夏バテによる食欲不振の対策｜原因と食べやすいものを解説

夏の厳しい暑さで、食欲が湧かないことはありませんか。

多くの方が、夏バテによる食欲不振に悩まされています。そもそも夏バテで食欲不振になるのはなぜでしょう。

この記事では、その原因から具体的な対策までを解説します。食欲不振の解消につながる治し方を知りたいですよね。

効果的な食べ物や飲み物の選び方も詳しくご紹介します。喉を通りやすい、食べやすいものや簡単なレシピも必見です。

何も食べたくない時や、吐き気がある時の対処法もまとめました。セルフケアで改善しない場合、病院の何科を受診すべきかも分かります。

• 夏バテで食欲がなくなる根本的な原因
• 食欲がない時でも食べやすい食事の工夫
• 食欲不振を解消するための具体的な生活習慣
• 医療機関を受診するべき症状の目安

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shino-ichi.com

2025.07.13

夏バテで食欲不振になる原因と食事の基本

• なぜ夏バテで食欲不振になるのか
• 食欲がない時の食べやすいもの
• 夏バテ対策におすすめの食べ物
• 回復を助ける効果的な飲み物
• 吐き気を伴う時の食事の工夫

なぜ夏バテで食欲不振になるのか

夏の暑さが本格化すると、多くの方が「なんだか食欲がない」と感じます。これは、体が夏の環境に適応しようとする中で起こる自然な反応の一つです。しかし、なぜ具体的に食欲が落ちてしまうのでしょうか。その背景には、主に3つの原因が複雑に絡み合っています。

自律神経の乱れ

私たちの体は、自律神経によって体温や消化、呼吸などが無意識のうちにコントロールされています。自律神経には、活動時に優位になる「交感神経」と、リラックス時に優位になる「副交感神経」の2種類があります。

夏は、屋外の猛暑と冷房の効いた室内の急激な温度差に体が繰り返しさらされます。この温度差に対応するため、自律神経は体温を一定に保とうと過剰に働き、疲弊してしまうのです。自律神経のバランスが崩れると、胃腸の働きをコントロールする機能も低下し、食欲不振や胃もたれといった症状を引き起こします。

消化機能の低下

暑いと、どうしても冷たい食べ物や飲み物に手が伸びがちです。しかし、これらが食欲不振のもう一つの原因になることがあります。冷たいものを一度に大量に摂取すると、胃腸が直接冷やされて血行が悪くなります。

その結果、食べ物を消化するために必要な消化酵素の働きが鈍くなってしまうのです。胃腸の動きそのものも弱まるため、食べ物がうまく消化されず、食欲不振や下痢、胃の不快感につながることがあります。

水分・ミネラル不足

夏は汗をたくさんかくため、体内の水分が失われがちです。この時、水分だけでなく、ナトリウムやカリウムといったミネラルも汗と一緒に体外へ排出されています。水分が不足すると、消化液の分泌も減ってしまい、消化能力が低下します。

また、ミネラル不足は体のだるさや疲労感の原因となり、これが間接的に食欲の低下を招くことも少なくありません。気づかないうちに軽い脱水状態に陥っていることも、夏バテによる食欲不振の一因です。

食欲がない時の食べやすいもの

夏バテで食欲がない時は、無理に普段通りの食事を摂る必要はありません。大切なのは、胃腸に負担をかけず、少量でも効率よく栄養を補給できるものを選ぶことです。ここでは、食欲がない時でも比較的口にしやすい食べ物の特徴と具体例をご紹介します。

まず、喉越しが良く、つるっと食べられるものがおすすめです。代表的なのは、そうめんや冷や麦、うどんです。これらは調理も簡単で、食欲がない時でも食べやすいでしょう。ただし、麺類だけだと栄養が偏りがちになるため、工夫が必要です。

例えば、そうめんのつゆに、すりおろしたショウガや刻んだミョウガ、大葉といった香味野菜を加えるだけで、風味が豊かになり食欲を刺激してくれます。また、タンパク質を補うために、温泉卵やツナ、蒸し鶏などをトッピングするのも良い方法です。

おかゆや雑炊、茶碗蒸しといった温かくて消化の良い食べ物も非常に適しています。冷たいものばかりを摂っていると胃腸が冷えて機能が低下するため、意識的に温かいものを食事に取り入れることが大切です。温かい食事は胃腸を優しく温め、消化を助ける効果が期待できます。

その他、冷製スープ（ビシソワーズやかぼちゃのスープなど）や、喉越しの良いゼリー、ヨーグルトなども良い選択肢です。特にヨーグルトは、腸内環境を整える助けにもなります。

夏バテ対策におすすめの食べ物

食欲が少しでも湧いてきたら、夏バテからの回復を助ける栄養素を意識的に摂取することが重要です。ここでは、夏バテ対策に特に効果的とされる栄養素と、それらを豊富に含む食べ物をご紹介します。

食事から効率よくエネルギーを生み出し、疲労を回復させることが、夏バテによる食欲不振から抜け出すための鍵となります。

エネルギー代謝を助ける「ビタミンB1」

ビタミンB1は、食事から摂った糖質をエネルギーに変換する際に不可欠な栄養素です。これが不足すると、エネルギーがうまく作られず、夏バテの症状であるだるさや疲労感が現れやすくなります。特に、そうめんやパンなど糖質中心の食事になりがちな夏は、意識して摂取したい栄養素です。

疲労回復を促す「クエン酸」

クエン酸は、梅干しやレモン、お酢などに含まれる酸味成分です。体内でエネルギーを生み出すサイクルを活発にし、疲労物質である乳酸の分解を助ける働きがあるとされています。そのさっぱりとした酸味は、唾液や胃液の分泌を促し、食欲を増進させる効果も期待できます。

栄養素の吸収を高める「アリシン」

アリシンは、にんにくやニラ、玉ねぎなどに含まれる特有の香り成分です。このアリシンは、ビタミンB1の吸収率を高め、その効果を長く持続させる働きがあります。ビタミンB1が豊富な豚肉と、アリシンを含むニラや玉ねぎを一緒に炒める「豚肉のニラ玉炒め」などは、非常に理にかなった組み合わせです。

回復を助ける効果的な飲み物

夏バテ対策では、何を食べるかと同じくらい、何を飲むかが重要です。汗で失われるのは水分だけではありません。体内の電解質バランスを保つミネラルも同時に失われています。そのため、ただの水を飲むだけでなく、失われたミネラルを補給できる飲み物を選ぶことが回復への近道です。

最も手軽で推奨されるのが麦茶です。麦茶はノンカフェインであるため、利尿作用を気にせずいつでも飲むことができます。また、汗で失われがちなカリウムやナトリウムといったミネラルを少量含んでいる点も、夏場の水分補給に適している理由です。

汗を大量にかいた後や、めまい・だるさなど脱水のサインが見られる場合は、経口補水液の活用が効果的です。経口補水液は、水分と電解質を素早く体に吸収できるよう、成分濃度が調整されています。薬局やドラッグストアで購入できますので、万が一のために常備しておくと安心です。

食事が十分に摂れない時は、飲み物から栄養を補うという視点も大切です。野菜ジュースやスムージーは、水分と同時にビタミンやミネラルを手軽に補給できる良い選択肢となります。ただし、市販の製品を選ぶ際は、糖分の量に注意が必要です。

吐き気を伴う時の食事の工夫

夏バテの症状が進行し、食欲不振だけでなく吐き気まで感じてしまう場合は、食事の摂り方に一層の注意が必要です。このような状態の時は、胃腸に極力負担をかけず、休ませてあげることが最優先となります。

まず、絶対に無理して固形物を食べるべきではありません。「何か食べなければ」という焦りが、かえって症状を悪化させる可能性があります。吐き気がある時は、食事を一旦休み、水分補給に専念しましょう。水分も一度にたくさん飲むのではなく、常温の水や経口補水液をスプーン一杯ずつなど、ごく少量から試すのがポイントです。

少し状態が落ち着いて、何か口にできそうだと感じたら、以下のようなものから試してみると良いでしょう。

ここでの重要な注意点は、冷たすぎるものや熱すぎるものを避けることです。胃腸への刺激が少ない、人肌程度の温度のものが最も適しています。また、酸味の強い柑橘系のジュースや、脂肪分・食物繊維が多い食べ物も、胃に負担をかけるため避けるべきです。

吐き気が数時間でおさまらず、水分補給すら困難な状態が続く場合は、脱水症状が進行する危険性があります。ためらわずに医療機関を受診することを検討してください。

夏バテ 食欲不振の具体的な解消法と受診の目安

• 何も食べたくない時の究極の対処法
• 食事以外でできる効果的な夏バテ対策
• 生活習慣の見直しで夏バテを解消
• 自宅でできる簡単なセルフケア治し方
• 症状が改善しない時に病院の何科へ行くべきか
• 夏バテによる食欲不振を乗り切るために

何も食べたくない時の究極の対処法

夏バテが深刻化し、「何も食べたくない」と感じるほどの強い食欲不振に陥ることもあります。このような状態では、固形物を口にすること自体が苦痛に感じられるでしょう。しかし、何も摂取しない状態が続くと、体力はますます消耗してしまいます。

ここでの究極の対処法は、「食べる」ことから「補給する」ことへ意識を切り替えることです。食事の形にこだわらず、最低限必要な水分と栄養素を、最も負担の少ない方法で体に入れることを考えましょう。

最も手軽で効果的なのが、栄養補助食品の活用です。特に、ドラッグストアなどで手に入るゼリー飲料は、食欲が全くない時の強い味方になります。これらは、水分補給と同時に、ビタミンやミネラル、少量でもエネルギー源となる糖質などを効率よく摂取できるように設計されています。

ゼリー飲料を選ぶ際は、エネルギー補給を目的としたもの、ビタミン補給を目的としたものなど、様々な種類があります。ご自身の状態に合わせて選んでみてください。まずは一口だけでも、喉を通す努力をしてみましょう。

この段階で最も重要なのは、水分補給を怠らないことです。食事が摂れなくても、水分さえ適切に補給できていれば、すぐに深刻な状態に陥ることはありません。経口補水液や麦茶などを、枕元に常備しておくと良いでしょう。

食事以外でできる効果的な夏バテ対策

夏バテによる食欲不振は、食事の工夫だけで解決するとは限りません。根本的な原因である自律神経の乱れを整えるためには、食事以外の生活習慣を見直すことが非常に効果的です。ここでは、日常生活に手軽に取り入れられる対策を3つご紹介します。

適度な運動を心がける

暑いからといって一日中動かずにいると、かえって体の機能が低下してしまいます。体力を消耗しない程度の軽い運動は、全身の血行を促進し、自律神経の働きを整えるのに役立ちます。

おすすめは、日差しが和らぐ早朝や夕方以降のウォーキングです。20分から30分程度、心地よい汗をかくくらいのペースで歩いてみましょう。運動によって生活リズムにメリハリがつき、食欲増進や質の良い睡眠にもつながります。

ぬるめのお湯でリラックス入浴

シャワーだけで済ませがちな夏ですが、湯船に浸かることは自律神経を整える絶好の機会です。ポイントは、38℃から40℃程度のぬるめのお湯に、10分から15分ほどゆっくり浸かることです。

これにより、リラックスを司る副交感神経が優位になり、日中の緊張や興奮が和らぎます。血行が良くなることで、胃腸の働きも活発になる効果が期待できます。熱すぎるお湯は交感神経を刺激してしまうため逆効果です。

香りで心身をリフレッシュ

アロマテラピー（芳香浴）も、自律神経のバランスを整える手軽な方法の一つです。アロマディフューザーを使ったり、ティッシュにアロマオイルを1、2滴垂らして枕元に置いたりするだけで、心地よい香りが心身をリラックスさせてくれます。

夏バテには、リラックス効果の高いラベンダーや、清涼感があり気分をリフレッシュさせてくれるペパーミント、オレンジ・スイートなどがおすすめです。

生活習慣の見直しで夏バテを解消

前述の対策に加えて、日々の基本的な生活習慣そのものを見直すことが、夏バテの根本的な解消につながります。特に「睡眠」と「体温調節」は、自律神経のコンディションに直結する重要な要素です。当たり前のことを見直すだけで、体調は大きく改善することがあります。

睡眠の質を高める工夫

夏は寝苦しさから睡眠の質が低下しがちです。睡眠不足は自律神経の乱れを悪化させ、疲労回復を妨げます。快適な睡眠環境を整えるために、以下の点を意識しましょう。

上手な体温調節

自律神経の疲弊を防ぐためには、急激な温度変化を避けることが肝心です。冷房の効いた室内と屋外との温度差は5℃以内に抑えるのが理想とされています。設定温度を過度に下げすぎず、扇風機を併用して空気の循環を促すだけでも体感温度は下がります。

また、オフィスなどで自分で温度調節が難しい場合は、カーディガンやストールなどを一枚羽織る、温かい飲み物を飲むなどして、体が冷えすぎないように自己防衛することも大切です。

自宅でできる簡単なセルフケア治し方

これまでにご紹介した食事や生活習慣の改善は、夏バテによる食欲不振に対する総合的な「治し方」と言えます。ここでは、それらに加えて、自宅で手軽にできるセルフケアとして「ツボ押し」をご紹介します。胃腸の調子を整え、食欲を回復させる助けになるかもしれません。

ツボ押しは、リラックスした状態で行うのが効果的です。深い呼吸をしながら、心地よいと感じる強さで、ゆっくりと押してみてください。

胃腸の働きを助けるツボ

中脘（ちゅうかん）

• 場所：おへそと、みぞおち（胸骨の下のくぼみ）を結んだ線の真ん中にあります。
• 押し方：人差し指と中指をそろえ、息を吐きながらゆっくりと5秒ほど押し、息を吸いながら力を抜きます。これを数回繰り返します。胃の不快感や食欲不振に効果的とされています。

足三里（あしさんり）

• 場所：膝のお皿の外側にあるくぼみから、指4本分下にあります。すねの骨の外側です。
• 押し方：親指で、少し痛みを感じるくらいの強さで5秒ほど押し、ゆっくり離します。これを数回繰り返します。胃腸の調子を整える万能のツボとして知られています。

セルフケアを行っても症状が改善しない、あるいは悪化するような場合は、自己判断で続けるのではなく、専門家である医師に相談することが重要です。次の項目で、病院を受診する目安について詳しく解説します。

症状が改善しない時に病院の何科へ行くべきか

夏バテによる食欲不振は、多くの場合セルフケアで改善が見込めます。しかし、症状が長引いたり、食欲不振以外の深刻な症状が現れたりした場合は、他の病気が隠れている可能性も否定できません。そのような場合は、ためらわずに医療機関を受診してください。

では、どのような状態になったら病院へ行くべきなのでしょうか。以下に具体的な目安を挙げます。

これらの症状が見られる場合、単なる夏バテではなく、胃腸炎や重度の脱水症、その他の内科的な疾患の可能性があります。

では、どの診療科を受診すればよいのでしょうか。まず、かかりつけの内科があれば、そちらに相談するのが最もスムーズです。かかりつけ医がいない場合は、一般的な内科、または胃腸の症状が特に強い場合は消化器内科（胃腸科）を受診するのが適切です。

医師に相談することで、症状の原因を正確に診断してもらえるだけでなく、必要に応じて点滴による水分・栄養補給や、胃腸の働きを助ける薬の処方など、専門的な治療を受けることができます。自己判断で我慢しすぎず、つらい時は専門家を頼ることが大切です。

夏バテによる食欲不振を乗り切るために

この記事では、夏バテによる食欲不振の原因から、具体的な対策、セルフケア、そして医療機関を受診する目安までを詳しく解説しました。最後に、重要なポイントをリストでまとめます。

夏の食欲不振は誰にでも起こりうる症状です。しかし、正しい知識を持って対策すれば、つらい時期を乗り切り、元気に夏を過ごすことができます。この記事で紹介した情報を参考に、ご自身の体調と向き合いながら、無理のない範囲で実践してみてください。