障子の種類と素材の違いを解説|和紙・樹脂・強化タイプの特徴

障子の種類と素材の違いを解説|和紙・樹脂・強化タイプの特徴のアイキャッチ 暮らし

「障子はどれも同じ」に見えても、素材が違うと使い心地や持ちが大きく変わります。  

こんな悩みはありませんか?

  • 和紙とプラスチック、PET樹脂の違いがよくわからない
  • 子どもやペットがいても破れにくいタイプを知りたい
  • 和室の雰囲気は保ちつつ、汚れや結露にも強くしたい

本記事では、主要素材の特徴と向き不向きを整理し、部屋や用途別の選び方、張替えの費用感までを一気に確認できます。迷ったときの判断軸が手に入り、後悔しない素材選びができるようになります。

障子の種類と素材とは?基本構造と用語の整理

障子は木の枠に組子を組み、表面に障子紙を貼った建具です。光をやわらげて室内に届け、風合いのある雰囲気をつくります。素材は大きく、和紙、プラスチック障子紙(PVC系)、PET樹脂を使う強化タイプに分かれます。繊維の配合や製法次第で性能が変わります。

  • 障子枠・組子:杉やヒノキなどの木材。デザインや強度に影響
  • 障子紙の種類:手漉き和紙、機械抄き和紙、プラスチック障子紙、PET樹脂強化紙
  • 性能の軸:光の透過性、耐久性、破れにくさ、汚れ耐性、価格、通気性、デザイン

素材は楮などの和紙繊維、木材パルプ、合成繊維の比率で性格がはっきり分かれます。見た目は同じ白でも、破れにくさや紫外線・結露への強さは大きく違うことを覚えておきましょう。次章で素材別の違いを比較します。

素材別の違い和紙プラスチック障子紙PET樹脂の特徴

素材の向き不向きは、使う場所や暮らし方に直結します。和紙、プラスチック障子紙、PET樹脂強化タイプを特徴と用途、価格感で比べます。

和紙(手漉き和紙/機械抄き和紙)

和紙は伝統的な素材で、楮の長い繊維やパルプを使います。手漉きは一枚ずつ漉くため、繊維の絡みが豊かで上品な光の拡散が得られます。価格は高めで幅や納期の融通が効きにくいことがあります。機械抄きは家庭用に普及し、価格が手頃で張替えしやすく、デザインも豊富です。強度は製品差が出やすく、パルプ比率が高いと破れやすくなる傾向があります。和紙は通気性が高く、室内の湿度変化をやわらげます。自然素材ならではの風合いと光の質を大切にしたいなら有力候補です。

プラスチック障子紙(PVC系)

いわゆる破れにくい障子紙として広く使われています。表面を樹脂コートしてあり、汚れに強く水拭きも可能。価格と機能のバランスが良く、子ども部屋や賃貸の和室リフォームで採用例が多いです。通気性や和紙の自然な表情は一歩譲り、強い日差しが当たる場所では長期的に黄変のリスクがあるため、設置場所や製品選びに配慮が必要です。

PET樹脂強化タイプ(高強度・高耐久)

PET繊維を抄き込む、またはフィルムを積層したタイプ。破れにくさ、耐久性、汚れ耐性が高く、結露に強い設計の製品もあります。学童施設やペットと暮らす家、出入口に近い建具など負荷がかかる場所に向きます。光の透け方は製品により差があり、拡散重視から視線カット寄りまで選択肢があります。価格は高めですが、張替え頻度が下がる分、総費用が抑えられることもあります。

光通気性耐久価格の比較表

下記は代表的な傾向です。製品で差が出るため、詳細は仕様を確認してください。

素材光の拡散性通気性破れにくさ汚れ耐性価格帯張替え頻度
和紙(手漉き)高い
和紙(機械抄き)△〜○中〜低
プラスチック(PVC系)
PET樹脂強化○〜△高い

メリット・デメリットと注意点

  • 和紙のメリット:風合いが良い、光が美しい、通気性がある、伝統的な意匠に合う
  • 和紙のデメリット:破れやすい、汚れに弱い、紫外線で劣化しやすい、張替え頻度が増えやすい
  • プラスチック障子紙のメリット:破れにくい、汚れに強い、価格バランスが良い
  • プラスチック障子紙のデメリット:通気性が低い、風合いが機械的、黄変リスク
  • PET樹脂のメリット:耐久性が高い、結露や汚れに強い
  • PET樹脂のデメリット:価格が高い、光の拡散が弱めの製品がある

設置環境に合わせて選ぶのがコツです。強い日差しには高耐候タイプを選ぶ、和紙は直射日光を避ける、結露が多い家は耐水性を重視するなど、場所に応じた最適化が効きます。

目的別の選び方部屋用途地域家族構成

性能が近くても、使う場所や暮らし方で最適解は変わります。具体的な判断材料を整理します。

和室の風合いとデザインを最優先したい

第一候補は和紙、なかでも手漉きや上質な機械抄きです。組子のデザインと相性が良く、照明と合わせると光がやわらかく広がります。茶室や客間など、雰囲気を重視する空間では和紙が最適です。

子どもやペットがいる家庭で破れ対策を重視

  • 推奨素材:PET樹脂強化、または厚手のプラスチック障子紙
  • ポイント:破れや汚れ、衝撃に強い製品を選ぶ。下半分のみ強化紙にする組み合わせも有効
  • 追加対策:出入口付近は組子を細かくして面剛性を上げる、下桟を太めにする

結露や紫外線の対策が必要な住まい

  • 結露が多い部屋や北面:耐水性・防カビ性のあるプラスチックやPETを選ぶ
  • 南面や西日が強い窓:UVカット機能付きで黄変しにくい樹脂タイプ
  • 断熱の補助:内窓と障子の併用で結露の軽減が期待できる

賃貸や費用を抑えたい場合

賃貸では汎用サイズの機械抄き和紙やプラスチック障子紙が現実的です。張替えしやすく費用も抑えられます。原状回復を考えるなら、現状に近い種類を選ぶとトラブルを避けやすくなります。短期利用なら価格と扱いやすさを優先しましょう。

障子紙のデザインとサイズ障子枠組子の関係

素材だけでなく、デザインや枠の設計でも見え方と使い勝手が変わります。建具の幅や高さ、組子の割付は光のパターンや視線の抜け、耐久性に影響します。

デザイン(柄や透け感や色味)

和紙は繊維の表情が豊かで、手漉きは一点物の味わいがあります。機械抄きでも雲竜や楮風の繊維入りなどが増えています。プラスチックやPETでも麻の葉のエンボスや、視線をほどよくカットするマット加工など、機能とデザインの両立が進んでいます。

サイズや組子と耐久性の関係

  • 幅が広い建具はたわみやすく、下部に負荷が集中するため強化紙や組子の追加が有効
  • 出入口が近い場所は中桟を増やすと紙面の緊張が保たれ、破れにくくなる
  • 背の高い建具は重量と扱いやすさを見て枠材を軽量化する

襖とのコーディネート

和室全体の統一感を出すには、襖の柄や色との相性が大切です。透け感の高い障子紙は、昼夜で襖の見え方が変わり、部屋の印象も変化します。障子は光、襖は面として捉え、建具をまとめて検討すると満足度が上がります。

張替え方法と費用相場DIYか職人か

張替えの手間と費用は素材で変わります。機械抄き和紙やプラスチック障子紙はDIYでも十分可能。手漉きや大判、PET強化は職人に任せると安心です。

自分で張り替える(DIY)

  • 準備:障子の取り外し、古い紙の剥がし、桟の清掃と乾燥
  • 必要道具:障子糊または両面テープ(素材の推奨に従う)、刷毛、定規、カッター、霧吹き、ローラー
  • 手順

  1. 桟に糊を均一に塗る

  2. 紙を仮置きし、上から下へ軽く張りをかけながら貼る

  3. 余分を裁断して整える

  4. 霧吹きで軽く湿らせ、乾燥後に仕上げカット

  • 費用目安(1枚あたり):和紙(機械)500〜1,500円、プラスチック1,000〜2,500円、PET 2,000〜3,500円(紙代と消耗品)

職人に依頼する(地域や店で変動)

  • 流れ:現地採寸→素材提案→見積もり→引き取りと工房作業→納品・設置
  • 費用目安:機械抄き和紙2,000〜4,000円/枚、プラスチック3,000〜5,000円/枚、PET強化4,000〜7,000円/枚、手漉き和紙は8,000円〜
  • メリット:仕上がりがきれい、歪み調整や結露対策まで見てもらえる、枠の微修正やメンテも同時対応
  • デメリット:DIYより費用がかかる、繁忙期は納期が延びやすい

(注:イメージしていただきやすく作成したフィクションの事例)  

小学生と猫がいる家庭では、出入口が近い和室の下半分だけPET強化、上半分は機械抄き和紙で風合いを維持。職人が組子の割付を調整し、破れが大幅に減少。張替え頻度も半分になり、総費用はほぼ横ばいになりました。

リフォームで建具ごと見直す選択

  • 枠の反りやガタつきが大きいなら、建具交換や内窓の追加を検討
  • 樹脂内窓と障子の併用で断熱とデザインを両立
  • こだわりの和紙を活かしつつ、ガラス入り雪見障子などの機能建具と組み合わせる方法も有効

よくある質問破れ汚れ結露対策とメンテナンス

日常のトラブルは、素材選びと扱い方で多くを防げます。張替え頻度を下げるポイントも押さえましょう。

破れ対策と張替えの目安

破れやすいのは出入口周辺と下部です。PETやプラスチックへの切り替え、下半分だけ強化紙にする方法が有効です。季節の湿度で紙の張りが変わるため、ガサつきやヨレが出たら早めに張り替えるのが安心です。目安は2〜5年。和紙は短め、PETは長めになります。

汚れや黄変紫外線への対策

  • 和紙は柔らかい乾いた布で埃を払う。汚れは消しゴムで軽く、濡れ拭きは避ける
  • プラスチックやPETは薄めた中性洗剤でやさしく拭く
  • 南面はUVカットレースやフィルムで紫外線を減らし、黄変を抑える

結露とカビを防ぐコツ

  • こまめな換気と除湿、窓周りの断熱強化
  • 結露が多い部屋は耐水性のあるプラスチックやPETを選ぶ
  • 枠の塗装や防カビ処理を定期的に行う

まとめ

障子は単なる紙貼りではなく、素材、繊維、製法、組子の設計が合わさった住まいの要です。和紙は光と風合いに優れ、伝統的な和室と好相性です。プラスチック障子紙は破れと汚れに強く、価格のバランスがよく日常使いに向きます。PET樹脂強化は耐久性と手入れのしやすさが魅力で、子どもやペットのいる家、結露が気になる住まいで頼りになります。用途、日射や地域の気候、予算、デザインの優先度を整理し、必要な性能から逆算して選びましょう。最後は枠や組子の設計、張替え方法まで含めて決めると、満足度の高い一枚に出会えます。

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