えます。この粘膜は、病原菌や寄生虫から体を守るバリアの役割を果たしています。粘膜が剥がれてしまうと、メダカは病気にかかりやすくなり、体調を崩す原因となるのです。

水道水が危険な理由のまとめ

水道水をそのまま使うと、含有される塩素によってメダカのエラや体表の粘膜が傷つけられます。結果として、呼吸困難に陥ったり、病気への抵抗力が弱まったりして、命を落とす危険性が高まります。

このように、メダカを健康に育てるためには、水道水から有害な塩素を取り除く「カルキ抜き」という作業が不可欠です。次の項目で、塩素がメダカに与える具体的な影響について、さらに詳しく見ていきましょう。

水道水の塩素がメダカに与える影響とは

前述の通り、水道水に含まれる塩素はメダカにとって有害ですが、具体的にどのような影響を及ぼすのでしょうか。ここでは、塩素がメダカの体に与えるダメージをさらに詳しく解説します。

エラへの致命的なダメージ

メダカにとって最も深刻なのが、エラへの影響です。メダカのエラは、非常に薄い膜でできており、水中の酸素を効率よく取り込むための重要な器官です。しかし、塩素の持つ強い酸化作用は、このエラの細胞組織を破壊してしまいます。

塩素にさらされたエラは、いわば化学的な火傷を負ったような状態になります。これにより、正常なガス交換ができなくなり、メダカは酸欠状態に陥ります。水面で苦しそうに口をパクパクさせる行動が見られたら、それは塩素によるダメージのサインかもしれません。

体表の粘膜(ぬめり)の剥離

メダカの体は、「粘液層」と呼ばれるぬめりのある粘膜で覆われています。この粘膜は、外部の物理的な刺激から体を守るだけでなく、細菌やカビ、寄生虫といった病原体の侵入を防ぐ免疫機能の最前線です。

水道水の塩素は、この大切な粘膜を溶かし、剥がしてしまいます。バリア機能を失ったメダカは、水中に常在する病原菌に感染しやすくなり、尾ぐされ病や水カビ病といった病気を発症するリスクが格段に高まるのです。

クロラミンについて

近年、地域によっては塩素の消毒効果を長持ちさせるために「クロラミン」という物質が使用されていることがあります。クロラミンは塩素とアンモニアが結合したもので、通常の塩素よりも水中での分解が遅いという特徴があります。そのため、クロラミンを使用している地域の水道水は、通常の汲み置きではカルキが抜けにくい場合があります。お住まいの地域の水道局のウェブサイトなどで情報を確認し、必要であればクロラミンにも対応した中和剤を使用するのが確実です。

これらの理由から、メダカを飼育する水槽に水道水を入れる際は、必ずカルキ抜きを行わなければなりません。幸い、カルキ抜きには簡単で確実な方法がいくつか存在します。次の項目では、最も手軽な中和剤を使った方法をご紹介します。

中和剤を使えばカルキ抜きは一瞬で完了

水道水のカルキ抜きと聞いて、時間がかかる面倒な作業をイメージする方もいるかもしれませんが、市販の中和剤(カルキ抜き剤)を使えば、文字通り一瞬で塩素を無害化できます。これは、急いで水換えをしたい時や、手間をかけたくない場合に非常に便利な方法です。

中和剤の主成分は「チオ硫酸ナトリウム」という物質で、これが水道水中の塩素と化学反応を起こし、魚に無害な物質へと変化させます。この反応は非常に速く、中和剤を水に入れて軽くかき混ぜるだけで完了します。

中和剤の種類と特徴

中和剤にはいくつかのタイプがあり、それぞれに特徴があります。ご自身の飼育スタイルに合わせて選ぶと良いでしょう。

タイプ 特徴 メリット デメリット
液体タイプ 最も一般的で、水に溶けやすく即効性が高い。 ・計量が簡単(ボトルのキャップで測れるものが多い)
・すぐに混ざり、効果が早い
・ビタミンやミネラル配合など付加価値のある製品が多い
・固形タイプに比べてコストがやや高め
・開封後の長期保存には向かない場合がある
固形(錠剤)タイプ タブレット状になっており、一定量の水に対して1錠を入れるだけ。 ・計量が不要で非常に手軽
・長期保存が可能でコストパフォーマンスに優れる
・完全に溶けるまでに少し時間がかかる
・少量の水には使いにくい(割る必要がある)
粉末タイプ 大容量で販売されていることが多く、コストを最も抑えられる。 ・コストパフォーマンスが非常に高い
・大量の水を一度に処理するのに向いている
・計量にスプーンなどが必要で、少し手間がかかる
・湿気に弱いので保管に注意が必要

中和剤の正しい使い方

使い方は非常に簡単ですが、効果を最大限に発揮させるために正しい手順を守りましょう。

  1. 水換え用に、バケツなどに新しい水道水を汲む。
  2. 使用する中和剤のパッケージに記載されている規定量を正確に計る。入れすぎはメダカに良くない影響を与える可能性があるので、必ず規定量を守ってください。
  3. 中和剤を水に入れ、棒などで軽くかき混ぜて全体に行き渡らせる。
  4. 液体タイプならすぐ、固形タイプでも完全に溶ければカルキ抜きは完了です。

中和剤の過剰投入に注意

中和剤は規定量で十分な効果を発揮します。「心配だから多めに入れよう」と考えるのは逆効果です。過剰に投入された中和剤は、水中の酸素を消費してしまい、メダカが酸欠になる原因となることがあります。必ず製品の指示に従い、正確な量を使用してください。

最近では、単にカルキを抜くだけでなく、メダカの粘膜を保護する成分や、水道水に含まれないビタミン・ミネラルを添加する高機能な製品も多く販売されています。代表的な製品の公式サイト情報も参考に、ご自身のメダカに合ったものを選んでみてください。

(参照:GEX公式サイトテトラ公式サイト

汲み置きでのカルキ抜きの正しいやり方

中和剤を使わずにカルキ抜きを行う、昔ながらの最もシンプルな方法が「汲み置き」です。これは、水道水をバケツなどの容器に汲んで、時間をかけて自然に塩素を抜く方法です。コストがかからず、誰でもすぐに実践できるのが最大のメリットです。

汲み置きでカルキが抜ける仕組み

水道水に含まれる塩素は、非常に揮発性が高い(気化しやすい)性質を持っています。そのため、水を空気に触れさせておくだけで、塩素は自然と空気中に抜けていきます。この原理を利用したのが汲み置きです。

さらに、太陽光に含まれる紫外線には塩素を分解する働きがあります。したがって、日光の当たる場所に置いておくと、より効率的にカルキ抜きを進めることができます。

汲み置きの具体的な手順

ただ水を汲んで置いておくだけですが、少しの工夫で効率が大きく変わります。正しいやり方を覚えておきましょう。

汲み置きを効率的に行うコツ

  • 口の広い、浅い容器を使う:水が空気に触れる面積が広いほど、塩素は抜けやすくなります。深さのあるバケツよりも、タライや洗面器のような容器が理想的です。
  • 日光の当たる場所に置く:可能であれば、ベランダや窓際など、直射日光が当たる場所に置きましょう。紫外線の力で塩素の分解が促進されます。
  • エアレーションを行う(推奨):エアポンプ(ぶくぶく)を使って水を攪拌すると、水が常に対流し、空気に触れる機会が増えるため、カルキ抜きの時間を大幅に短縮できます。

これらのポイントを意識するだけで、ただ置いておくだけよりも格段に早くカルキを抜くことが可能です。ただし、汲み置きにはデメリットも存在します。

汲み置きの注意点

汲み置き中は、容器の口が開いたままになるため、空気中のホコリやゴミ、虫などが入ってしまう可能性があります。また、夏場に長時間屋外に置いておくと、ボウフラ(蚊の幼虫)が湧いてしまうこともあります。網をかぶせるなどの対策をすると良いでしょう。また、次の項目で詳しく解説しますが、天候や季節によってカルキが抜けるまでの時間が大きく変動する点も理解しておく必要があります。

コストをかけずに安全な水を用意できる汲み置きは、非常に有効な方法です。しかし、その効果は環境条件に左右されることを忘れてはいけません。次の項目で、具体的にどれくらいの時間が必要なのかを見ていきましょう。

カルキ抜きにかかる時間と日数の目安

汲み置きでカルキ抜きを行う際に最も気になるのが、「一体どれくらいの時間、置いておけば安全なのか」という点でしょう。残念ながら、「何時間でOK」という明確な答えはありません。なぜなら、カルキが抜ける速度は、季節、天候、水の量、容器の形状など、様々な要因によって大きく変動するからです。

ここでは、一般的な条件下での目安となる時間をご紹介します。あくまで目安として捉え、ご自身の環境に合わせて調整してください。

条件別・カルキ抜き時間の目安

水の量を10Lとした場合の、一般的な目安を以下の表にまとめました。

条件 カルキ抜きにかかる時間の目安 解説
夏場・晴れの日(日向) 半日~1日 水温が高く、紫外線の量も多いため、最も効率的にカルキが抜ける条件です。朝に汲んでおけば、夕方には使える可能性があります。
夏場・曇り/雨の日(日陰) 1日~2日 紫外線が期待できず、気温も晴天時よりは低いため、時間がかかります。最低でも丸1日は置いておきたいところです。
冬場・晴れの日(日向) 2日~3日 水温が低いため、塩素の揮発速度が遅くなります。日中の日差しがあっても、時間がかかると考えましょう。
冬場・曇り/雨の日(日陰) 3日~それ以上 最もカルキが抜けにくい悪条件です。1週間程度かかる可能性も考慮し、中和剤の使用を検討するのが賢明です。
エアレーションあり(季節問わず) 6時間~12時間 エアレーションによる強制的な攪拌は非常に効果的です。季節や天候に左右されにくく、半日程度でカルキ抜きが完了することが多いです。

カルキが抜けたか確認する方法は?

残念ながら、見た目や臭いで完全にカルキが抜けたかを判断するのは困難です。より確実に確認したい場合は、熱帯魚ショップなどで販売されている「残留塩素チェッカー(試薬)」を使う方法があります。これを使えば、水中に塩素が残っているかどうかを色で判断できます。特に、初めて汲み置きに挑戦する場合や、冬場の水換えで不安な場合には、一度試してみると安心です。

このように、汲み置きは天候や季節に大きく左右される、不確実性の高い方法でもあります。特に冬場や梅雨の時期などは、思った以上に時間がかかることを念頭に置き、余裕を持ったスケジュールで準備するか、中和剤を併用するのがおすすめです。

実践!メダカのための安全な水道水の作り方

これまでのセクションで、水道水に含まれる塩素の危険性と、それを取り除く「カルキ抜き」の基本的な方法について理解いただけたかと思います。このセクションでは、さらに一歩進んで、カルキ抜きを終えた水を実際にメダカの飼育に使うための、より実践的なテクニックや注意点を解説していきます。安全な水を用意するだけでなく、その水をどう使うかがメダカの健康を左右します。

  • バケツで水道水を1日置く際の注意点
  • 突然死を防ぐための水換えのポイント
  • フィルターは水質維持にどう影響する?
  • 冬場の水道水利用で気をつけるべきこと

バケツで水道水を1日置く際の注意点

「カルキ抜きは、バケツに水道水を汲んで1日置いておけば大丈夫」という話は、メダカや金魚の飼育で昔からよく言われることです。確かにこれは汲み置きの基本的な方法ですが、この「1日」という目安を鵜呑みにするのは少し危険が伴います。

前項で解説した通り、カルキが抜ける時間は様々な条件に左右されます。特に、多くの人が使うであろう一般的な深さのあるバケツは、実はカルキ抜きにはあまり効率的な容器とは言えません。水が空気に触れる表面積が小さいため、水の深部まで塩素が抜けるのには思った以上に時間がかかることがあります。

「1日」が安全とは限らないケース

  • 冬場や気温の低い日:水温が低いと塩素の揮発が遅くなるため、1日では不十分な可能性が高いです。
  • 日当たりの悪い場所に置いた場合:紫外線の効果が得られないため、時間がかかります。
  • 大容量のバケツを使った場合:水の量が多いほど、また深さがあるほど、塩素が抜けきるのに時間が必要です。

バケツで汲み置きする際の確実性を高めるには

もしバケツで汲み置きをするのであれば、単に1日置くだけでなく、以下の工夫を加えることを強く推奨します。

  1. 可能な限り日光に当てる:ベランダなど、少しでも日が当たる場所に置きましょう。
  2. 時々かき混ぜる:1日に数回、棒などでバケツの水をかき混ぜ、上下の水を入れ替えてあげると効果的です。
  3. エアレーションを併用する:最も確実な方法です。エアポンプを使えば、バケツでも効率的にカルキ抜きができます。

衛生面での注意点

汲み置き中は、容器に蓋をしないのが基本ですが、それゆえのデメリットもあります。屋外に置けば、雨水や枯れ葉、虫などが混入する可能性があります。室内であっても、空気中のホコリが入ります。これらの異物は水質を悪化させる原因にもなりかねません。

対策として、目の細かいネットや網戸の網のようなものをバケツにかぶせておくと、異物の混入を防ぎつつ、空気の通り道を確保できるのでおすすめです。

「バケツで1日」はあくまで昔ながらの目安です。メダカの命を守るためには、この言葉を過信せず、より確実な方法を実践するか、不安な場合は中和剤を使うのが最も安全な選択と言えるでしょう。

突然死を防ぐための水換えのポイント

カルキ抜きを完璧に行った安全な水を用意しても、水換えのやり方を間違えると、メダカがショック状態に陥り、突然死してしまうことがあります。これは「pHショック」や「水温ショック」と呼ばれる現象で、ベテランの飼育者でも起こしうる非常に怖いトラブルです。メダカの突然死を防ぐためには、「水温合わせ」と「水質合わせ」という2つの作業が不可欠です。

最重要ポイント①:水温合わせ

メダカは変温動物ですが、急激な水温の変化には非常に弱い生き物です。例えば、水温25℃の飼育容器に、水温15℃の新しい水を一気に入れたらどうなるでしょうか。人間で言えば、真夏に突然氷風呂に入れられるようなもので、体にてつもないストレスがかかります。

この急激な温度変化によるショックが、メダカの体力を奪い、時には死に至らしめる原因となります。特に、水道水の温度が下がる冬場や、ヒーターで加温している水槽の水換えでは、細心の注意が必要です。

対策:水換え前に、新しい水の入ったバケツを飼育容器の隣に数時間置いておく、あるいは飼育容器に浮かべるなどして、両者の水温差が1~2℃以内になるように調整します。水温計を使って、必ず両方の水温を確認する癖をつけましょう。

最重要ポイント②:水質合わせ(pH合わせ)

見た目には同じ透明な水でも、古い飼育水と新しい水道水とでは、水質(特にpH=ペーハー)が大きく異なっている場合があります。飼育水は、メダカの排泄物や餌の食べ残しが分解される過程で、時間とともに酸性に傾いていく傾向があります。

一方、日本の水道水は地域差はありますが、一般的に中性~弱アルカリ性です。このpHが大きく異なる水を一気に混ぜ合わせると、メダカは「pHショック」を起こし、体調を崩してしまいます。

安全な水合わせの方法「点滴法」

水温・水質合わせを最も安全に行う方法として「点滴法」があります。これは、エアチューブと一方コックを使い、新しい水をポタポタと一滴ずつ、時間をかけて飼育容器に加えていく方法です。

  1. カルキ抜きと水温合わせを済ませた新しい水を、飼育容器より高い位置に置く。
  2. エアチューブの片方を新しい水の入ったバケツに入れ、もう片方を飼育容器に入れる。
  3. サイフォンの原理で水を流し始め、途中につけた一方コックで流量を1秒に1~2滴程度に調整する。
  4. 30分~1時間以上かけて、ゆっくりと新しい水を加えていく。

この方法なら、メダカに与えるストレスを最小限に抑えながら、安全に水換えを完了できます。

面倒に感じるかもしれませんが、この「水温合わせ」と「水質合わせ」を丁寧に行うことが、メダカを長生きさせる最大の秘訣です。カルキ抜きと同様に、水換えの必須作業として必ず実践してください。

フィルターは水質維持にどう影響する?

メダカの飼育において、フィルター(ろ過器)は必須ではありません。特に屋外での飼育では、太陽光と植物プランクトン、そしてバクテリアの働きによって自然の浄化サイクルが機能するため、フィルターなしで維持管理されることも多いです。

しかし、室内での水槽飼育など、限られた水量でメダカを飼う場合、フィルターは水質を安定させ、管理を格段に楽にしてくれる非常に有効なアイテムです。フィルターが水質にどう影響するのか、その仕組みを理解しておきましょう。

フィルターの最も重要な役割「生物ろ過」

フィルターの役割は、単に水の濁りを取る(物理ろ過)だけではありません。最も重要な役割は「生物ろ過」です。

メダカのフンや餌の食べ残しからは、魚にとって猛毒である「アンモニア」が発生します。生物ろ過とは、フィルター内部のろ材に住み着いた「ろ過バクテリア」の働きによって、この有害なアンモニアを、毒性の低い「亜硝酸」、さらに毒性のほとんどない「硝酸塩」へと分解してもらう仕組みのことです。

ろ過バクテリアの働き

有害なアンモニア → (バクテリアAが分解) → 比較的有害な亜硝酸 → (バクテリアBが分解) → ほぼ無害な硝酸塩

この一連の流れが、フィルターの中で常に行われることで、水槽内の水はきれいに保たれます。

フィルターがある場合とない場合の違い

フィルターの有無は、水換えの頻度や方法に大きく影響します。

  • フィルターがある場合:生物ろ過が機能しているため、有害物質が常に分解され、水質が安定しやすいです。水換えは、最終生成物である硝酸塩の濃度を下げるために行います。水換えの頻度を減らすことができ、週に1回、3分の1程度の水換えが基本となります。
  • フィルターがない場合:生物ろ過の能力が低いため、有害なアンモニアが水中に蓄積しやすい状態です。そのため、より頻繁な水換えが必要になります。3日に1回、半分程度の水換えなど、こまめに水を換えて有害物質を排出する必要があります。

フィルターの掃除は水道水で洗ってはダメ!

フィルターのろ材を掃除する際、絶対に水道水で直接洗わないでください。水道水の塩素が、せっかく繁殖した貴重なろ過バクテリアを全滅させてしまいます。フィルターを掃除する際は、水換えで抜き取った飼育水を使って、軽くすすぐ程度に留めるのが鉄則です。

フィルターは、水質を安定させ、水換えの手間を軽減してくれる頼もしい存在です。ご自身の飼育環境や、どれくらい管理に時間をかけられるかを考慮して、導入を検討してみると良いでしょう。

冬場の水道水利用で気をつけるべきこと

メダカは比較的低温に強い魚ですが、冬場の管理には夏場とは違った注意が必要です。特に、水道水を使った水換えは、一歩間違えるとメダカの命に関わる重大な事故につながる可能性があります。

冬場に最も警戒すべきなのは、「急激な水温の低下」です。冬の水道水は、地域によっては5℃以下になることもあり、非常に冷たいです。一方、飼育容器の水は、日中の日差しや室温である程度温められており、両者の間には10℃以上の温度差が生じていることも珍しくありません。

冬の水換えが危険な理由

この温度差を無視して冷たい水道水を一気に注ぎ込むと、メダカは深刻な「水温ショック」を起こします。これにより、動きが鈍くなるだけでなく、免疫力が著しく低下して病気にかかりやすくなったり、最悪の場合はショックで死んでしまったりします。

また、メダカは水温が10℃を下回ると活動が鈍くなり、冬眠に近い状態に入ります。このような活動が低下している状態での急激な環境変化は、メダカにとって大きな負担となるのです。

冬場に安全な水換えを行うための対策

  1. 水換えの頻度と量を減らす:冬場はメダカの活性が落ち、餌の量も減るため、水質の悪化は夏場に比べて緩やかです。水換えは2週間に1回、4分の1程度など、頻度と量を減らして負担を軽減します。
  2. 水温合わせを徹底する:これが最も重要です。カルキ抜きをした新しい水を、ヒーターを使ったり、暖かい部屋に長時間置いたりして、必ず飼育水と同じ水温まで温めてから使用してください。水温計での確認は必須です。
  3. 晴れた暖かい日中に行う:水換え作業は、できるだけ気温が上がる、晴れた日の午前10時から午後2時頃までに行うのが理想です。
  4. 注水はゆっくりと:水温を合わせた水でも、注ぐ際はゆっくりと、メダカを驚かせないように静かに行いましょう。

ヒーターを使用している水槽の注意点

室内でヒーターを使って加温飼育している場合も油断は禁物です。例えば、水槽が25℃に設定されていても、冬場の水道水は10℃以下かもしれません。この温度差は非常に危険です。必ず新しい水もヒーターで温めるか、お湯を足すなどして(カルキ抜きした水にお湯を足す)、水槽と同じ温度に調整してから使用してください。

冬場の水換えは、メダカへの負担を最小限に抑えることが何よりも大切です。「水温を合わせる」という基本中の基本を、夏場以上に徹底することを心がけましょう。

まとめ:安全な水道水でメダカを育てよう

この記事では、メダカの飼育における水道水の使い方について、塩素の危険性から具体的なカルキ抜きの手順、安全な水換えのポイントまでを網羅的に解説しました。最後に、本記事の要点をリスト形式で振り返ります。

  • 水道水をそのまま使うのは塩素のため危険
  • 塩素はメダカのエラや粘膜にダメージを与える
  • カルキ抜きはメダカ飼育に必須の作業
  • 中和剤を使えばカルキ抜きは一瞬で完了する
  • 中和剤は規定量を守り、入れすぎないこと
  • 汲み置きはコストがかからない伝統的な方法
  • 汲み置きは口の広い容器で日光に当てると効率的
  • カルキが抜ける時間は季節や天候で大きく変わる
  • 冬場の汲み置きは時間がかかるため注意が必要
  • 「バケツで1日」という目安は過信しない
  • 水換えで最も重要なのは「水温合わせ」
  • 急激な水温変化はメダカの突然死を招く
  • 古い水と新しい水の「水質合わせ」も大切
  • フィルターは水質を安定させる生物ろ過が要
  • 冬場の水換えは特に水温合わせを徹底する

水道水は、正しい知識を持って適切に処理すれば、メダカにとって安全で非常に便利な飼育水となります。今回ご紹介した「カルキ抜き」と「水温・水質合わせ」の2つのポイントを確実に実践し、あなたの大切なメダカにとって快適で安全な環境を提供してあげてください。

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