結婚という新しいステージに進んだ20代のあなた。パートナーとの未来を考えたとき、ふと「保険」のことが頭をよぎりませんか。
独身時代とは違う責任の重さを感じ、何から手をつければ良いか戸惑う方も多いはずです。
- 今の私たちに本当に必要な保険って何だろう?
- 周りの人は、保険料を毎月いくらくらい払っているのかな?
- もし子供が生まれたら、保障はどのくらい必要になるんだろう?
この記事では、そんなあなたの疑問や不安に一つひとつ丁寧にお答えします。
結婚を機に保険を考える20代既婚女性が知っておくべき、保険の必要性から平均相場・ライフステージ別の最適な選び方・そして意外と知られていない公的保障の落とし穴まで、専門的な情報を分かりやすく網羅しました。
この記事を読めば、あなたと大切なパートナーの未来を守るための、最適で後悔のない保険プランを描けるようになります。
- 20代既婚女性の保険の必要性と平均的な保険料
- ライフステージ別(子なし/子あり)の最適な保険の種類
- 医療・死亡・学資保険の賢い選び方と具体的な注意点
- 公的保障の限界と、夫婦で賢く備える保険の考え方
20代既婚女性が知るべき保険の基礎|必要性と相場
まずは、なぜ今、保険を考える必要があるのか、そして、みんながどれくらいの保険料を支払っているのか、基本的な知識から確認していきましょう。この土台をしっかり固めることが、賢い保険選びの第一歩です。
20代既婚女性が保険を考えるべき3つの理由
結婚を経て、20代女性にとって保険は単なる「もしも」への備えから、パートナーと築く未来を守るための「戦略的な投資」へとその意味合いが変化します。なぜ今、あなたが保険を真剣に考えるべきなのか、その明確な3つの理由を解説します。
理由1:ライフスタイルの変化と新しい責任
独身時代は自分のことだけを考えていれば良かったかもしれませんが、結婚は生活の基盤をパートナーと共有することを意味します。これは、個人の家計管理から、夫婦二人の共有財産と共同責任へと移行する大きな転換点です。どちらか一方の病気やケガ、あるいは万が一の事態は、残されたパートナーの経済状況や人生設計に直接的な影響を及ぼしてしまいます。そのため、保険の目的は自己防衛だけでなく、パートナーの生活を守り、悲しみの中でも経済的に立ち直るための時間を確保することへと変わるのです。具体的には、パートナーに負担をかけないための葬儀費用や、当面の生活を支える資金を補う備えが求められます。
理由2:貯蓄が少ない年代の「もしも」に備える
20代はキャリアをスタートさせたばかりで、他の年代と比較して勤続年数が短く、貯蓄額が少ない傾向にあるのが一般的です。コツコツと築き始めた貯蓄は、将来のマイホーム購入や旅行など、夢を叶えるための大切な資金のはず。しかし、もし予期せぬ入院や手術で高額な医療費が必要になったらどうでしょうか。データによると、20代女性が入院した際の自己負担費用は平均で11万7,000円から19万8,000円にも上るとされています。これは決して無視できない金額であり、虎の子の貯蓄が一瞬で底をつき、将来計画が頓挫してしまうリスクをはらんでいます。保険は、こうした突発的な出費から大切な貯蓄を守るための、必要不可欠な金融セーフティネットとして機能します。
理由3:若く健康な「今」だけのメリットを活かす
生命保険の保険料は、加入時の年齢と健康状態に基づいて計算される仕組みです。つまり、若く健康な20代のうちに加入すれば、生涯にわたって割安な保険料の恩恵を受けられるのです。これは、長期的に見て大きなコストメリットを生み出します。さらに、健康状態が良好なうちは保険加入時の告知(審査)に通りやすく、豊富な選択肢の中から自分に最適な商品を有利な条件で選ぶことが可能です。年齢を重ねるにつれて、あるいは妊娠や持病の発覚など、健康状態は変化しやすくなります。一度タイミングを逃してしまうと、保険料が割高になったり、特定の保障が制限されたり、最悪の場合は加入自体が難しくなる可能性も否定できません。したがって、20代での保険加入は、将来にわたって有利な保障を確保する権利を「固定」する、極めて重要な戦略的判断と言えるでしょう。
みんなはいくら払ってる?保険料の平均相場と目安
保険を検討する上で、最も気になるのが「費用」ではないでしょうか。「自分たちが払おうとしている保険料は高いのか、安いのか」「周りの家庭はどのくらい払っているのか」を知ることは、合理的で納得感のある選択をするための重要なステップです。ここでは、リアルなデータと専門家が推奨する目安を見ていきましょう。
20代女性の平均保険料と世帯データ
まず、具体的なデータから見てみましょう。公益財団法人生命保険文化センターの調査によると、20代女性が個人で支払う生命保険料の平均は年間で約9.6万円です。これを月額に換算すると、約8,000円から9,500円が相場となります。これは、同年代の男性の平均額(月額約12,250円)よりも低い水準です。
また、夫婦単位で見てみると、世帯主が29歳以下の世帯では、年間の平均払込保険料は32.2万円、月額にすると約26,800円というデータもあります。これは夫婦二人分の保険料の合計として、一つの参考になるでしょう。
保険料の目安は「手取り年収の5~7%」
平均値はあくまで参考です。より重要なのは、自分たちの家計にとって無理のない範囲で、かつ必要な保障を確保することです。ファイナンシャルプランナーの間では、家計を圧迫しない保険料の目安として「世帯の手取り年収の5~7%」が一般的とされています。例えば、夫婦の手取り年収の合計が450万円の場合、年間の保険料予算は22.5万円~31.5万円(月額約18,750円~26,250円)となります。この基準を使えば、各家庭の収入状況に応じたパーソナライズされた予算設定が可能です。
約6割の女性が加入済み!保険加入率の実態
「保険について悩んでいるのは自分たちだけかも」という心配は無用です。実際、多くの同世代がすでに行動を起こしています。20代女性の生命保険加入率は57.1%に達し、同年代の男性(46.4%)を上回っています。さらに、29歳以下の世帯主の家庭では約7割が何らかの生命保険に加入しており、そのうちの半数以上は夫婦ともに保障を準備しているという実態もあります。この事実は、20代の既婚カップルにとって保険加入がごく一般的なリスク対策であることを示しており、行動を後押しする社会的証明と言えるでしょう。
指標データ | 主な情報源 |
20代女性の平均月払保険料 | 約8,000円 – 9,500円 |
20代女性の生命保険加入率 | 57.1% (参照:生命保険文化センター) |
29歳以下世帯の夫婦加入率 | 50%以上 |
加入の主な目的 | 病気やケガの医療費のため (63.4%) |
入院時の自己負担費用(平均) | 約11.7万円 – 19.8万円 |
公的保障でどこまでカバー?高額療養費と遺族年金
「日本には手厚い社会保障があるから、民間の保険は不要では?」と考える方もいるかもしれません。しかし、公的保障は万能ではなく、その「限界」を正しく理解することが、民間保険の必要性を知る上で不可欠です。ここでは、特に重要な「高額療養費制度」と「遺族年金」の落とし穴について解説します。
高額療養費制度の仕組みと自己負担の現実
高額療養費制度は、1か月の医療費の自己負担額に上限を設ける制度で、医療費が青天井になるのを防ぐ重要なセーフティネットです。しかし、「これさえあれば安心」と考えるのは早計です。
例えば、69歳以下の一般的な所得層(年収約370万円~約770万円)の場合、自己負担の上限額は以下の式で計算されます。
- 【自己負担上限額】80,100円 + (総医療費 – 267,000円) × 1%
仮に総医療費が100万円かかった場合、自己負担上限額は87,430円となります。この金額が数か月にわたって続けば、家計への負担は決して小さくありません。
- 【高額療養費制度の落とし穴】
・上限額の負担:上限額自体が約9万円近くになることもあり、家計を圧迫する可能性がある。
・対象外の費用:保険適用外の先進医療費、入院時の差額ベッド代、食事代、日用品費などは全額自己負担となる。
・収入減は未保障:最も大きな点が、休業による収入の減少は一切カバーされないこと。
この公的保障では埋められない「隙間」を的確に補うのが、民間医療保険の役割なのです。
【要注意】遺族年金の落とし穴:子のいない30歳未満の妻
死亡時の保障についても、公的年金には見過ごせない大きな制限があります。特に20代夫婦にとって最大の「落とし穴」となるのが、夫が亡くなった際の遺族厚生年金の制度です。
現行の制度では、夫が亡くなった際に、子供のいない30歳未満の妻が受け取れる遺族厚生年金は、わずか5年間の有期給付に限定されています。
これは、多くの若い夫婦が知らないであろう、極めて重要な事実です。公的な支援が5年で完全に打ち切られる「金融の崖」が存在することを意味します。深い悲しみの中、5年後には公的支援がゼロになるという現実は、あまりにも過酷です。
この制度上の脆弱性を補うことができるのは、民間の死亡保険しかありません。さらに、夫が自営業者(国民年金)だった場合、残された家族への保障はさらに手薄になります。子供がいない場合、妻は遺族基礎年金を受け取れず、ごく少額の一時金しか支給されない可能性もあるのです。
これらの公的保障の限界を正確に理解することで、民間保険が単なる「上乗せ」ではなく、公的制度を「補完」する不可欠なピースであることが論理的にわかります。
共働き夫婦の保険選び|収入バランスで考える保障
現代の20代夫婦にとって最も一般的なのが、共働き(デュアルインカム)世帯です。この場合、保険は「個人のもの」としてバラバラに考えるのではなく、「夫婦の家計を守るポートフォリオ」として捉え、二人の状況に合わせて最適化する視点が何より重要になります。
基本方針は「お互いの生活を守り合う」こと
共働き夫婦の保険選びの基本方針は、どちらか一方の収入が病気やケガで途絶えても、残された側が生活水準を大きく落とすことなく、住宅ローンなどの固定費を支払い続けられるようにすることです。これは収入の多い少ないにかかわらず、夫婦双方に言えることです。
たとえパート収入であっても、それが失われれば家計計画は確実に狂います。また、専業主婦(主夫)の家事や育児という労働にも経済的価値があり、万が一の場合はそれを外注する費用(家事代行やベビーシッター代など)が発生することも忘れてはなりません。
収入差がある場合の考え方
夫婦の収入に差がある場合、保障の考え方を少し調整する必要があります。
- 死亡保険:
収入の多い主たる生計維持者は、より大きな保障額が必要です。その収入が失われた際の家計へのインパクトが大きいためです。収入の少ない側も、葬儀費用や当面の生活補填分として、自身の収入の2~3年分程度の保障は確保しておくと安心です。 - 医療保険・就業不能保険:
これらは収入額にかかわらず、働く人すべてにとって同等に重要です。病気やケガによる医療費や収入減のリスクは、収入の多寡とは無関係に発生するため、夫婦それぞれが自分のためにしっかりと備える必要があります。
具体的な事例で考えてみましょう。
ケーススタディ:27歳夫婦、共働き、子なし | |
世帯手取り年収 | 458万円 |
保険料予算(年収の5%) | 年間 約22.9万円 / 月額 約1.9万円 |
保障ポートフォリオ案 | 夫:医療保険+がん保険+就業不能保険 = 月額8,500円 妻:医療保険+がん保険+就業不能保険 = 月額8,500円 夫婦それぞれ:死亡保険(保障額1,000万円)= 月額各1,000円 |
合計月額保険料 | 8,500円 + 8,500円 + 1,000円 + 1,000円 = 19,000円 |
このケーススタディは、夫婦二人分の医療・就業不能・死亡保障という包括的な備えが、月額2万円弱という現実的な予算内で実現可能であることを示しています。重要なのは、「私の保険」「あなたの保険」と別々に考えるのではなく、定期的に二人で保障内容を見直し、「我が家のリスク管理計画」として全体を最適化していく共同作業です。
【種類別】20代既婚女性におすすめの保険と選び方
保険の基礎知識を理解したところで、次はいよいよ具体的な保険の種類と、あなたに合った選び方を見ていきましょう。20代既婚女性と一括りに言っても、そのニーズは「子供の有無」によって大きく変わります。ライフステージに合わせた最適な保障を選ぶことが、賢い保険選びの鍵です。
【ライフステージ別】あなたに本当に必要な保険の種類
画一的なプランではなく、現在のライフステージに最適化された保障を考えることが、無駄なく賢く備えるための最短ルートです。「子供がいない夫婦」と「子供がいる夫婦」、それぞれのシナリオで優先すべき保険の種類を確認しましょう。
Scenario 1: 子供がいない夫婦(Dinks)
このステージでの最優先課題は、夫婦がお互いを経済的リスクから守り合うことです。どちらか一方に万が一のことがあっても、残されたパートナーが安心して生活を再建できる基盤を築くことが目的となります。
- 医療保険:病気やケガによる入院・手術費用をカバーするための最も基本的な備え。貯蓄の少ない20代にとって、突発的な医療費負担を軽減する必須の保険です。
- 就業不能保険:病気やケガで長期間働けなくなった場合の収入減少に備える保険。共働きで二人の収入を前提に家計を設計している場合、このリスクは非常に大きく、パートナーの生活水準を維持するために重要度が高いです。
- 死亡保険:この時点では大きな保障額は不要ですが、葬儀費用(平均約200万円)や、残されたパートナーが生活を立て直すまでの2~3年分の生活費を補填する程度の保障を準備しておくと安心です。
Scenario 2: 子供がいる夫婦
子供が誕生すると、守るべき対象が広がり、責任の重さも格段に増します。保険の目的は、夫婦間の相互扶助に加え、子供が経済的に自立するまで確実に未来を守り抜くことへと拡大します。
- 死亡保険:必要性が飛躍的に高まります。保障額は、配偶者の生活費だけでなく、子供の養育費や大学卒業までの教育費全般をカバーできる金額まで大幅に増額する必要があります。これは、親としての最も重要な責任の一つです。
- 学資保険:高額化する教育費、特に大学費用を計画的に準備するための有効な手段です。貯蓄が苦手な家庭でも、半強制的に資金を積み立てられるメリットがあります。
- 医療保険:引き続き重要です。親が入院した場合、治療費以外にも、ベビーシッター代や家事代行サービスなどの追加費用が発生する可能性があり、家計への影響は子供がいない頃より大きくなります。
ライフステージによる優先度の変化を以下の表にまとめました。ご自身の状況と照らし合わせてみてください。
保険の種類 | 優先度(子供なし夫婦) | 優先度(子供あり夫婦) |
医療保険 | ★★★(高) | ★★★(高) |
がん保険 | ★★★(高) | ★★★(高) |
就業不能保険 | ★★☆(中~高) | ★★★(高) |
死亡保険 | ★★☆(中) | ★★★★★(最重要) |
学資保険 | ― (対象外) | ★★★(高) |
この比較表は、ライフステージの変化が保険の優先順位にどう影響するかを視覚的に示しています。現在の自分たちの状況を確認し、将来の家族計画を見据えた上で、保障の過不足を判断する際の指針となります。
最優先で検討すべき「医療保険」の選び方と備え
数ある保険の中で、20代既婚女性が真っ先に検討すべきは「医療保険」です。なぜなら、データがその必要性を明確に物語っているからです。20代女性が保険に加入する最大の動機は「病気やケガの際の医療費への備え」であり、その割合は63.4%にものぼります。また、彼女たちが抱く不安の中で最も大きいのが「長期入院で医療費がかさむこと」(54.0%)です。前述の通り、日本の公的医療保険制度は優れていますが、高額療養費制度を利用してもなお、一定の自己負担は避けられません。この”最後の砦”となるのが民間の医療保険です。
基本保障で確認すべき4つのチェックポイント
医療保険を選ぶ際は、パンフレットの細かい文字に惑わされず、まずは以下の基本保障をしっかり確認しましょう。
- 入院給付金日額:入院1日あたりに受け取れる金額。差額ベッド代や食事代、雑費などを考慮し、5,000円や10,000円といった金額から選択します。
- 手術給付金:所定の手術を受けた際に受け取れる一時金。入院給付金日額の〇倍といった形式や、手術の種類に応じて一定額が支払われる形式があります。
- 保障期間:保障がいつまで続くか。「終身(一生涯)」タイプと「定期(一定期間)」タイプがあります。病気のリスクは年齢とともに高まるため、保険料が変わらず一生涯保障が続く終身タイプが基本的には推奨されます。
- 払込期間:保険料をいつまで支払うか。60歳や65歳で払込を終え、保障は一生涯続く「短期払い」も人気です。
20代女性が絶対注目すべき「女性疾病特約」
標準的な保障に加えて、20代女性が特に重視すべきなのが「女性疾病特約」です。実は、20代後半から、子宮筋腫、子宮内膜症、子宮頸がんといった女性特有の病気のリスクは顕著に増加すると言われています。
この特約を付加することで、これらの病気で入院・手術した場合に、通常の給付金に上乗せして手厚い保障を受けることができます。これは単なる「おまけ」ではありません。女性にとって罹患率の高い病気に対して重点的に備えるための、極めて重要なカスタマイズです。
保険を比較検討する際には、「この保険は子宮筋腫や帝王切開に対して、具体的にどのような保障をしてくれますか?」と一歩踏み込んで質問することが、あなたに本当に価値のある保険を見極めるための鍵となります。自分に合った特約をしっかり選ぶことで、安心感は格段に高まります。
妊娠前に知りたい保険の知識【加入は妊娠前が鉄則】
将来的に子供を望む20代の既婚女性にとって、保険に関する知識で最も緊急性が高く、かつ重要なメッセージは「医療保険への加入・見直しは、妊娠前に済ませること」です。これは、後戻りのできない「鉄則」と言っても過言ではありません。なぜなら、妊娠が判明してからでは、様々な制約が出てきてしまうからです。
「妊娠判明後」では手遅れになる理由
妊娠が判明した後に医療保険に加入しようとすると、多くの障壁に直面します。
- 加入制限:保険会社は妊娠をリスクが高まった状態と判断し、加入自体を断ったり、選択できる商品を大幅に制限したりすることがあります。
- 保障の制限(部位不担保):たとえ加入できたとしても、その妊娠に関連する帝王切開や切迫早産、妊娠高血圧症候群といった合併症は保障の対象外とする「特定部位不担保」という条件が付くことがほとんどです。これでは、最も備えたいリスクに保険が機能しないことになりかねません。
- 加入期限:保険会社によっては「妊娠27週目まで」といった申込期限を設けている場合もあり、選択の余地は時間とともに狭まります。
妊娠・出産に伴う経済的リスク
妊娠・出産は病気ではないため、正常分娩の費用(全国平均約50万円)は公的医療保険の対象外です。出産育児一時金で大部分は賄えますが、自己負担が発生することも珍しくありません。より大きなリスクは、異常分娩です。帝王切開での出産は今や約4人に1人という高い割合で発生しており、決して他人事ではありません。
帝王切開は公的保険の適用対象ですが、3割の自己負担でも十数万円の出費となります。その他にも、重度のつわり(妊娠悪阻)や切迫早産での入院、差額ベッド代など、予期せぬ費用が発生する可能性は常にあります。
妊娠前に医療保険に加入しておけば、これらのリスクに対して万全の備えができます。幅広い商品の中から最適なものを選べるだけでなく、保障に制限が付かないため、将来の妊娠で万が一帝王切開や治療が必要になった場合でも、給付金を受け取ることができ、経済的な心配なく安心して出産に臨めます。これは、これから母親になる女性にとって、計り知れないほどの精神的な安らぎをもたらすでしょう。保険の見直しは、責任ある家族計画の不可欠な一環として、妊活を始める前に完了させておくことを強く推奨します。
パートナーのために考える「死亡保険」の必要保障額
死亡保険は、自分のためではなく、残されたパートナーへの最後の思いやりとして考えるべきものです。特に共働きが主流の現代において、その重要性は増しています。たとえパートナーに収入があったとしても、片方の収入が途絶えれば、住宅ローンの返済や生活水準の維持が困難になる可能性があります。死亡保険金は、深い悲しみの中で、残されたパートナーが金銭的な心配をせずに生活を再建するための時間を与えてくれる、重要な経済的バッファーなのです。
必要保障額の基本計算式
では、どれくらいの保障額が必要なのでしょうか。必要な保障額は、以下の計算式で大まかに算出するのが基本です。
- 必要保障額 = (遺族の将来の支出 + 負債) – (遺族の将来の収入 + 貯蓄 + 公的年金)
- 将来の支出:パートナーの生活費(3~5年分など)、葬儀費用(約200万円)、子供がいる場合は教育費など。
- 将来の収入・貯蓄:パートナーの給与、現在の預貯金など。
- 公的年金:遺族基礎年金や遺族厚生年金。
この計算式で最も注意すべき、そして20代夫婦にとって最大の「落とし穴」となるのが、公的年金の部分です。
公的年金の「5年間の崖」を埋めるのは死亡保険
前述の通り、現行の制度では、夫が亡くなった際に、子供のいない30歳未満の妻が受け取れる遺族厚生年金は、わずか5年間の有期給付に限定されています。この公的支援が5年で完全に打ち切られるという「隠された真実」こそが、20代の子供がいない夫婦にとって死亡保険が「任意」ではなく「必須」であることの最も強力な論拠となります。この制度上の脆弱性を補うことができるのは、民間の死亡保険以外にありません。例えば、月々わずか1,000円程度の保険料で1,000万円の定期死亡保険に加入していれば、この5年後のリスクをカバーできます。この事実は、パートナーへの愛情を示す具体的な行動として、真剣に受け止めるべきです。(なお、この制度は2025年に改正が予定されていますが、現時点でのリスクに備えることが賢明です。)
子供の教育費はいくら?学資保険の要否と始め方
子供を持つことを決めた夫婦が直面する、最も長期的で高額な費用が「教育費」です。その総額を具体的に知ることは、早期準備の重要性を認識する上で不可欠です。一体、子供一人を育てるのにどれくらいのお金がかかるのでしょうか。
教育費の総額:オール公立 vs. オール私立
子供の進路によって、教育費は劇的に変動します。文部科学省の調査によると、幼稚園から大学卒業までにかかる教育費の目安は以下の通りです。
教育パス | 幼稚園から大学までの総教育費(目安) |
全て国公立 | 約1,000万円 |
高校まで公立、大学は私立文系 | 約1,300万円 |
全て私立(文系) | 約2,200万円 (参照:文部科学省) |
オール私立の場合、総額は2,000万円を超え、国公立との差は1,000万円以上にもなります。この現実的な数字を前に、計画的な準備の必要性を感じずにはいられません。
「学資保険」のメリット・デメリット
この高額な教育費を準備する伝統的な手段の一つが「学資保険」です。そのメリットとデメリットを正しく理解しましょう。
- 【メリット】
・計画的な貯蓄:毎月決まった額を支払うことで、貯蓄が苦手な家庭でも半強制的に教育資金を積み立てられます。
・保険料払込免除:これが最大の利点です。契約者である親が死亡または高度障害状態になった場合、以降の保険料の支払いが免除され、かつ満期金や祝い金は契約通り全額受け取れます。これは単なる預貯金にはない、万が一の際の保障機能です。
・出生前加入:子供が生まれる前(予定日の140日前からなど)に加入できる商品もあり、早くから準備を始められます。
- 【デメリット】
・低い収益性:近年の低金利の影響で、NISAなどの投資商品と比較して、お金が増える割合(返戻率)は高くありません。
・柔軟性の低さ:途中で解約すると、支払った保険料の総額を下回る「元本割れ」を起こすリスクがあります。
学資保険が唯一の選択肢ではありません。新NISAを活用した投資信託での積立や、低解約返戻金型の終身保険の解約返戻金を充当する方法など、他の選択肢も存在します。重要なのは、どの方法を選ぶにせよ、子供が生まれたらすぐにでも準備を始めること。まずは、大学の入学金と初年度の学費をカバーできる「400万円」を高校卒業までの一つの目標として設定し、計画を立てることをおすすめします。
まとめ|20代既婚女性の保険選びで失敗しない方法
ここまで、20代既婚女性の保険選びについて、様々な角度から解説してきました。多くの情報がありましたが、最後に要点を絞って、後悔しないための最終チェックリストとしてまとめます。よくある失敗を避け、あなたと家族にとって最適な選択をしてください。
- 【よくある失敗例】
・情報過多による思考停止:何から手をつけていいか分からず、結局先延ばしにしてしまう。
・過信と先延ばし:「まだ若いから大丈夫」とリスクを軽視し、加入のタイミングを逃す。
・予算オーバー:保険料の負担が重すぎて、家計を圧迫し、継続できなくなる。
・他人任せの決定:営業担当者の言う通りに契約し、自分たちのニーズに合っていない保障内容になってしまう。
これらの失敗を避け、賢い選択をするために、以下の項目を夫婦で話し合いながら確認しましょう。
- 1. 結婚は保険を見直し、パートナーを守る保障を考える絶好のタイミングです。
- 2. 20代は貯蓄が少ない傾向にあるため、保険で突発的な出費に備えることが重要になります。
- 3. 若く健康なうちに加入すれば、生涯にわたって割安な保険料の恩恵を受けられます。
- 4. 20代女性の平均月払保険料は約8,000円~9,500円が相場です。
- 5. 無理のない保険料の目安は世帯手取り年収の5~7%です。
- 6. 公的保障には限界があり、民間保険で「隙間」を補完する視点が不可欠です。
- 7. 特に「子のいない30歳未満の妻」の遺族年金は5年で打ち切られるリスクを認識しましょう。
- 8. 共働き夫婦は、夫婦の収入バランスを考え「世帯のポートフォリオ」として保険を設計します。
- 9. 子供の有無で必要な保障、特に死亡保険の必要額は大きく変わります。
- 10. 最優先で検討すべきは「女性疾病特約」付きの医療保険です。
- 11. 医療保険は必ず妊娠前に加入・見直しを完了させることが鉄則です。
- 12. 死亡保険は、残されたパートナーが生活を再建するための「思いやり」として考えましょう。
- 13. 学資保険は「払込免除」機能が最大の魅力ですが、新NISAなど他の選択肢も比較検討すべきです。
- 14. 「まだ若いから大丈夫」という根拠のない自信は禁物。リスクは突然やってきます。
- 15. 最終的にはファイナンシャルプランナー(FP)など専門家に相談し、自分たちだけの最適なプランを完成させてください。
ここまでの知識を身につけた今、あなたは専門家に対して的確な質問をし、提案されたプランを主体的に評価できるはずです。専門家を最大限に活用し、夫婦の未来を守るための最適な保険プランを完成させてください。
コメント