シングルマザーが稼げる資格｜月収20万円以上を目指す道と支援策3つ

シングルマザーにとって、安定した収入を得て経済的に自立することは、とても重要です。

この記事では、月収20万円以上を目指すための資格取得のメリット、具体的な有望資格7選とその詳細、活用できる公的支援制度について解説します。

• シングルマザーが資格取得を目指すメリット
• 月収20万円以上も可能な有望資格7選の詳細情報
• 資格取得の費用負担を軽減する公的支援制度
• 状況に合わせた最適な資格の選び方のヒント

経済的自立への第一歩、シングルマザーのための資格取得

• 資格がもたらす収入安定とキャリアへの好影響
• 不安を自信へ変える学びと成長の機会
• 資格取得が現実的になる理由、公的支援の存在

シングルマザーが経済的に自立するためには、安定した収入を得ることが重要です。

その手段として、資格取得は収入安定やキャリア形成、学びによる自信、そして公的支援の活用によって現実的な選択肢となります。

資格取得は、未来への希望と具体的な道筋を示してくれます。

資格がもたらす収入安定とキャリアへの好影響

専門的な資格は、就職や転職において有利に働き、収入向上につながる可能性を高めます。

例えば、資格手当が月数千円から数万円支給されたり、基本給が無資格者よりも高く設定されたりすることがあります。

実際に厚生労働省の調査では、資格を取得したシングルマザーの約6割が「資格が役に立った」と回答しています。

（出典：厚生労働省 平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告）

資格を持つことで仕事の選択肢が広がり、長期的なキャリア形成の基盤を築くことができます。

不安を自信へ変える学びと成長の機会

資格取得に向けた学習プロセスは、知識やスキルを習得するだけでなく、自己肯定感を高める貴重な機会となります。

目標を設定し、計画的に学習を進め、試験に合格するという成功体験は、「自分にもできる」という大きな自信につながります。

この自信は、仕事探しや日々の生活においても前向きな力となるでしょう。

新しいことを学ぶ楽しさや達成感は、将来への不安を乗り越えるための原動力となります。

資格取得が現実的になる理由、公的支援の存在

資格取得には費用や学習時間が必要ですが、シングルマザーの挑戦を支える公的な支援制度が複数用意されています。

例えば、「高等職業訓練促進給付金」は養成機関で学ぶ期間中の生活費を月額最大14万円支援し、「自立支援教育訓練給付金」は指定講座の受講費用を60%補助します。

制度名	主な支援内容
高等職業訓練促進給付金等事業	養成機関での修業期間中の生活費支援（月額最大14万円）
自立支援教育訓練給付金	指定講座の受講費用補助（費用の60%、上限あり）
ひとり親家庭高等職業訓練促進資金貸付	入学・就職準備金の無利子貸付（条件付きで返還免除あり）
教育訓練給付金（雇用保険）	指定講座の受講費用補助（雇用保険加入者向け）
求職者支援制度	無料の職業訓練＋条件により生活費支援（雇用保険非受給者向け）

これらの支援制度を事前に調べ、活用することで、経済的な心配を減らし、安心して資格取得に集中できます。

月収20万円以上を目指すシングルマザーにおすすめの有望資格

• 看護師 – 高収入と安定性、ただし長期学習と覚悟
• 介護福祉士 – 高需要、働きながら国家資格取得の道
• 保育士 – 子育て経験を活かす、ただし試験は難関
• 医療事務 – 未経験から挑戦可能、規則的勤務で両立の容易さ
• IT関連スキル – 在宅勤務の可能性と将来性、継続学習の必要性
• 宅地建物取引士 – 高収入の可能性、ただし難関資格と営業職の特性
• 登録販売者 – 短期取得可能、パートに適する選択肢

シングルマザーのみなさんが月収20万円以上を目指す上で、専門的な資格の取得は非常に有効な手段です。

資格があれば、より良い条件の仕事に就けたり、収入アップにつながる可能性が高まります。

ここでは、看護師、介護福祉士、保育士、医療事務、IT関連スキル、宅地建物取引士、登録販売者といった、収入や働き方、取得のしやすさが異なる有望な資格をご紹介します。

資格名	想定年収レンジ(目安)¹	取得期間(目安)	難易度(目安)²	求人需要(目安)	両立ポテンシャル³
看護師	450～510万円	3年以上	中～高	高	中
介護福祉士	330～400万円	実務3年+ / 学校2年～	中	非常に高	高
保育士	360～400万円	試験6ヶ月～ / 学校2年～	高(試験)	高	高
医療事務	250～350万円	2ヶ月～1年	低～中	高	非常に高
IT関連スキル	300万円～(スキル次第)	数ヶ月～1年	中～高	高	高(リモート多)
宅地建物取引士	470～630万円+(変動大)	6ヶ月～1年	高	高	低～中
登録販売者	270～300万円	数ヶ月 + 実務2年	低～中	高	高(パート中心)

注釈:

1. 年収は経験、勤務先、働き方などにより大きく変動します。あくまで目安です。
2. 難易度は合格率や必要学習時間などを考慮した評価です。
3. 両立ポテンシャルは勤務時間の柔軟性や子育てへの理解度などを総合的に評価したものです。

これらの情報を参考に、ご自身の状況や将来の目標に合った資格を見つけることが、経済的自立への大切な一歩となります。

看護師 – 高収入と安定性、ただし長期学習と覚悟

看護師は、病院やクリニック、介護施設などで医師の指示のもと、患者さんの診療補助や身の回りのお世話を行う、社会貢献度の高い専門職です。

平均年収は約508万円（厚生労働省 令和4年賃金構造基本統計調査）と高く安定しており、経済的な基盤を築く上で大きな力となります。

しかし、資格を取得するためには、看護大学（4年）や専門学校（3年以上）などの養成機関を卒業し、国家試験に合格する必要があります。

項目	詳細
主な仕事内容	診療補助、療養上の世話、検温、注射、点滴、記録作成
平均年収（目安）	約508万円
必要な学習期間（目安）	3年以上（専門学校等）
必要な学習費用（目安）	国公立大学約250万円～、私立大学約500万円～、専門学校約250万円～
資格の種類	国家資格
試験難易度（合格率目安）	約89%（ただし養成校入学は競争あり）
働き方の特徴	シフト制（夜勤あり）、病院・クリニック・介護施設等、求人多数
シングルマザーのメリット	高収入、安定性、高い需要、全国で働ける、託児所付きの職場あり
シングルマザーのデメリット	長期学習期間、高額な学費、不規則勤務、育児・学業両立の負担、体力が必要
関連する主な支援制度	高等職業訓練促進給付金、ひとり親家庭高等職業訓練促進資金貸付（返還免除あり）

高い収入と社会的な信頼性は大きな魅力ですが、資格取得までの道のりは長く、強い覚悟と周囲のサポートが必要です。

介護福祉士 – 高需要、働きながら国家資格取得の道

介護福祉士は、高齢者や障害のある方の食事、入浴、排泄などの日常生活を支援する専門職で、介護分野における唯一の国家資格です。

超高齢社会の日本において需要は極めて高く、求人も豊富です。

大きな特徴は、介護現場で3年以上の実務経験を積み、「実務者研修」を修了することで国家試験の受験資格を得られるルートがある点です。

平均年収は約363万円（施設介護職員、令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果）というデータがあり、資格手当などで収入アップも期待できます。

項目	詳細
主な仕事内容	食事・入浴・排泄介助、移動・移乗介助、生活援助、相談・助言
平均年収（目安）	約363万円（施設介護職員）
必要な学習期間（目安）	実務経験3年以上 + 実務者研修 / 養成施設2年～
必要な学習費用（目安）	実務者研修約6万円～20万円 / 養成施設約100万円～200万円
資格の種類	国家資格
試験難易度（合格率目安）	約70%～80%台
働き方の特徴	シフト制（夜勤あり/なし選択可も）、多様な雇用形態（正社員/パート）、施設・在宅など
シングルマザーのメリット	高い需要、未経験可求人多数、働きながら資格取得可能、子育て経験が活かせる、多様な働き方
シングルマザーのデメリット	身体的な負担、夜勤の可能性、給与水準（他専門職比）
関連する主な支援制度	高等職業訓練促進給付金、自立支援教育訓練給付金（実務者研修対象の場合あり）

未経験からでも挑戦しやすく、安定した雇用が見込めるため、着実にキャリアを築きたい方におすすめです。

保育士 – 子育て経験を活かす、ただし試験は難関

保育士は、保育園や認定こども園などで、子どもたちの心身の発達をサポートし、基本的な生活習慣を身につけさせる役割を担います。

ご自身の子育て経験を直接活かせる、やりがいのある仕事です。

保育需要の高まりから求人は安定しており、平均年収も約393万円（女性保育士、令和4年賃金構造基本統計調査）と改善傾向にあります。

しかし、国家試験の合格率は例年20%前後と低く、難関資格の一つとされています。

項目	詳細
主な仕事内容	子どもの保育・教育、遊びの指導、生活習慣の指導、保護者対応、記録作成
平均年収（目安）	約393万円（女性保育士）
必要な学習期間（目安）	試験ルート最短6ヶ月～ / 養成施設2年～
必要な学習費用（目安）	試験ルート数千円～10万円 / 養成施設約200万円～400万円以上
資格の種類	国家資格
試験難易度（合格率目安）	約20%前後（筆記試験は科目別合格あり、3年間有効）
働き方の特徴	シフト制（早番・遅番あり）、多様な雇用形態、保育園・こども園・児童福祉施設など
シングルマザーのメリット	高い需要、子育て経験が活かせる、多様な働き方、処遇改善の進展
シングルマザーのデメリット	試験の難易度が高い、体力・精神力が必要、持ち帰り仕事の可能性、行事参加の調整
関連する主な支援制度	高等職業訓練促進給付金、自立支援教育訓練給付金、ひとり親家庭高等職業訓練促進資金貸付

子どもが好きで、その成長に関わる仕事に就きたい方には適していますが、難関試験を突破するための学習計画と努力が求められます。

医療事務 – 未経験から挑戦可能、規則的勤務で両立の容易さ

医療事務は、病院やクリニックなどの医療機関において、受付、会計、診療報酬請求（レセプト作成）、カルテ管理といった事務業務全般を担当します。

医療事務に国家資格はなく、様々な団体が認定する民間資格が存在します。

資格がなくても就業可能ですが、知識の証明として資格取得が有利に働くことがあります。

最大の魅力は、未経験からでも比較的挑戦しやすく、クリニックなどでは午前9時から午後5時といった規則的な勤務時間で残業が少ない傾向があり、子育てとの両立がしやすい点です。

学習期間も通信講座を利用すれば最短2ヶ月程度で資格取得を目指せます。

項目	詳細
主な仕事内容	受付、会計、電話応対、レセプト作成、カルテ管理、クラーク業務
平均年収（目安）	約250万円～350万円（一般事務職と同程度）
必要な学習期間（目安）	最短2ヶ月～（目指す資格による）
必要な学習費用（目安）	通信講座 約4万円～10万円
資格の種類	民間資格（国家資格なし）
試験難易度（合格率目安）	資格により異なる（比較的易しいものから難関まで）
働き方の特徴	デスクワーク中心、日勤のみ・土日祝休みの職場が多い傾向、病院・クリニックなど全国に求人あり
シングルマザーのメリット	未経験可、両立しやすい勤務時間、身体的負担少、短期間・低費用で資格取得可能、全国に求人あり
シングルマザーのデメリット	給与水準（他専門職比）、人気職種のため好条件求人は競争あり
関連する主な支援制度	自立支援教育訓練給付金、求職者支援制度（対象講座あり）

資格取得のハードルが比較的低く、安定した環境で働きたいと考える方にとって、有力な選択肢となるでしょう。

IT関連スキル – 在宅勤務の可能性と将来性、継続学習の必要性

MOS（Microsoft Office Specialist）、Webデザイン、プログラミングといったIT関連スキルは、あらゆる業界で需要が高まっており、将来性のある分野です。

特にWebデザイナーやプログラマーといった専門職は、スキルと経験を積むことで高収入を得られる可能性があり、企業に所属するだけでなく、在宅勤務やフリーランスとして時間や場所に縛られずに働くことも可能です。

学習にはスクールやオンライン講座を利用して数ヶ月から1年程度の時間が必要となる場合が多いです。

項目	詳細（Webデザイナー/プログラマーの場合）
主な仕事内容	Webサイト制作、システム開発、アプリ開発、データ分析、ITサポート
平均年収（目安）	300万円～（スキル・経験・働き方により大きく変動）
必要な学習期間（目安）	数ヶ月～1年程度（習得するスキルによる）
必要な学習費用（目安）	独学 数千円～ / スクール・講座 数十万円～
資格の種類	MOS、ITパスポート（国家試験）、各種ベンダー資格、資格より実務スキル重視の傾向
試験難易度（合格率目安）	MOS・ITパスポートは比較的易しい / 専門スキル習得は相応の努力が必要
働き方の特徴	在宅勤務・リモートワーク可の求人多数、フレックスタイム制導入企業あり、フリーランスも可能
シングルマザーのメリット	柔軟な働き方、在宅勤務の可能性、将来性、スキル次第で高収入、公的支援対象講座多数
シングルマザーのデメリット	スキル習得に時間・費用が必要、継続的な学習が必須、フリーランスは収入不安定リスク
関連する主な支援制度	高等職業訓練促進給付金（デジタル分野）、自立支援教育訓練給付金、求職者支援制度

子育てと両立しやすい柔軟な働き方を求める方にとって魅力的な分野ですが、専門スキルを習得するための学習意欲と、技術の進歩に対応し続ける姿勢が不可欠です。

宅地建物取引士 – 高収入の可能性、ただし難関資格と営業職の特性

宅地建物取引士（宅建士）は、不動産の売買や賃貸契約の際に、お客様に対して重要事項の説明を行うなど、法律で定められた独占業務を持つ国家資格です。

不動産業界ではなくてはならない存在です。

不動産会社では、従業員の一定割合に宅建士を置くことが義務付けられているため、資格保有者の需要は常に安定しています。

資格手当（月数万円程度）が支給される企業が多く、営業職であれば成果に応じた歩合給によって高収入を得るチャンスもあります。

しかし、試験の合格率は例年15%～17%程度と低く、難関資格として知られています。

項目	詳細
主な仕事内容	重要事項説明、契約書への記名押印、不動産売買・賃貸仲介、不動産管理
平均年収（目安）	470万円～630万円以上（勤務先・職種・成果により大きく変動）
必要な学習期間（目安）	6ヶ月～1年程度（300～500時間）
必要な学習費用（目安）	独学 約5千円～ / 通信・通学 約5万円～15万円以上
資格の種類	国家資格
試験難易度（合格率目安）	約15%～17%
働き方の特徴	不動産業界中心、営業職は土日祝出勤・夜間対応あり、ノルマ・歩合給の場合あり
シングルマザーのメリット	高い資格価値、安定した需要、資格手当、高収入の可能性、不動産知識が生活にも役立つ
シングルマザーのデメリット	試験の難易度が高い、営業職は長時間労働・休日出勤の可能性、プレッシャーが大きい場合あり
関連する主な支援制度	自立支援教育訓練給付金（対象講座あり）

資格取得の難易度は高いですが、合格すれば大きな武器になります。

ただし、不動産営業特有の働き方がご自身のライフスタイルに合うか、慎重に検討する必要があります。

登録販売者 – 短期取得可能、パートに適する選択肢

登録販売者は、ドラッグストアや薬局などで、かぜ薬や鎮痛剤といった一般用医薬品（第2類・第3類に限る）の販売や、お客様への情報提供・相談対応を行うための専門資格です。

学歴や実務経験に関係なく誰でも受験できるため、比較的短期間・低費用で取得を目指せる点が大きな魅力です。

ドラッグストアは全国各地にあり、求人も豊富です。

特にパートタイムの募集が多く、一般的な小売業のパート時給よりも高く設定されている傾向があります。

項目	詳細
主な仕事内容	一般用医薬品（第2類・第3類）の販売、相談対応、情報提供、商品管理、レジ業務
平均年収（目安）	約270万円～300万円（正社員の場合）
必要な学習期間（目安）	数ヶ月程度
必要な学習費用（目安）	独学 数千円～ / 通信講座 約3万円～7万円
資格の種類	都道府県知事認定資格（国家資格に準ずる）
試験難易度（合格率目安）	約40%～50%
働き方の特徴	ドラッグストア、薬局、スーパー等、パート求人多数、土日祝・夕方勤務あり、立ち仕事
シングルマザーのメリット	受験資格なし、短期・低費用で取得可能、パート求人多数、近所で働ける可能性、比較的高時給
シングルマザーのデメリット	正社員年収は低め、管理者要件に実務経験必要（原則2年）、土日祝勤務の可能性、立ち仕事
関連する主な支援制度	自立支援教育訓練給付金（対象講座あり）

すぐに資格を取得して、近所でパートとして働きたい方、扶養範囲内で比較的高時給の仕事を探している方にとっては、検討しやすい選択肢といえるでしょう。

資格取得を経済的に支える公的支援制度の活用法

• 生活費の心配を軽減、高等職業訓練促進給付金
• 受講費用を補助、自立支援教育訓練給付金
• 入学・就職準備をサポート、ひとり親家庭向け貸付制度（返還免除の可能性）
• 雇用保険加入者向け、教育訓練給付金
• 無料訓練と生活支援、求職者支援制度
• 支援制度利用時の重要ポイントと相談窓口

資格取得を目指すシングルマザーのみなさんにとって、学習期間中の生活費や受講費用は大きな心配事だと思います。

しかし、その負担を軽減し、みなさんの挑戦を後押しするための公的な支援制度が用意されています。

これらの制度を理解し活用することで、経済的な不安を和らげ、安心して学習に集中できる環境を整えられます。

ここでは、高等職業訓練促進給付金、自立支援教育訓練給付金、ひとり親家庭向け貸付制度、教育訓練給付金、そして求職者支援制度といった主な支援策と、利用する上での大切なポイントについて詳しく見ていきましょう。

制度名	主な目的	主な支援内容
高等職業訓練促進給付金等事業	生活費支援	月額最大14万円の生活費給付 + 修了一時金
自立支援教育訓練給付金	受講費用補助	受講費用の60%補助 (上限20万～160万円)
ひとり親家庭高等職業訓練促進資金貸付	入学・就職準備金貸付	無利子貸付 (最大50万円＋20万円)、条件付き返還免除
教育訓練給付金 (雇用保険)	受講費用補助	受講費用の20%～70%補助 (雇用保険加入者向け)
求職者支援制度	無料訓練＋生活支援	無料職業訓練 + 条件により月額10万円等の生活費給付 (雇用保険非受給者向け)

これらの制度を上手に利用するためには、いくつかの注意点があります。

一番大切なのは、多くの制度で受講開始前の事前相談や申請が必要となることです。

計画を立て始めたら、早めに相談窓口へ足を運んでみましょう。

生活費の心配を軽減、高等職業訓練促進給付金

高等職業訓練促進給付金とは、看護師や介護福祉士、保育士といった就職に有利な資格を取得するために、1年以上の養成機関で学ぶ間の生活費の負担を軽くするための制度です。

この制度は、20歳未満のお子さんを扶養するシングルマザー（またはファザー）で、児童扶養手当を受けている方や、同等の所得水準の方が対象となります。

養成機関で1年（自治体によっては6ヶ月）以上学び、資格取得が見込まれ、仕事や育児と学業の両立が難しいと認められる場合に利用できます。

対象となる資格は、看護師、介護福祉士、保育士、理学療法士、作業療法士、歯科衛生士、調理師など多岐にわたりますが、自治体によって定められている場合があるので確認が必要です。

支給額は、住民税非課税世帯で月額10万円、課税世帯で月額7万500円が基本となり、修業期間の最後の1年間は月額14万円（非課税世帯）または11万500円（課税世帯）に増額されます。

支給期間は修業期間の全期間（上限4年）です。

さらに、修了時には一時金（非課税世帯5万円、課税世帯2万5千円）も支給されます。

長期間の学習が必要な資格を目指す場合、この給付金は生活の大きな支えとなります。

まずは、お住まいの市区町村の担当窓口（福祉課など）に相談してみましょう。

受講費用を補助、自立支援教育訓練給付金

自立支援教育訓練給付金とは、シングルマザー（またはファザー）のみなさんが、仕事に役立つ能力を身につけるために指定された教育訓練講座を受講した場合に、その受講費用の一部を補助してくれる制度です。

この制度も、20歳未満のお子さんを扶養するシングルマザー（またはファザー）で、児童扶養手当を受けている方や同等の所得水準の方が対象です。

受講する講座が、ご自身の就職やキャリアアップに必要だと認められる必要があります。

対象となる講座は、雇用保険の教育訓練給付の指定講座や、都道府県などが地域の実情に合わせて指定した講座です。

医療事務、介護職員初任者研修、登録販売者、宅地建物取引士、簿記、MOS（Microsoft Office Specialist）やWebデザインといったIT関連スキルなど、幅広い分野の講座が対象になり得ます。

支給額は、支払った受講費用の60%です。

ただし、1万2千円を超えない場合は対象外となります。

支給の上限額は、講座の種類によって異なり、一般教育訓練・特定一般教育訓練の場合は20万円、看護師や介護福祉士などを目指す専門実践教育訓練の場合は、修業年数 × 40万円（最大で160万円）と手厚くなっています。

もし雇用保険の教育訓練給付金も受けられる場合は、そちらの支給額を差し引いた差額が支給されます。

様々な資格やスキル習得に活用できるため、キャリアチェンジやスキルアップを考える際に、とても心強い制度です。

この制度を利用する場合も、必ず受講開始前にお住まいの市区町村の担当窓口へ事前相談と講座指定の申請を行いましょう。

入学・就職準備をサポート、ひとり親家庭向け貸付制度（返還免除の可能性）

ひとり親家庭高等職業訓練促進資金貸付事業とは、先ほど説明した「高等職業訓練促進給付金」を受けて養成機関で学ぶ方を対象に、入学時や就職時に必要となるまとまった費用を無利子で借りられる制度です。

入学時には最大50万円の入学準備金、そして修了後の就職時には最大20万円の就職準備金を借りることができます。

さらに、家賃が必要な方には月額上限4万円（最大12ヶ月）の住宅支援貸付もあります。

この貸付制度の最大の特長は、返還免除の可能性がある点です。

養成機関を修了し、そこで取得した資格を活かせる仕事に5年間従事した場合、借りたお金の返還が全額免除されます。

これは、実質的に給付金として受け取れることになり、特に学費や初期費用が高額になりがちな資格を目指す場合に、経済的なハードルを大きく下げてくれる可能性があります。

入学金などの一時的な出費が心配な方にとって、非常に助かる制度です。

申請窓口は、お住まいの都道府県・指定都市・中核市の社会福祉協議会などになります。

高等職業訓練促進給付金の利用を検討する際は、この貸付制度についても併せて情報を集めてみてください。

雇用保険加入者向け、教育訓練給付金

教育訓練給付金は、一定期間以上、雇用保険に加入していた（または現在加入している）方が利用できる制度です。

厚生労働大臣が指定する教育訓練講座を受講し、修了した場合に、受講費用の一部が支給されます。

この制度には、「一般教育訓練給付金」「特定一般教育訓練給付金」「専門実践教育訓練給付金」の3つの種類があります。

• 一般教育訓練給付金: 受講費用の20%（上限10万円）が支給されます。比較的短期間で取得できる資格（簿記、MOSなど）の講座が多く対象です。
• 特定一般教育訓練給付金: 受講費用の40%（上限20万円）が支給されます。税理士や社会保険労務士の一部科目、大型自動車免許などが対象です。
• 専門実践教育訓練給付金: 受講費用の50%（年間上限40万円）が支給されます。さらに、資格取得後に就職すると追加で20%（合計70%、年間上限56万円）が支給される場合があります。看護師、介護福祉士、保育士などの専門職養成課程や、ITスキルなどの高度な訓練が対象です。

過去に正社員やパートなどで雇用保険に加入していた期間がある方は、この制度を利用できる可能性があります。

自立支援教育訓練給付金との併用はできませんが、こちらの制度の方が給付率が高い場合もあります。

申請は、お住まいの地域を管轄するハローワークで行います。

無料訓練と生活支援、求職者支援制度

求職者支援制度は、雇用保険を受給できない求職者の方を対象とした制度です。

離職中の方や、自営業・フリーランスの方、これまで扶養内で働いてきた主婦の方などが、無料の職業訓練（求職者支援訓練）を受けながら、再就職を目指すことができます。

訓練コースは、ITスキル（プログラミング、Webデザインなど）、医療事務、介護、簿記、デザインなど、就職に役立つ多様な分野が用意されています。

シングルマザーの方に配慮し、育児と両立しやすいよう短時間で設定されたコースや、訓練施設に託児サービスが付いているコースもあります。

さらに、収入や資産などの一定の要件を満たす場合には、訓練期間中に職業訓練受講給付金（月額10万円＋通所手当）が支給され、生活費の心配をしながら訓練を受けることも可能です。

雇用保険に加入していなかった方や、失業保険の受給が終わった方にとって、スキルアップと生活安定を同時に実現できる、とても心強い制度です。

訓練の申し込みや給付金の相談は、ハローワークで行っています。

支援制度利用時の重要ポイントと相談窓口

これまで見てきたように、シングルマザーのみなさんの資格取得を支える公的な支援制度は複数あります。

これらの制度を最大限に活用するためには、いくつか重要なポイントがあります。

まず最も大切なのは、多くの制度で受講や訓練を開始する前に、お住まいの自治体やハローワークへの事前相談・申請が必須であることです。

後から申請しても認められない場合がほとんどなので、資格取得を考え始めたら、できるだけ早い段階で相談に行くようにしましょう。

また、制度によっては併用できるものとできないものがあります。

例えば、「高等職業訓練促進給付金」と「求職者支援制度の職業訓練受講給付金」を同時に受けることはできません。

どの制度を利用するのがご自身にとって最適か、窓口でよく相談することが重要です。

さらに、制度の対象となる資格や講座、支給額の上限、所得要件などは、国の方針や各自治体の判断によって変更される可能性もあります。

常に最新の情報を確認するように心がけましょう。

主な相談窓口は以下の通りです。

ご自身の状況や検討している資格に合わせて、適切な窓口に相談してください。

相談したい内容	主な相談窓口
ひとり親家庭向けの支援全般	市区町村のひとり親支援担当窓口 (福祉課など)
高等職業訓練促進給付金	市区町村のひとり親支援担当窓口
自立支援教育訓練給付金	市区町村のひとり親支援担当窓口
ひとり親家庭高等職業訓練促進資金貸付	都道府県・指定都市・中核市の社会福祉協議会
教育訓練給付金 (雇用保険)	ハローワーク
求職者支援制度	ハローワーク
仕事探し全般、職業訓練	ハローワーク、マザーズハローワーク

一人で悩まず、まずは専門の窓口に相談することから始めてみましょう。

利用できる制度を最大限に活用して、資格取得への一歩を踏み出してください。

資格取得以外の選択肢と自分に合った道の見つけ方

• 現状打破のヒント、現在の仕事でのスキルアップ
• 収入補填とスキル獲得、在宅ワーク中心の副業
• あなたにとっての「稼げる」とは？優先順位の明確化
• 状況別のおすすめ資格選びのヒント
• 相談から始める具体的な第一歩

資格取得は収入アップやキャリア形成に有効な手段ですが、それが唯一の道ではありません。

現在の状況を打破し、より良い未来を築くためには、他の選択肢も視野に入れることが大切です。

ここでは、現状の仕事でのスキルアップや在宅ワーク中心の副業といった方法、そしてあなたにとって本当に大切なことを見極めるヒントや、具体的な第一歩を踏み出すための相談先についてご紹介します。

資格取得だけにこだわらず、多角的な視点からご自身に合った最適な道を見つけていきましょう。

現状打破のヒント、現在の仕事でのスキルアップ

必ずしも転職や資格取得だけが、収入や働きがいを向上させる方法ではありません。

現在の職場でのご自身の価値を高めることも、現状打破の有効な手段となります。

例えば、多くの職場で求められる基本的なPCスキル、特にMicrosoft Office製品（WordやExcel）の操作スキルを向上させることは、業務効率の改善や任される仕事の幅を広げることにつながります。

MOS（Microsoft Office Specialist）のような資格を取得すれば、スキルを客観的に証明でき、昇給やより責任あるポジションへのステップアップにつながる可能性があります。

また、お客様や同僚との円滑なコミュニケーション能力を高めることも、職場での評価を高める重要な要素です。

現在の仕事に直接役立つスキルを身につけることは、自信につながり、収入アップやより良い待遇を得るための着実な一歩になります。

収入補填とスキル獲得、在宅ワーク中心の副業

日々の収入を補う方法として、副業も選択肢の一つです。

特に小さなお子様がいるシングルマザーのみなさんにとっては、通勤時間が不要で、自宅で空いた時間に取り組める在宅ワークが現実的な選択肢となるでしょう。

在宅ワークには様々な種類があり、特別なスキルがなくても始めやすいものから、専門知識を活かせるものまで多岐にわたります。

例えば、Webライターは文章力があれば始めやすく、データ入力は特別なスキルがなくてもPCがあれば可能です。

また、オンラインでの講師や在宅コールセンター、近年需要が高まっているSNS運用代行なども考えられます。

クラウドワークスやランサーズといったクラウドソーシングサイトを活用すれば、仕事を見つけやすくなります。

副業の種類	特徴・内容	メリット例	デメリット例
Webライター	Webサイトの記事作成など	在宅可、文章力・経験が活きる	初心者は低単価、納期管理が必要
データ入力	指定データのPC入力作業	特別なスキル不要、手軽に開始可能	報酬が低い傾向、単調な作業
オンライン講師	得意分野をオンラインで教える	スキル活用、高時給の可能性も	専門スキル・集客力が必要、収入不安定
在宅コールセンター	自宅からの顧客対応・案内業務	在宅求人あり、時給制で安定しやすい	コミュニケーション能力要、精神的負担も
SNS運用代行	企業等のSNSアカウント運用	需要増加中、マーケティングスキル習得	専門知識・成果が必要、業者に注意
Webデザイン	バナー作成、簡単なWebサイト修正など	クリエイティブ、スキル次第で高単価	専門スキル・営業力が必要

副業は収入を補うだけでなく、新しいスキルを身につける良い機会にもなります。

ただし、本業やお子様との時間、ご自身の体調とのバランスを第一に考え、無理のない範囲で取り組むことが重要です。

あなたにとっての「稼げる」とは？優先順位の明確化

「稼げる資格」や「稼げる仕事」を探すとき、つい収入額だけに目が行きがちですが、「稼げる」の意味は人それぞれ異なります。

もちろん収入は大切ですが、それ以外にも仕事を選ぶ上で重視すべき要素はたくさんあります。

例えば、収入が多少低くても、毎月安定して収入が得られることを重視する方もいるでしょう。

あるいは、働きがいや達成感を大切にしたい、将来性のある分野でスキルを磨きたい、と考える方もいます。

また、シングルマザーのみなさんにとっては、子育てとの両立のしやすさ、つまり勤務時間や場所の柔軟性、残業の少なさ、急な休みへの理解なども非常に重要なポイントになります。

収入額、安定性、やりがい、将来性、勤務時間、場所、子育てとの両立…。

これらの要素の中で、ご自身が何を最も大切にしたいのか、優先順位を明確にすることが、後悔のない選択をするための第一歩となります。

状況別のおすすめ資格選びのヒント

最適な資格は、収入目標、かけられる時間や費用、興味・関心、お子様の年齢、利用できるサポートなど、ご自身の置かれた状況によって大きく異なります。

画一的な「おすすめ資格」ではなく、自分の状況に合わせた客観的な判断が重要です。

ここでは、状況に応じた資格選びのヒントをいくつかご紹介します。

例えば、「多少時間がかかっても安定した高収入を目指したい」なら、手厚い公的支援も活用できる看護師が有力候補になります。

「今の仕事を続けながら、着実に国家資格を取りたい」場合は、実務経験ルートがある介護福祉士が考えられます。

「費用を抑えつつ、子育て経験も活かしたい」なら、試験ルートでの保育士や、比較的短期間・低費用で取得可能な医療事務が選択肢に入るでしょう。

「在宅で働きたい」という希望が強いなら、WebデザインやプログラミングなどのIT関連スキルの習得が有効です。

優先したいこと	推奨資格の例	理由・ポイント
安定した高収入と専門性	看護師	高収入・安定性抜群、手厚い支援制度あり、ただし学習期間長く覚悟が必要
働きながら着実な国家資格取得	介護福祉士	高需要、実務経験ルートあり、多様な働き方、子育て理解ある職場も、身体的負担考慮
子育て経験を活かし費用を抑えて挑戦	保रक士（試験ルート）	高需要、子育て経験が強み、低費用で挑戦可、科目別合格可、ただし試験難関
事務職希望、規則的勤務、早期就業	医療事務	未経験可、短期間・低費用で取得可、両立しやすい勤務形態多、ただし収入は低め
在宅勤務・柔軟な働き方、デジタルスキル	IT関連スキル（Webデザイン、プログラミング等）	リモートワーク豊富、スキル次第で高収入、需要増、ただし継続学習と自己管理必要
短期取得、近所でパート	登録販売者	受験資格なし、短期・低費用、近隣求人多（パート）、ただし実務経験要、年収低め

ここに挙げたのはあくまで一例です。

ご自身の状況、興味、優先順位をじっくり考え、複数の選択肢を比較検討した上で、最も納得のいく道を選んでください。

相談から始める具体的な第一歩

情報を集め、自分なりに考えても、どの道に進むべきか迷ってしまうこともあるでしょう。

そんな時は、一人で抱え込まずに専門機関へ相談することが、具体的な次の一歩を踏み出すための有効な手段です。

資格取得や就職に関する相談先として、まずお住まいの市区町村のひとり親家庭支援担当窓口（福祉課など）やハローワークが挙げられます。

これらの窓口では、利用できる可能性のある公的な支援制度（高等職業訓練促進給付金、自立支援教育訓練給付金など）について詳しい説明を受けたり、職業訓練の情報を得たりできます。

専門の相談員が、あなたの状況に合わせたアドバイスをしてくれるはずです。

相談することで、これまで知らなかった情報が得られたり、考えが整理されたりすることもあります。

公的な相談窓口を積極的に活用し、具体的な情報を得ることは、漠然とした不安を解消し、目標達成への道を具体的に描くための大きな助けとなります。

よくある質問（FAQ）

まとめ

この記事では、シングルマザーのみなさんが経済的な安定を目指すための資格取得について、具体的な資格の種類や公的な支援制度を中心に解説しました。

ご自身の状況や目標に合った資格を選び、利用できる支援制度を最大限に活用することが、より良い未来への扉を開くための重要な鍵となります。

• 資格取得はシングルマザーの収入安定とキャリア形成の有効な手段
• 看護師・介護福祉士・ITスキルなど多様な選択肢とそれぞれの特徴
• 高等職業訓練促進給付金など、活用できる公的支援制度の存在
• 収入・時間・働きやすさなど、自身の優先順位に合わせた資格選びの重要性

たくさんの選択肢と心強い支援制度があります。

まずは最初の一歩として、お住まいの自治体のひとり親支援窓口やハローワークへ気軽に相談してみませんか。