ピクテ・グローバル・インカムへの投資で後悔しないためには、毎月の分配金という魅力だけでなく、メリットとデメリットの両面を正しく理解することが何よりも重要になります。
この記事では、世界の公益企業に投資する本ファンドの評判や実績を徹底分析し、「買ってはいけない」と言われる理由である「タコ足配当」のリスクや高めの信託報酬について、投資初心者の方にも分かりやすく解説いたします。

毎月分配金は魅力だけど、リスクもあって結局どうなのかわからない…

仕組みや注意点を理解すれば、ご自身が投資すべきか正しく判断できますのでご安心ください。
- 「買ってはいけない」と言われる理由と本当のリスク
- 分配金だけでなくトータルリターンで見るべき理由
- 為替ヘッジ「あり」「なし」の具体的な選び方
- 新NISAの成長投資枠を活用した賢い付き合い方
ピクテ・グローバル・インカムの評判と実績を分析
ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)は、世界の公益企業に投資することで安定したリターンを目指す投資信託です。
その評判や実績を分析すると、このファンドの魅力と注意すべき点が見えてきます。
投資を判断する上で最も重要なのは、分配金だけでなく、ファンド全体の実力を正しく理解することです。
どんな投資信託?基本情報を解説
このファンドは、主に世界各国の「公益企業」の株式に投資します。
公益企業とは、電力、ガス、水道、通信、鉄道といった私たちの生活に欠かせないサービスを提供する会社のことです。
これらの企業は景気の変動を受けにくく、安定した収益が期待できるため、そこから得られる配当収入(インカムゲイン)と、長期的な株価の値上がり益(キャピタルゲイン)の両方を狙うのが、このファンドの基本的な戦略です。
運用はスイスの歴史ある金融機関「ピクテ・グループ」が手掛けており、その運用実績にも定評があります。
項目 | 内容 |
---|---|
ファンド名 | ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型) |
投資対象 | 世界の公益企業の株式 |
目的 | 安定した配当収入と信託財産の成長 |
運用会社 | ピクテ・アセット・マネジメント株式会社 |
このファンドは、日々の生活を支える企業に投資することで、安定的な資産形成を目指す方に適した選択肢の一つです。
基準価額とトータルリターンの推移
このファンドの基準価額のチャートだけを見ると、近年は横ばいや下落傾向に見えることがあり、不安を感じるかもしれません。
しかし、このファンドの実力を正しく評価するためには、分配金を再投資したと仮定する「トータルリターン」を確認することが不可欠です。
トータルリターンは、基準価額の値動きに加えて、これまで受け取った分配金も含めて計算されるため、ファンドが生み出した実質的な収益力を示します。
例えば、基準価額が1年間で5%下落しても、分配金が7%出ていれば、トータルリターンはプラスになる計算です。

基準価額が下がっているのに、なぜ人気があるのだろう?

分配金を含めたトータルリターンで見ることで、ファンドの実質的な運用成績がわかるからです。
目先の基準価額の動きに一喜一憂せず、長期的な視点でトータルリターンを追うことが、この投資信託と上手に付き合うコツといえます。
気になる評判は?「買ってはいけない」と言われる理由
ピクテ・グローバル・インカムは人気が高い一方で、「買ってはいけない」という厳しい評判も目にします。
その背景には、メリットとデメリットの両面が存在するためです。
特に「タコ足配当」の可能性については、投資前に必ず理解しておくべきデメリットです。
良い評判としては「毎月分配金が受け取れるので、年金の足しになり助かる」「ディフェンシブな銘柄が多く、市場が不安定な時でも比較的安心感がある」といった声が見られます。
その一方で、以下のような理由から「買ってはいけない」と言われることがあります。
指摘されるデメリット | 内容 |
---|---|
信託報酬が高い | 年率1.925%(税込)の手数料は、他の低コストなインデックスファンドと比較して高水準 |
基準価額が上がりにくい | 利益を分配金として出すため、複利効果で資産を大きく増やしにくい構造 |
タコ足配当のリスク | 運用益だけでは分配金を賄えず、元本を取り崩して支払っている可能性があること |
これらのデメリットは、毎月分配型ファンドに共通する課題でもあります。
分配金という魅力の裏側にあるリスクを把握し、ご自身の投資目的と照らし合わせることが大切です。
ポートフォリオの中身と投資戦略
このファンドが具体的にどのような資産に投資しているかを知るには、毎月発行される「月次レポート」を確認するのが一番です。
ポートフォリオとは、ファンドが保有する資産の組み合わせのことで、これを見ることでファンドの性格がより深く理解できます。
2024年5月末時点のレポートによると、国別ではアメリカが約6割を占め、次いでイギリス、スペインと続きます。
業種別では電力や総合公益事業が中心です。
組入上位銘柄には、アメリカの再生可能エネルギー大手であるネクステラ・エナジーなど、各国のインフラを支える優良企業が並んでいます。
項目 | 2024年5月末時点の状況 |
---|---|
国/地域別構成比(上位3) | 1. アメリカ (62.2%) 2. イギリス (6.8%) 3. スペイン (4.8%) |
業種別構成比(上位3) | 1. 電力 (33.5%) 2. 総合公益事業 (23.9%) 3. 通信サービス (14.2%) |
組入上位銘柄(上位3) | 1. ネクステラ・エナジー 2. サザン 3. ナショナル・グリッド |
このように、安定性が期待される先進国の公益企業を中心にポートフォリオを構築し、景気動向に応じて組み入れ比率を調整することで、安定したリターンの確保を目指すのが基本的な投資戦略です。
ピクテ・グローバル・インカムの今後の見通し
このファンドの今後の見通しを考える上で、世界の金利動向と景気の関係性は避けて通れないテーマです。
公益企業は、事業のために大規模な設備投資を必要とすることが多く、金利の動向が業績に影響を与えます。
金利が上昇する局面では、企業の借入コストが増加するため、一般的に公益株の株価にはマイナスに働く傾向があります。
実際に、近年の急速な金利引き上げは、このファンドの基準価額が伸び悩んだ一因と考えられます。

これから金利が下がると、このファンドには追い風になる?

その可能性があります。金利が低下すれば、企業の利払い負担が減るため、業績や株価にプラスの影響が期待できます。
一方で、景気が後退する局面では、生活に不可欠なサービスを提供する公益企業のディフェンシブな特性が発揮されます。
景気の影響を受けにくく、業績が安定しているため、他の株式が売られる中でも相対的に株価が底堅く推移することが期待されるのです。
今後の金融政策や経済の状況を注視しながら、投資判断を下すことが求められます。
ピクテ・グローバル・インカム投資の注意点と買い方
この投資信託が持つ特性やリスクを理解した上で、どのように付き合っていくかを考えることが重要です。
注意点と賢い買い方を学び、ご自身の投資判断に役立ててください。
毎月分配金の仕組みと過去の実績
このファンドの大きな魅力は「毎月分配金」を受け取れる点です。
分配金は、投資信託の運用によって得られた収益(株式の配当や値上がり益)から支払われます。
ただし、運用実績が振るわない月には、投資した元本の一部を取り崩して分配金に充てる「元本払戻金」が発生する点には注意が必要です。
過去の分配金実績を見ると、安定して支払われている時期もあれば、市場の状況によって変動している時期もあります。
表示されている分配金利回りだけに目を奪われるのではなく、その分配金が利益から支払われた「普通分配金」なのか、元本を取り崩した「元本払戻金」なのかを、取引のたびに送られてくる報告書で確認する習慣が大切です。

毎月お金がもらえるのは嬉しいけど、ずっと同じ金額がもらえるの?

運用実績によって変動し、将来的に減る可能性も理解しておくことが大切です。
将来受け取れる金額が保証されているわけではないため、分配金の実績と基準価額の動きの両方を定期的にチェックしましょう。
【要注意】「タコ足配当」のリスクとは?
毎月分配型ファンドで最も注意すべきリスクが「タコ足配当」です。
これは、投資信託の運用で得た利益からではなく、投資家自身が投じた元本の一部を切り崩して、分配金として支払う状態を指します。
正式には「元本払戻金(特別分配金)」と呼ばれます。
これは例えるなら「自分の貯金通帳から毎月1万円を引き出して、お小遣いをもらったと喜んでいるのと同じ状態」です。
見かけ上は分配金を受け取っているため利益が出ていると勘違いしやすいですが、実際には自分の資産を取り崩しているだけなのです。
この状態が続くと、元本がどんどん減っていき、結果として基準価額は下落し、将来受け取れる分配金の額も先細りになる可能性があります。

元本が減っているのに、利益だと勘違いしてしまうのは怖いな…

取引報告書で「普通分配金」と「元本払戻金」の内訳を必ず確認する習慣をつけましょう。
タコ足配当は、それ自体が悪いわけではありませんが、その仕組みを理解せずに投資を続けると思わぬ損失につながるため、正しく認識しておくことが不可欠です。
為替ヘッジ「あり」「なし」はどっちを選ぶべき?
ピクテ・グローバル・インカムは世界の株式に投資するため、為替レートの変動がリターンに影響します。
この為替リスクに対応するため、ファンドには2つのコースが用意されています。
為替変動の影響を抑える「為替ヘッジあり」コースと、為替変動の影響を直接受ける「為替ヘッジなし」コースです。
それぞれの特徴は以下の通りです。
コース | メリット | デメリット | こんな人におすすめ |
---|---|---|---|
為替ヘッジあり | 為替変動による基準価額のブレを抑制 | ヘッジコストが発生するためリターンが目減りする可能性 | 為替リスクを避けたい安定志向の方 |
為替ヘッジなし | 円安局面で為替差益が期待できる | 円高局面で為替差損が発生するリスク | 今後の円安を予測し、より高いリターンを狙いたい方 |

結局、自分はどちらを選べばいいんだろう?

今後の為替をどう読むかと、どれだけリスクを取れるかで判断するのがおすすめです。
ご自身の為替相場に対する考え方や、リスク許容度に合わせて選択することが、後悔しないためのポイントになります。
類似の毎月分配型ファンドとの比較
ファンド選びでは、他の選択肢と比較検討することが欠かせません。
ここでは、ピクテ・グローバル・インカムとよく比較される代表的なファンドとの違いを客観的に見ていきます。
投資対象や信託報酬が異なると、期待できるリターンや負うリスクも変わってきます。
項目 | ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型) | アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信 Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型 | フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド |
---|---|---|---|
投資対象 | 世界の公益企業の株式 | 米国の成長企業の株式 | 米国の高利回り社債(ハイ・イールド債券) |
信託報酬(税込・年率) | 1.903% | 1.727% | 1.485% |
特徴 | 景気変動に比較的強いディフェンシブな性格 | 高い成長が期待されるテクノロジー株などが中心 | 高い利回り(インカム)を追求 |
※信託報酬は2024年6月時点の一般的な数値を記載しており、販売会社によって異なる場合があります。
この比較から、ピクテ・グローバル・インカムは世界のインフラを支える企業に分散投資することで安定性を重視していることが分かります。
ご自身の目的に合わせて最適なファンドを選びましょう。
ピクテ・グローバル・インカムの賢い活用法
これまで解説した特徴や注意点を踏まえ、このファンドと上手に付き合っていくための活用法を提案します。
最も大切なのは、ご自身のライフプランや資産形成の目的に合わせて、このファンドをポートフォリオに組み込むことです。
活用法は、投資家の年代や目的によって大きく2つのスタイルに分けられます。
- 年金世代の活用法: 定年退職後の生活で、年金にプラスアルファの収入源が欲しい方には、分配金を受け取るスタイルが適しています。新NISAの成長投資枠を使えば、分配金を非課税で受け取れるため、手取り額を増やせます。
- 現役世代の活用法: まだ資産形成の途中段階にある方は、受け取った分配金を再投資に回すことで、複利効果を狙うのがおすすめです。長期的に資産を育てていくことを目指します。

新NISAの成長投資枠も使えるなら、非課税メリットは活かしたいな。

はい、分配金を非課税で受け取れるので、老後の収入源を考える方には特に有効な手段です。
自分の投資目的をはっきりとさせ、分配金の受け取り方を選択することが、このファンドを最大限に活用するカギとなります。
よくある質問(FAQ)
- Qこの投資信託の買い時はいつですか?
- A
金利の動向が、買い時を判断する上での材料の一つになります。
一般的に、金利が下がる局面では、企業の借入コストが減るため、このファンドが投資する公益株にとって追い風となり、基準価額の上昇が期待できます。
反対に、金利が上昇する局面では向かい風となる傾向です。
ただし、短期的なタイミングを計ることは非常に難しいため、長期的な視点で資産形成の一部として捉えることが重要です。
- Q信託報酬が他の投資信託より高いのが気になります
- A
確かに、年率1.9%前後の信託報酬は、インデックスファンドなどと比較すると高い水準です。
これは、専門家が経済情勢を分析し、投資する銘柄を厳選・管理するアクティブファンドであるためのコストだと捉えられます。
この手数料を払ってでも、専門家による運用や安定的な分配金を目指す戦略に価値を感じるかどうか、ご自身の投資方針と照らし合わせてご判断ください。
- Q分配金利回りが高いので魅力的ですが、何かリスクはありますか?
- A
高い利回りだけに注目すると、思わぬデメリットを見逃すことがあります。
特に注意したいのが、ファンドの利益ではなく元本を取り崩して分配金を支払う「タコ足配当」のリスクです。
これに気づかないと、自分の資産が減っているのに利益が出ていると勘違いしかねません。
分配金だけでなく、基準価額の動きも合わせたトータルリターンで本当の運用実績を確認しましょう。
- QNISAで積立投資をしたいのですが、このファンドは向いていますか?
- A
新NISAの成長投資枠で購入でき、分配金を非課税で受け取れるメリットがあります。
しかし、毎月分配型ファンドは利益を再投資して複利で資産を増やす効果が働きにくいため、長期的な資産形成を目指す積立投資の中心に据えるには注意点があります。
資産の一部として、安定性を高める役割と考えるのが良い方法です。
- Q楽天証券やSBI証券の口座を持っていませんが、どこで購入できますか?
- A
この投資信託は人気が高いため、楽天証券やSBI証券といった主要なネット証券だけでなく、大手銀行や対面型の証券会社など、非常に多くの金融機関で購入できます。
ただし、金融機関によっては購入時手数料が異なる場合や、ポイント還元の条件に違いがあります。
口座を開設する前に、ご自身の利用しやすい金融機関の公式サイトで取り扱いと条件を確認することをおすすめします。
- Q為替ヘッジ「あり」と「なし」では、どちらの運用実績が良いのですか?
- A
どちらの成績が良くなるかは、その時々の為替変動によって変わるため、一概には言えません。
過去の実績を見ると、円安が進んだ局面では、為替差益の恩恵を受けられる「為替ヘッジなし」のほうが優れたパフォーマンスでした。
逆に円高が進んだ局面では、為替変動のリスクを抑えた「為替ヘッジあり」が有利になります。
今後の為替相場をどう予測するかでご判断ください。
まとめ
この記事では、ピクテ・グローバル・インカムの良い評判だけでなく、「買ってはいけない」と言われる理由まで深く掘り下げてきました。
毎月分配金は大きな魅力ですが、その裏側にある「タコ足配当」のリスクを正しく理解することが、後悔しない投資のための最も重要なポイントです。
- 毎月分配金の魅力と元本を取り崩すリスク
- 基準価額だけでなくトータルリターンで見る本当の実力
- 年率1.9%前後という比較的高めな信託報酬
- 新NISAの成長投資枠を活用した非課税での運用
ご自身の投資目的(安定した収入か、長期的な資産成長か)を明確にし、このファンドが本当に合っているのかを判断することが大切です。
まずはSBI証券や楽天証券などの公式サイトで最新の月次レポートを確認し、ご自身の目でポートフォリオの中身を確かめてみることをお勧めします。
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