和室はやわらかな光が魅力ですが、音が抜けやすいのが悩みです。次のような心配はありませんか。
- 会話やテレビの音が廊下や隣室へ響く
- 障子紙がすぐ破れて、結露や断熱も気になる
- できればDIYで始めたいが、何から手を付ければいいか迷う
この記事では、障子の張替えでできること、隙間の気密化、内窓による二重化までを順番に解説します。最初に低コストの即効策で様子を見て、必要なら内窓で一気に底上げし、その判断軸と費用対効果の出し方まで、実践目線で紹介します。

障子の張替えで変わる防音性能とは?
障子は紙と組子の構造で軽く、採光と通気に優れますが遮音は得意ではありません。とはいえ、素材の選び方と隙間対策を組み合わせると、体感の音漏れはしっかり減らせます。DIYで済む範囲と、施工を頼んだ方が良い範囲を切り分けながら見ていきましょう。
音の通り道を理解する
音は面よりも隙間から抜けやすいです。障子や襖の合わせ目、敷居・鴨居のゆるみ、サッシやドアの気密、ガラス周りの微細な隙間を詰めるだけでも体感は変わります。
また、障子紙自体の遮音は控えめでも、断熱・遮熱や結露対策を合わせると室内の響きが落ち着きやすく、結果として音のストレスが和らぐケースが多いです。
張替えの基本と選ぶ素材
- 和紙・和紙調の障子紙:透け感がきれい。強度を高めたタイプや、紫外線カット・飛散防止機能付きは長持ちでコスパ良好
- プラスチック障子紙(樹脂系):水拭きができて破れにくい。遮熱・断熱タイプは結露にも有利
- フィルム重ね貼り:既存の障子紙を活かしつつ強度アップ。重量増でわずかに遮音に寄与し、紫外線対策にもなる
より大きな改善は、次の「隙間対策」と「二重化」でねらえます。
和室の音漏れを減らす隙間対策と気密アップ
短時間・低コストで効くのが隙間対策です。DIYでも十分成果が出せます。
DIYで使える素材と使い方
- 両面テープ+気密パッキン:鴨居・敷居や框の当たり面に貼って接触面を増やす
- すき間テープ(モヘア・スポンジ):障子・襖の合わせ目に。厚みは開閉抵抗とバランスを取る
- 防音マット・カーペット:畳の上に薄手の防音カーペットを敷いて足音の振動を低減する
- フィルム:障子紙の上から透明フィルムで強度と遮熱を補強し、紫外線での劣化を抑える
気密を上げる採寸のコツ
採寸はミリ単位でチェックします。框の歪みや敷居の摩耗、襖との当たりを見て気密材の厚みを決めると失敗が減ります。張替え前に組子の緩みや戸車のガタを直し、レールのゴミを取り除いてから貼ると仕上がりが安定します。
デメリットと注意点
気密を上げるほど開閉が重くなることがあります。厚すぎるテープは動作不良の原因になります。過度の密閉で湿気がこもる場合もあるので、換気と断熱・遮熱の併用を意識しましょう。気密と使い勝手のバランスが肝心です。
次は、張替え素材の選び方をもう少し深掘りします。
障子紙・フィルムの選び方と防音・断熱の費用対効果
強度、見た目、断熱・結露、価格のバランスを取り、交換頻度を減らしてトータルコストを下げるのがポイントです。
和紙調と樹脂系の比較
- 和紙・和紙調:光の拡散がきれいで和室らしさを保ちやすい。高機能タイプは飛散防止・紫外線カット・防汚で長持ち
- 樹脂系(プラスチック障子紙):耐水・高強度で日常の破れを大幅に抑える。遮熱・断熱タイプは夏冬の快適性と結露低減に寄与
フィルム重ね貼りのポイント
透明フィルムを重ねると、重量と密度がわずかに増えて遮音に寄与します。飛散防止・紫外線カットで寿命が延び、張替え頻度が下がるのもメリットです。仮留め→空気抜き→圧着の順で作業すると気泡が出にくいです。
価格と見積の考え方
費用は面積・枚数・素材等級・手間で決まります。DIYは材料費中心、依頼施工は採寸や建付け調整、運搬費が加わります。単価だけでなく交換周期が延びる、結露・カビ対処が減るなどの間接効果も含めて判断しましょう。
次は、面の性能だけでは届きにくい音を抑える決め手「二重化」を見ていきましょう。
二重窓・内窓の遮音等級と効果(インプラス・プラマードU)

障子の工夫には限界があります。窓からの騒音や音漏れが大きいなら、内窓で二重化するのがおすすめです。樹脂サッシ+適切なガラス選定で、遮音も断熱も一気に底上げできます。
遮音等級の目安(T-1/T-2)
- T-1:日常会話や生活音の軽減に有効
- T-2:道路騒音や人通りが多い立地で効果を実感しやすい
サッシとガラスの組み合わせで性能は変わります。気密性の高い樹脂サッシに、異厚複層ガラスや防音合わせガラスを組み合わせると、防犯性も同時に高められます。
インプラスとプラマードUの比較
室内側にもう一つ窓を足す内窓は、既存サッシの内側に樹脂サッシを設置します。
- インプラス:短工期でカラーが豊富。断熱・結露対策にも強い
- プラマードU:遮音・断熱のバランスが良く、窓種やガラスの選択肢が広い
空気層ができることで遮音と断熱が同時に改善し、室温が安定します。和室の障子や襖への湿気負担も軽くなります。
ガラス選定の考え方
- 単板→複層(異厚)→防音合わせの順で遮音は向上
- Low-E複層は夏の遮熱・冬の断熱・結露低減に有効
- 合わせガラスは飛散防止・防犯性も向上

和室全体の最適解:面×隙間×振動の3層対策
和室の騒音対策は、障子だけでなく襖・サッシ・床・ドアまで見渡すとムダがありません。MECEに分けて、やる順番を決めましょう。
ステップの流れ(優先度の高い順)
1.隙間の特定:合わせ目、敷居・鴨居、サッシの気密を点検
2.低コストの即効策:すき間テープ、気密パッキン、フィルム重ね、カーペット
3.面の強化:障子紙の等級アップ、樹脂系や高機能和紙調へ張替え
4.二重化:内窓(インプラス・プラマードU)で二重サッシ化
5.仕上げ:ドアや換気口の見直し、防音マットの追加
失敗しない採寸・施工のコツ
水平・垂直・対角を測り、歪みを把握してから材料の厚みを決めます。先に建付け調整や戸車の清掃を行うと、気密材の効果が安定します。DIYは両面テープやフィルム貼りが好相性で、内窓は見積比較の際に施工品質もチェックしましょう。
費用と価格の目安、見積の取り方
「どこまでやるか」は騒音の強さ、部屋の用途、予算で決めます。単発の価格ではなく、効果の持続と光熱費まで含めて判断しましょう。
目安と費用対効果
- 隙間対策(テープ・パッキン・フィルム):低価格で効果を実感しやすい。DIY向き
- 障子の張替え(和紙調・樹脂系・フィルム):中価格。見た目と耐久、断熱・遮熱・結露の改善
- 内窓(インプラス・プラマードU):初期費用は上がるが、遮音・断熱・防犯・結露の総合効果が高い。光熱費削減にも寄与
見積で確認したいポイント
- 材料の等級・仕様(遮音等級T-1/T-2、ガラス種、フィルム機能)
- 施工範囲(採寸、建付け調整、既存処分、保証)
- 工期・養生・アフターサービス
- 合計価格と代替案(コストを抑える選択肢)
DIYで行う障子の張替え手順とコツ
仕上がりは下地と採寸で決まります。焦らず、下ごしらえを丁寧に。
下地と採寸
桟の古い糊や紙を除去し、組子を補修します。その際フレームの歪みも確認します。幅・高さ・対角を測り、紙やフィルムは数センチ余裕を見てカットします。
貼り方と仕上げ
両面テープやでんぷん糊を均一に塗り、端から空気を逃がしながら貼ります。ローラーで圧着し、乾いたら余分をカットして、最後に合わせ目や敷居・鴨居へ気密材を追加します。畳には薄手の防音カーペットを敷くと、足音の響きが下がります。
メリット・デメリットの整理と導入順の最適解
無理なく続く方法を選ぶと、効果も長持ちします。
メリット
- 障子の張替えで見た目と強度が向上し、破れにくくなる
- フィルムや樹脂系で遮熱・断熱・結露も同時にケア
- 隙間対策で低コストに体感改善、内窓で遮音を大幅に底上げ
デメリット・注意点
- 気密アップで開閉が重くなる可能性
- 過度の密閉で湿気がこもりやすく、換気と結露対策が必要
- 内窓は初期費用がかかるため、見積比較と費用対効果の検討が必須
導入は「隙間→面→二重化」の順が基本です。段階的に効果を確かめられ、ムダな出費を防げます。
和室らしさと防音を両立する設計の考え方
見た目のやさしさを保ちつつ、遮音・断熱・防犯・結露までカバーする組み立てが理想です。
推奨の組み合わせ
- 障子:高強度の和紙調+透明フィルム(飛散防止・紫外線カット)
- 襖:合わせ目モヘア+敷居パッキンで気密アップ
- 窓:内窓(インプラス/プラマードU)+異厚複層(必要に応じ防音合わせ)
- 床:薄手の防音カーペットで固体伝播音を抑制
- ドア:ソフトクローズや気密材で音漏れを低減
防犯と安全面の補足
防音合わせガラスは破壊に強く、防犯対策にも有効です。飛散防止フィルムは万一の破損時もガラス片の飛散を抑え、家族の安全に役立ちます。組子やサッシ周りの角部はフィルム補強で日常の破れを予防できます。
まとめ
和室の音漏れは、隙間の気密化と障子の張替えで手早く改善できます。効果を確かめつつ、内窓で二重化すると遮音と断熱が一気に進み、結露や光熱費の悩みも軽くなります。見た目を損なわない素材を選べば、和室らしさもそのまま残るのでおすすめです。最後は現地の採寸と建付け調整が品質を左右します。見積では仕様と施工範囲、保証まで丁寧に確認しましょう。



