夏バテの吐き気は危険？原因と治し方、食事や薬での対処法を解説

夏になると、なぜか吐き気やだるい症状に悩まされることはありませんか。

時には頭痛やめまいを伴うこともあり、とても辛い状態ですよね。

深刻な食欲不振で、どんな食べ物や飲み物を選べば良いか分からなくなるでしょう。

このような夏バテの治し方を探している方も多いはずです。

市販の薬で対処すべきか、病院の何科へ行くべきか迷うかもしれません。

特に子供の体調不良は、親として非常に心配になるものです。

この記事では、夏バテによる吐き気の原因から具体的な対処法までを詳しく解説します。

夏バテで吐き気が…考えられる原因と症状

• 吐き気と伴うだるい症状の正体
• こめかみが痛む頭痛も夏バテのサイン
• 立ちくらみやめまいを感じる時の注意点
• 全く食べられない食欲不振への対処
• 特に注意が必要な子供の夏バテ症状

吐き気と伴うだるい症状の正体

夏バテで吐き気と同時に「体が鉛のように重い」「何もする気が起きない」といった、だるい症状を感じる方は非常に多いです。

この主な原因は、エネルギー不足と栄養素の欠乏にあります。暑さで食欲が落ちると、食事量が減り、特にエネルギー源となる糖質が不足しがちになります。

また、そうめんや冷や麦など、のどごしの良い炭水化物に偏った食事も注意が必要です。

糖質をエネルギーに変える際には、「ビタミンB1」が不可欠です。しかし、このビタミンB1が不足すると、摂取した糖質をうまくエネルギーに変換できず、体内に疲労物質が溜まりやすくなります。

これが、だるさや倦怠感の直接的な引き金となるのです。

さらに、汗をかくことでビタミンやミネラルも体外へ排出されてしまいます。これらの栄養素が不足することも、体の様々な機能の低下を招き、だるさを助長する一因となります。

こめかみが痛む頭痛も夏バテのサイン

夏バテの症状として、吐き気と並行して頭痛に悩まされるケースも少なくありません。

特に「こめかみがズキズキ痛む」「頭が締め付けられるように重い」といった症状が見られます。

この頭痛の主な原因は、「自律神経の乱れ」と「脱水」の2つが考えられます。

自律神経の乱れによる頭痛

私たちの体は、自律神経（交感神経と副交感神経）の働きによって体温などを一定に保っています。

しかし、冷房の効いた涼しい室内と、猛暑の屋外とを頻繁に行き来することで、自律神経に大きな負担がかかります。

この温度差に対応しようと自律神経が過剰に働くことでバランスが崩れ、血管の収縮・拡張がうまくいかなくなります。

結果として、脳への血流が不安定になり、緊張型頭痛や片頭痛に似た痛みが生じることがあるのです。

脱水による頭痛

もう一つの原因は、気づかないうちに進行する脱水です。汗で体内の水分が失われると、血液の全体量が減少します。

血液がドロドロになり血流が悪化すると、脳に十分な酸素や栄養が届きにくくなり、頭痛が引き起こされます。

特にのどの渇きを感じる前に、こまめな水分補給を心がけることが重要です。

立ちくらみやめまいを感じる時の注意点

「急に立ち上がったらクラっとした」「視界がグルグル回るような感じがする」といった、立ちくらみやめまいも夏バテの代表的な症状です。

この背景には、主に「脱水による血圧の低下」が関係しています。

夏は大量に汗をかくため、体内の水分が不足しがちです。水分が不足すると体内を循環する血液の量が減少し、血圧が低下します。

この状態で、座っていたり横になったりした姿勢から急に立ち上がると、重力によって血液が下半身に集まり、脳への血流が一時的に追いつかなくなります。

これが「起立性低血圧」と呼ばれる状態で、立ちくらみの直接的な原因です。

また、前述の通り、自律神経の乱れもめまいの原因となり得ます。自律神経は血圧のコントロールだけでなく、体の平衡感覚を保つ三半規管の働きにも影響を与えるためです。

自律神経が乱れると、これらの調整がうまくいかなくなり、ふわふわとした浮動性のめまいを感じることがあります。

全く食べられない食欲不振への対処

夏バテの症状の中でも特に辛いのが、深刻な食欲不振です。「食べ物のことを見たり考えたりするだけで気分が悪くなる」という状態に陥ることもあります。

これは、暑さによる自律神経の乱れが、胃や腸の消化活動をコントロールする働きを低下させてしまうことが大きな原因です。

胃酸の分泌が減ったり、腸のぜん動運動が鈍くなったりすることで、消化不良や胃もたれが起こりやすくなり、結果として食欲が湧かなくなります。

また、冷たい飲み物や食べ物を摂りすぎることも、胃腸を直接冷やしてしまい、その機能をさらに低下させる悪循環につながります。

食欲が全くない時に、無理に固形物を食べようとするのは逆効果です。弱っている胃腸にさらに負担をかけてしまい、吐き気を悪化させる可能性があります。

しかし、何も口にしないと脱水や栄養失調に陥ってしまうため、工夫が必要です。

まずは、水分と電解質、そして最低限のエネルギーを補給することを最優先に考えましょう。

経口補水液やスポーツドリンク、野菜スープ、具なしの味噌汁など、液体状のものから試してみるのが良いでしょう。

少し食べられそうであれば、のどごしの良いゼリー飲料や、消化の良いプリン、茶わん蒸しなどもおすすめです。

特に注意が必要な子供の夏バテ症状

大人でも辛い夏バテですが、子供は特に注意が必要です。子供は大人に比べて夏バテになりやすく、症状が重篤化しやすい特徴があります。

その理由は、子供の体が持ついくつかの特性にあります。

子供が夏バテしやすい理由

• 体温調節機能が未熟：汗をかく機能が十分に発達していないため、体内に熱がこもりやすく、体温が上昇しやすくなっています。
• 体重あたりの水分必要量が多い：体内の水分量が占める割合が大人よりも高く、少しの水分不足でも脱水症状に陥りやすいです。
• 地面からの距離が近い：身長が低いため、アスファルトなどからの照り返しの熱を大人よりも強く受けてしまいます。
• 症状をうまく伝えられない：「だるい」「気持ち悪い」といった体調の変化を、自分の言葉で正確に伝えることが難しい場合があります。

これらの理由から、大人が「少し暑いな」と感じる程度でも、子供は深刻なダメージを受けている可能性があります。

保護者が子供の様子の変化を注意深く観察し、早めにサインを察知してあげることが何よりも重要です。

すぐ試せる夏バテの吐き気への対処法

• 吐き気がある時におすすめの食べ物
• 脱水症状を防ぐ上手な飲み物の選び方
• 症状を緩和する市販薬の活用法
• 病院に行く目安と何科を受診すべきか
• 自宅でできる夏バテの治し方セルフケア

吐き気がある時におすすめの食べ物

夏バテで吐き気がある時は、胃腸が非常にデリケートな状態になっています。

このような時に無理に食事を摂ると、かえって症状を悪化させてしまう可能性があります。

食事の基本は、「消化が良く、胃に優しいもの」を「少量ずつ」摂取することです。

まずは胃腸を休ませ、少しずつ回復させていくことを目指しましょう。

吐き気が少し落ち着いて、何か口にできそうだと感じたら、以下のような食べ物から試してみるのがおすすめです。

脱水症状を防ぐ上手な飲み物の選び方

夏バテによる吐き気の背景には、多くの場合、「かくれ脱水」が潜んでいます。

自分では気づかないうちに、汗や呼吸によって体から水分と電解質（塩分やミネラル）が失われている状態です。

このため、水分補給は夏バテ対策の基本中の基本と言えます。

しかし、ただやみくもに水を飲めば良いというわけではありません。

重要なのは、失われた水分と電解質の両方を効率的に補給することです。汗を大量にかいた後に水だけを大量に飲むと、体液が薄まってしまい、かえって体調を崩す原因にもなりかねません。

状況に応じた飲み物の選択

水分補給に適した飲み物は、その時の体の状態によって異なります。

症状を緩和する市販薬の活用法

つらい吐き気や胃の不快感を和らげるために、市販薬を利用するのも一つの方法です。

ただし、市販薬はあくまで一時的に症状を緩和するための対症療法です。

夏バテの根本的な原因である自律神経の乱れや体力低下を治すものではないことを理解しておく必要があります。

薬を選ぶ際は、自分の症状に合ったものを選ぶことが重要です。夏バテによる吐き気や胃の不調に使える市販薬には、主に以下のような種類があります。

胃腸機能改善薬

弱った胃腸の働きを助ける成分が含まれています。

• 消化を助ける薬：消化酵素が含まれており、食べ物の消化をサポートします。胃もたれや食欲不振に効果が期待できます。
• 胃の運動を促す薬：生薬などが配合され、低下した胃のぜん動運動を活発にします。
• 胃粘膜を保護・修復する薬：荒れた胃の粘膜を守り、修復を助ける成分が含まれています。

制吐薬（吐き気止め）

乗り物酔いの薬などに含まれている成分で、吐き気の中枢に働きかけて症状を抑えるものもあります。

ただし、吐き気は体からの重要なサインでもあるため、安易な使用には注意が必要です。

病院に行く目安と何科を受診すべきか

「夏バテくらいで病院に行くのは大げさかな」と考える方もいるかもしれません。

しかし、症状が長引いたり、我慢できないほど辛かったりする場合は、迷わず医療機関を受診してください。

夏バテによる吐き気の裏には、熱中症や食中毒といった緊急性の高い病気や、他の消化器系の病気が隠れている可能性も考えられます。

自己判断で放置することが最も危険です。以下のような症状が見られる場合は、セルフケアで様子を見るのではなく、速やかに病院へ行きましょう。

何科を受診すれば良い？

どの診療科に行けば良いか迷う場合、まずはかかりつけ医に相談するのが一番です。

かかりつけ医がいない場合は、一般的に以下の診療科が選択肢となります。

• 内科・総合診療科：吐き気やだるさ、頭痛など、全身の症状を総合的に診てもらえます。まずはどこを受診すれば良いか分からない場合に適しています。
• 消化器内科：吐き気や食欲不振など、胃腸の症状が特に強い場合は、消化器の専門医に診てもらうのが良いでしょう。
• 小児科：症状を訴えているのが子供の場合は、必ず小児科を受診してください。

病院では、症状に応じて点滴による水分・栄養補給や、症状を和らげる薬の処方など、適切な治療を受けることができます。辛い症状を我慢せず、専門家の判断を仰ぐことが大切です。

自宅でできる夏バテの治し方セルフケア

夏バテによる吐き気などの症状を改善し、再発を防ぐためには、食事や水分補給だけでなく、日々の生活習慣を見直すことが不可欠です。

ここでは、自宅で手軽に実践できるセルフケアの方法をいくつかご紹介します。乱れがちな自律神経のバランスを整え、体の回復力を高めていきましょう。

ぬるめのお風呂でリラックス

暑いとついシャワーだけで済ませがちですが、ぜひ湯船に浸かる習慣を取り入れてみてください。

38～40℃程度のぬるめのお湯に10～15分ほどゆっくり浸かることで、副交感神経が優位になり、心身ともにリラックスできます。

血行が促進され、胃腸の働きを整える効果も期待できます。

質の良い睡眠を確保する

睡眠は、日中に受けた体のダメージを修復し、自律神経のバランスを整えるための最も重要な時間です。

寝苦しい夜は、エアコンや扇風機を適切に使い、快適な室温（28℃前後が目安）を保ちましょう。

タイマー機能を活用し、体が冷えすぎないように工夫することも大切です。また、就寝前にスマートフォンやパソコンの画面を見るのは避け、リラックスできる環境を整えましょう。

体を冷やしすぎない工夫

冷房の効いた室内に長時間いると、体が冷えすぎて血行が悪くなり、自律神経の乱れにつながります。

オフィスなど自分で温度調節が難しい場所では、カーディガンやひざ掛け、レッグウォーマーなどを活用して、体を冷えから守る工夫をしましょう。

軽い運動を取り入れる

体調が良い日には、軽い運動を取り入れるのも効果的です。特に朝や夕方の涼しい時間帯に、ウォーキングやストレッチを行うのがおすすめです。

適度に体を動かすことで、血行が促進され、食欲増進や質の良い睡眠にもつながります。

正しい知識で夏バテの吐き気を乗り切る

この記事では、夏バテによる吐き気の原因から、具体的な対処法までを詳しく解説してきました。最後に、今回の内容の要点をリスト形式で振り返ります。

厳しい夏を元気に乗り切るためには、夏バテのサインに早めに気づき、正しく対処することが重要です。今回ご紹介した情報を参考に、ご自身の体をいたわりながら、適切なセルフケアや医療機関の受診を心がけてください。