襖が壊れたときどうする?自分でできる修理と業者依頼の目安

襖が壊れたときどうする?自分でできる修理と業者依頼の目安 暮らし

和室の襖は毎日触れるもので小さな破れから動かしにくさまで、気になり出すと止まりません。次のような悩みをお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

  • 手早く目立たない補修をしたいが、道具ややり方が分からない
  • 張替えの費用相場や紙の種類を知って、失敗なく選びたい
  • 枠が歪んで動かないどの程度なら業者に頼むべきか迷う

この記事では、症状別に「DIYか業者か」を見極める軸を整理し、道具選びから手順、費用の目安、素材の比較、見積もりの確認ポイントまでを一気に解説します。読後には、今の状態でベストな選択と、無駄のない進め方が分かります。

襖修理の判断基準とは?自力か業者かを見分ける

襖修理は「補修レベル」張替えレベル」建具レベル」の3段階で考えると選びやすくなります。軽度はDIY、機能不良は業者を基本に、仕上がりと費用、時間のバランスで決めましょう。  

軽度の破れ・穴・汚れはDIYで十分

小指の先ほどの穴や部分的な破れ、表面の汚れはDIYで可能です。補修用の和紙パッチやシール、滲み止めスプレーで見た目を整えられます。ペットの引っかき傷や子どもの落書き跡も、部分補修で費用を抑えられます。

  • 道具:カッター、定規、刷毛、スポンジ、でんぷん糊、ピンセット
  • 材料:補修用和紙(新鳥の子・雲竜など)、パッチ、補修シール、滲み止め
  • 目安費用:500~2,000円

全面の破れ・黄ばみ・模様替えは張替えがおすすめ

広範囲の破れや経年の黄ばみ、柄を変えたい場合は張替えが適しています。DIYでも可能ですが、下張りや糊の扱い、しわ・伸び対策にコツが必要です。仕上がり重視なら業者依頼が安心です。

  • DIY費用目安:2,000~6,000円/枚(紙のグレードで変動)
  • 業者の料金相場:3,500~25,000円/枚(和紙・織物・意匠性で幅)

枠・骨組み・引手・棹縁の不具合は業者が安全

外れやすい、動かない、骨組みの割れ、引手のガタつきなどは無理にDIYでするのは危険です。床や畳を傷めるおそれもあるため、建具店や表具職人に任せるのが安全です。

予算・スケジュール・仕上がりのバランスで決める

模様替えの時期、来客予定、子どもやペットの動線、賃貸の退去時期など、現実的な条件も判断材料です。「軽度はDIY、機能不良は業者」を軸に考えましょう。次からは具体的な手順と費用を見ていきます。

襖の構造基礎知識

襖は紙だけでなく、枠や骨組み、下張り、引手、棹縁などの組み合わせで成り立ちます。構造を理解すると、無駄のない修理が選べます。

襖紙と下張りの役割

襖紙(本紙)は見た目を、下張りは強度と平滑性を担います。茶チリ紙などの下張りは伸縮を吸収し、しわを抑えます。簡易的な重ね貼りは手軽ですが、耐久性と平滑性では劣ります。

和紙・織物の種類

新鳥の子は扱いやすく、雲竜は繊維模様で補修跡がなじみやすい特長があります。織物紙は高級感と強度が魅力ですが価格は上がり、施工も難しくなります。滲み止め加工がある紙は汚れに強く、実用的です。

建具としてのポイント

軽量化のため骨組みは繊細です。棹縁や引手のガタつきは破れの原因になりやすいため、早めの調整が大切です。取り外しは上レールに持ち上げて外すのが基本です。

クリーニングの限界

表面清掃で落ちる汚れは限られます。紙の内部まで入ったシミは取れにくく、古い紙は清掃でムラが広がることもあります。迷うなら張替え検討が現実的です。

DIYでできる襖修理:部分補修から簡易張替えまで

初めてでも進めやすいよう、道具選びから補修・張替えの流れを整理します。  

小さな破れ・穴の補修(パッチ貼付け)

同系色の和紙パッチで貼り込みます。破れの毛羽立ちを整え、薄めたでんぷん糊を刷毛で塗って圧着し、乾燥後に段差をなでてならします。100均の補修シールは手軽ですが、強粘着は紙を傷めることがあるため仮補修向きです。

  • 推奨道具:カッター、金属定規、のり刷毛、ヘラ、当て紙
  • コツ:繊維の流れに合わせてカットし、端を斜めに落として段差を軽減
  • 注意:粘着テープは剥がす際に襖紙を破く恐れあり

擦り傷・汚れの軽微なクリーニング

柔らかい布でホコリを落とし、消しゴムや練り消しで軽く整えます。水拭きは最小限にとどめ、滲み止め加工がある紙のみ軽く行います。油性汚れは専用消しを部分的に使いましょう。

簡易張替え(本紙のみの重ね貼り)

古い紙の上から新しい本紙を貼る方法です。糊は薄めのでんぷん系を均一に塗り、中心から外へ空気を抜きます。上下は10~20mm残して乾燥後にカットすると、仕上がりが安定します。

  • 準備:取り外し→枠の埃除去→本紙を仮置きして柄合わせ
  • 乾燥:風が直接当たらない室内で半日~1日
  • 仕上げ:余分をカットし、引手周りは丁寧に抜く

引手の交換・増し締め

グラつきは内側の固定爪を広げるか、両面粘着で増し締めします。交換は同径を用意し、内側から軽く叩いて外します。枠や棹縁が緩んでいる場合は業者へ頼みましょう。

DIYのデメリットと注意点

DIYは安く早い反面、糊ムラやしわ、柄ずれ、冬場の収縮による剥がれ、テープ跡などのリスクがあります。骨組みや枠にダメージがあると再発しやすい点も要注意です。仕上がりと耐久性を重視するなら、下張り施工や織物紙はプロに任せるのが得策です。

業者に依頼すべき襖修理と費用相場

どこから業者に頼むべきか、費用はどのくらいか。相場と見積もりの見方を押さえておくと迷いません。

業者向きの症状

  • 骨組みの割れ、枠の歪み、棹縁の外れ・ねじれ
  • 開閉不良、レールとの擦れ音、戸先の欠け
  • 襖と障子、網戸、畳の段差や立て付けをまとめて調整したい
  • 大判の穴や広範囲の破れ、経年劣化による波打ち
  • 下張りからやり直したい、織物紙や高級和紙を選びたい

張替え・交換の料金相場

下記は一般的な目安で、地域や紙の等級、枚数で変わります。運搬費や出張費が別の場合もあります。

内容料金相場(1枚)備考
普及ランクの襖紙(新鳥の子)張替え3,500~7,000円下張り簡易、柄少なめ
中級(雲竜・機械すき和紙)7,000~12,000円防汚や滲み止め加工あり
高級(手すき和紙・織物)12,000~25,000円意匠性・耐久性が高い
片面張替え追加(両面化)+3,000~8,000円枚数割引あり
引手交換1,000~4,000円部材代別のことあり
棹縁補修・調整3,000~10,000円症状次第で変動
骨組み補修・交換8,000~25,000円重度は交換提案も

見積もりで確認すべきポイント

  • 本紙の種類と等級(新鳥の子・雲竜・織物・本鳥の子など)
  • 下張りの有無と層構成(茶チリ紙の枚数、下地調整の内容)
  • 滲み止めや防汚、ペット対応などの表面加工
  • 引取・納品の運搬費、出張費、枚数割引
  • 施工保証期間、アフター対応(剥がれ・縮み)

交換を検討すべきケース

開閉時に大きく歪む、手で押すと沈む感覚があるなど内部劣化が進んでいる場合は、張替えより交換が長持ちします。和室全体の建具調整を同時に行うと、レールの擦れや戸車の音も改善します。

失敗しない素材選び:襖紙と柄と機能の比較

見た目・耐久性・予算の落としどころを決めるには、素材の特性を押さえるのが近道です。  

和紙と織物の違い

和紙(新鳥の子・雲竜など)は軽くて扱いやすく、雲竜は繊維模様で補修跡がなじみます。織物紙は立体感と強度に優れますが、糊や伸縮管理が難しく、プロ施工が向きます。

柄・色の選び方

  • 明るい無地は空間を広く見せ、障子や畳と調和しやすい
  • 木目調や織り柄は汚れが目立ちにくい
  • モダン柄は一面だけのアクセントにすると取り入れやすい
  • 既存の引手や棹縁の色味に合わせると統一感が出る

機能面での選定

滲み止め、防汚、耐スクラッチ、ペット対応の強化紙など、生活環境に合う機能を選ぶと長持ちします。日当たりの強い部屋は退色しにくい素材が安心です。

症状別チェックリストDIYか業者かの判定

迷ったら、次のチェックを順に確認しましょう。  

破れ・穴

大きさ推奨対応
小(1~2cm)和紙パッチで補修
中(手のひら程度)簡易張替え or 業者の片面張替え
大(A4以上)業者の張替え(下張りから)

汚れ・黄ばみ・シミ

表面の軽い汚れはクリーニングで対応します。紙の内部まで染みたシミや黄ばみは張替えが確実です。黒カビが見られる場合は下張りからやり直し、内部の乾燥状態も確認します。

開閉不良・歪み

  • レールのゴミ詰まり:掃除で改善
  • 軽い擦れ:戸先の微調整や引手の増し締め
  • 大きな歪み:棹縁・骨組みの補修が必要。業者に依頼

ペット・子どもによる再発対策

下部だけ強化紙や織物紙を選ぶと効果的です。低い位置に透明保護シートをピンポイントで貼るのも有効で、いたずらが続く間は仮補修で様子を見るのが効果的です。

取り外しと搬出のコツ安全第一で行う

DIYでの取り外しは段取りが肝心です。以下の手順に従って見てみましょう。

取り外し手順

  • 上に持ち上げて下を手前に引く
  • 片手作業は避け、二人で行う
  • 畳や床は毛布や段ボールで養生する

バール・金づちの使用は最小限に

固着した部位を無理に外すと枠や紙を傷めます。当て木で力を分散し、少しでも不安なら作業を止めて相談しましょう。

乾燥・保管

張替え後は風を直接当てず、直射日光も避けて自然乾燥します。立て掛け保管は歪みや転倒のリスクがあるため、可能なら平置きが理想です。

費用を抑えるコツ:賢く選んで長く使う

費用は素材選びと工事範囲で大きく変わります。無理なく長持ちさせる工夫を取り入れましょう。

どこに費用をかけ、どこを節約するか

  • 見える面(本紙)は中級以上、裏面は普及紙で節約
  • 片面だけアクセント柄、他面は無地でコストダウン
  • まとめ張替えで運搬・出張費の割安を狙う
  • 100均の補修は仮対応にとどめ、長期は和紙パッチへ

見積もり比較のコツ

最低でも2~3社で、本紙の等級、下張り工程、保証の有無を比較します。「一式」ではなく内訳の明示を依頼し、追加費を防ぎます。事前に写真を共有するのもいいでしょう。

よくある質問(FAQ)

賃貸で襖紙が破れた。修理費用はどうなる?

契約や管理会社の方針によります。原状回復の範囲が変わるため、自己判断での交換前に必ず連絡しましょう。テープ跡が原状回復費の増額につながることもあります。

障子や網戸も一緒に頼むと安くなる?

同時施工で運搬・出張が1回で済み、総額が下がるケースがあります。畳の表替えと合わせると、見た目と立て付けが整うので検討してみましょう。

織物紙は本当に丈夫?

面の耐久は高いですが、角の当たりや衝撃には限界があります。ペット対策は下部だけでも保護シートを併用すると安心です。

施工ステップ早見表DIYと業者の違い

ステップDIYの要点業者施工の要点
現状確認穴・破れ・歪みをチェック下張り・骨組みの内部まで診断
取り外し二人で養生して安全に養生・運搬・保管まで一括
下地調整簡易クリーニング茶チリ紙からの下張り再構成
貼り糊濃度と刷毛ムラに注意温湿度管理で伸縮を制御
仕上げ余白カット・引手調整棹縁調整・面直し・保証付き

まとめ

襖修理は、軽い破れや小さな穴ならDIYで十分整えられます。一方で、枠や骨組みの歪み、広範囲の破損、下張りの劣化は専門的な調整が必要です。軽度はDIY、機能不良は業者を軸に、紙は新鳥の子や雲竜など用途で選び、滲み止めや防汚の有無も比べましょう。見積もりでは紙の等級、下張り、保証、運搬費の内訳を確認し、写真共有でミスマッチを防ぐと安心です。和室の障子や畳、網戸も一緒に整えると、日々の開閉ストレスが減り、心地よさが長持ちします。

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