カニを贈るときのマナー｜ギフトで失敗しない贈答の基本

冬のごちそうといえばカニです。ズワイガニやタラバガニの詰め合わせは見映えも良く、御歳暮や御礼に選ばれやすい反面、のしや名入れに迷う方は多いかもしれません。例えば次の悩みはありませんか。  

• のし紙は花結びと結び切りのどちらを選ぶべきか迷う  
• 御歳暮や御年賀の時期や表書きが不安  
• 冷凍配送や解凍方法を先方へどう伝えるか悩む  

本記事では「カニギフト贈答品のマナー」を軸に、表書きと名入れの基本、シーン別の書き方、時期の目安、包装や配送の気遣い、失礼にならないポイントまで解説します。手配からお届け後の配慮までひと通りわかるので、安心してカニギフトを贈れます。

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shino-ichi.com

2025.09.08

カニギフト贈答品のマナーの基本とは？

カニを含む海産物の贈り物は、生ものならではの気づかいが欠かせません。まずは「のし紙」「水引」「表書き」「名入れ」「内のし・外のし」の基本を押さえましょう。土台が整えば、場面ごとの対応も迷いません。

のし紙と水引の選び方

のしは慶事用の飾りで、右上の飾りを「熨斗」、中央の紐状を「水引」と呼びます。  

• 慶事全般、繰り返して差し上げたい御礼・お歳暮・お中元などは「紅白・花結び（蝶結び）」が基本。  
• 結婚関連や快気祝いなど一度きりが望ましい場合は「紅白・結び切り」。  
• 弔事は「のし（熨斗）は付けない」。黒白または銀白の結び切りが通例で、関西など一部では黄白を用います。

表書きと名入れの基本

表書きは用途を上段中央に、下段に贈り主名を記します。  

• 御歳暮、御中元、御年賀、寒中見舞い、暑中見舞い、御礼、内祝、快気祝いなど一般的。  
• 弔事は「志」「満中陰志（地域差あり）」などを用い、のしは付けません。  

名入れは個人ならフルネーム、家族連名、会社なら「会社名＋部署名＋役職＋氏名」の順が丁寧です。連名は目上の方を右側（上位）に書きます。

内のし外のしと包装の使い分け

「内のし」は品物にのしを掛けてから包装し、「外のし」は包装の上からのしを掛けます。

• 配送では外装がこすれやすいので、のしが汚れにくい内のしが安心。  
• 手渡しで気持ちを伝えたい場面や、職場で配るときは外のしが見映えします。  

包装紙や化粧箱、木箱、風呂敷を選べる通販も増加。カニは冷凍・冷蔵が多いため、外観の良い「化粧箱＋内のし」が実用的です。

失礼にならないポイントとよくあるNG

• 弔事に「のし（熨斗）」は付けません。水引のみで対応。  
• 生食用のカニは先方の調理環境によっては扱いが難しいことがあります。迷うときはボイルやむき身、かに缶が安心。  
• 「四」「九」など縁起が気になる数や表現は避けると無難。  
• 宛名や敬称の誤りは印象を損ねます。肩書や世帯主名を確認してから名入れを依頼。 
• アレルギー配慮は必須。甲殻類が苦手な方には海鮮詰め合わせや鮭・いくら・数の子などへの変更も検討。

時期や用途で迷わないよう、次は場面ごとの表書きとマナーを整理します。

シーン別カニギフト贈答品のし書き方

カニギフトは冬の御歳暮・御年賀の印象が強い一方、夏ギフトや御礼、内祝いでも活躍します。シーンごとの「表書き」「時期」「水引」「注意点」を確認しましょう。

お歳暮冬ギフト御年賀寒中見舞いの書き方と時期

• 御歳暮は12月初旬〜20日頃が目安。表書きは「御歳暮」、水引は紅白花結び。地域により前倒しになることも。  
• 御年賀は松の内に。関東は1月7日まで、関西は15日までが一般的。表書きは「御年賀」。  
• 時期を過ぎたら「寒中見舞い」（1月8日〜2月4日頃）が丁寧。のしは紅白花結びで問題ありません。  

冬はズワイ、タラバ、毛ガニが旬。鍋用や脚の詰め合わせが人気です。冷凍便の日時指定を忘れずに。

お中元夏ギフト暑中見舞いの書き方と時期

• 御中元は地域差が大きいです。関東は6月下旬〜7月15日頃、関西は7月中旬〜8月15日頃が目安。表書きは「御中元」、紅白花結び。  
• 時期を外したら「暑中見舞い」（梅雨明け〜立秋前）、「残暑見舞い」（立秋後〜8月末）へ切り替え。  

暑い時季は生食の扱いに注意。ボイル済み、むき身、かに缶や海鮮詰め合わせ（いくら、数の子、たらこ、鮭など）が無難です。

内祝い快気祝い御礼慶事のマナー

• 内祝いは「紅白結び切り（結婚関連）」または「紅白花結び（出産・新築など繰り返し）」を用途に合わせ、表書きは「内祝」。
• 快気祝いは病を“切る”意味で紅白結び切りを用い、表書きは「快気祝」または「快気内祝」。  
• 御礼は紅白花結びで「御礼」。目上の方に高額すぎる品はかえって恐縮させるため、相場感を意識しましょう。

弔事香典返しの対応

カニなどの生鮮を弔事で贈るかは地域差があり、日持ちの観点から避けられる場合があります。香典返しはのし無しで黒白（地域により黄白）の結び切り、水引中央下に「志」や「満中陰志」とし、名入れは喪家名。海産物なら常温保存のかに缶詰や海鮮佃煮のほうが実用的です。

次は、選ぶ段取りで迷わないよう、カニの種類や相場、通販の選び方を見ていきます。

カニギフトの選び方と相場予算

「誰に、いつ、どう食べてほしいか」を思い浮かべると、種類と加工形態が決めやすくなります。産地直送やレビューも参考にしながら、外さない選び方を押さえましょう。

ズワイガニタラバガニ毛ガニの違いとおすすめ用途

用途別のおすすめを整理します。

種類	風味と食べ応え	向いている食べ方	加工の選び方
ズワイガニ	上品で甘みが強い	蟹鍋、しゃぶ、刺し身（生食可の表示必須）	ボイル、むき身、刺し、蟹脚
タラバガニ	ぷりっとした食感で食べ応え	焼きガニ、豪快な脚の盛り付け	ボイル脚、ハーフポーション
毛ガニ	かにみその濃厚さ	甲羅盛り、酒肴	浜茹で甲羅付き、姿

• 北海道やオホーツクの産地直送は身入りの良さが魅力。牡蠣や鮭、いくらとの詰め合わせも冬ギフトに喜ばれます。  
• 生食は必ず「生食可」の表示があるものに限定し、迷うときはボイル済みを選ぶと扱いやすいです。

予算相場と贈り先別の目安

相場の目安は次のとおりです。

贈り先	目安予算	内容例
上司・取引先	8,000〜15,000円	タラバ脚ボイル、ズワイ姿＋むき身詰め合わせ、木箱入り
親戚・実家	6,000〜12,000円	ズワイ蟹脚1〜2肩、蟹鍋セット、海鮮詰め合わせ
友人・カジュアル	3,000〜6,000円	むき身小分け、かに缶、海鮮惣菜セット
香典返し・弔事	3,000〜5,000円	かに缶、日持ちする海産加工品

のし対応、包装無料、送料無料、早割、予約可などの条件は予算に影響します。配送地域やクール便料金も要チェックです。

口コミ評判ランキングの見方と通販選び

楽天市場や高島屋、イオン、郵便局、シャディなど大手は「のし対応」「名入れ」「包装選択」が安定。口コミは「身入り」「解凍の失敗有無」「配送の遅れ」に注目しましょう。ランキングは時期で入れ替わるため、レビュー件数の多い定番品を軸に、希望の加工（ボイル、むき身、姿）で絞ると選びやすいです。

訳ありの上手な選び方と注意点

訳ありは「殻の傷」「脚欠け」「サイズ不揃い」など見た目の理由が多く、味は正規品と大差ないことも。贈答用なら次を確認しましょう。

• 外観重視の相手には不向き。自宅用や親しい間柄向けに。  
• のし・包装対応可否、化粧箱の有無を必ず確認。  
• 身入り（歩留まり）の表記や重量表示が「総重量か可食部か」を見極める。

ここからは、贈る段取りで失敗しないよう、配送や解凍、保存、アレルギー配慮の実務を整理します。

配送解凍保存アレルギーの実務マナー

実務面の配慮は受け取る方の満足度に直結します。日時指定、連絡方法、同梱物、解凍の案内まで、ひと手間が礼儀になります。

冷凍冷蔵の配送指定と受け取り配慮

冷凍便が基本のため、先方の受け取りやすい日時を事前に確かめられると理想的。難しい場合は「時間帯指定＋不在置き不可」を選び、到着予定日を前もって伝えましょう。  

• 宛名は世帯主または会社・部署名＋役職＋氏名、敬称は「様」。企業宛ては部署名を省かない。  
• 挨拶状やメッセージカードを同梱できるなら、解凍と保存の要点を一言添える。
• 送り主情報（住所・電話）を明記し、先方が配送業者へ連絡しやすくします。

解凍方法と保存賞味期限消費期限の伝え方

カニは解凍が味を左右します。  

• ボイルは「冷蔵庫でゆっくり半日〜1日」。常温解凍はドリップが出やすく風味が落ちます。  
• 生食可の表示があるものは「低温解凍後すぐに食べる」が基本。再冷凍は避ける。  
• 保存は冷蔵庫で1〜2日以内、冷凍は表示の賞味期限に従う。開封後は早めに食べ切るよう伝えましょう。

アレルギー宗教の配慮と贈り先の確認のコツ

甲殻類アレルギーは少なくありません。家族構成がわからない場合は、海鮮詰め合わせに切り替えられる「変更可」なショップを選ぶと安心。宗教や地域のしきたりで生鮮が避けられることもあるため、迷うときは日持ちするカニ缶や海産加工品が安全です。

のし同梱物と化粧箱木箱風呂敷の使い方

• 目上の方や贈り先が多いときは、化粧箱や木箱で体裁が整い、のし紙もきれいに収まります。  
• 風呂敷包みは手渡しで上品に映えます。配送なら内のし＋化粧箱＋外装ダンボールが現実的。  
• 同梱物は挨拶状、解凍・保存ガイド、アレルギー表示、問い合わせ先の4点が揃うと親切です。

最後に、名入れや敬称、メッセージの書き方を具体的に確認します。

メッセージ文例と宛名敬称の書き方

のし紙と同じくらい、言葉づかいは印象を左右します。短くても、相手を思うひと言があるとぐっと丁寧です。

宛名敬称差出人の基本

• 個人宛ては「世帯主名＋様」。家族連名にするなら、のし下は差出人1名で、挨拶状に家族名を添えると整理しやすい。  
• 会社宛ては「会社名＋部署名＋役職＋氏名＋様」。相手の役職は最新情報を確認。  
• 差出人は「氏名」または「会社名＋部署名＋役職＋氏名」。電話番号を小さく添えると受取連絡がスムーズです。

挨拶文例のひな型

• 御歳暮 冬ギフト  

「日頃の感謝の気持ちを込め、冬の味覚をお贈りします。ご家族皆さまでお召し上がりください。」  

• 御年賀  

「新年のご挨拶のしるしに、ささやかな品をお送りいたします。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。」 

• 御中元 夏ギフト  

「暑さ厳しき折、さっぱりとお楽しみいただける海の幸をお届けします。どうぞご自愛ください。」  

• 御礼  

「このたびはお力添えを賜り、誠にありがとうございました。心ばかりの品をお納めください。」  

• 快気祝い  

「おかげさまで快復いたしました。感謝の気持ちを込めてお贈りします。」

メッセージカードと挨拶状のコツ

文字数は100〜150字程度が読みやすい分量。解凍や保存の一言を添えると親切です。例えば「冷蔵庫でゆっくり解凍してお召し上がりください。鍋にもおすすめです。」のように、すぐ行動できる案内があると安心してもらえます。  

ここまでで、のしマナーから文例まで一通りそろいました。最後に要点を振り返ります。

まとめ

カニを贈るときは、水引の種類、表書き、名入れ、内のしか外のしかを最初に決めます。次に時期と用途を照らし、御歳暮・御年賀・御中元・内祝・弔事で体裁を整えましょう。相手に合う種類や加工を選び、受け取り日時や解凍手順、アレルギー配慮、挨拶状まで用意すれば、届いた瞬間から食卓まで気持ちよくつながります。ズワイ・タラバ・毛ガニの違いも意識して、迷うときは扱いやすいボイルやむき身を選べば安心です。