マツダの株価は、会社の純資産よりも安いPBR1倍を大きく下回る「割安」な水準で推移しています。
好きなメーカーだからこそ、なぜ市場から厳しい評価を受けているのか気になる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、株価が安い理由から、好調な事業の強み、今後の見通しまで詳しく解説します。
「EV化の遅れ」といった懸念と「高い配当利回り」などの魅力を天秤にかけ、あなたが投資すべきかを判断する材料を提供します。

好きなメーカーだけど、今投資して本当に大丈夫?

割安な理由と将来性をしっかり理解すれば、納得のいく判断ができますよ
- マツダの株価が割安と評価される具体的な理由
- ラージ商品群の販売状況や専門家の予想から見る今後の見通し
- 3%を超える高い配当利回りと配当金の受け取り方
- 新NISAを活用したマツダ株の具体的な買い方
マツダの株価はなぜ安い?今後の見通しを分析
マツダの株価は、電気自動車(EV)への対応の遅れが懸念され、将来性に対して慎重な見方がされることがあります。
しかし、その一方で好調な販売を続ける主力車種や、高い配当利回りといった投資家にとっての魅力も存在します。
ここでは、株価が割安とされる理由と、今後の見通しについて多角的に分析します。
分析のポイント | 内容 |
---|---|
株価水準 | PBRが1倍を割り込み、市場からは「割安」と評価されている現状 |
割安の理由 | EV化への懸念や、他社と比較した事業規模が株価の重荷 |
事業の強み | 利益率の高いラージ商品群が北米市場を中心に業績を牽引 |
専門家の見方 | 多くのアナリストは現在の株価を割安と判断し、強気の目標株価を提示 |
将来のリスク | EV一辺倒ではない「マルチソリューション戦略」の成否が今後の鍵 |
プラスの材料と将来への懸念材料、その両方を理解することが、マツダ株への投資を判断する上で大切です。
最新のマツダ株価と10年チャートの推移
現在のマツダの株価を評価する上で、PBR(株価純資産倍率)が1倍を大きく下回っている「割安」な状況にある点は重要なポイントです。
PBRは企業の純資産に対して株価がどの程度の水準かを示す指標で、1倍割れは会社の解散価値よりも株価が安いことを意味します。
2024年5月時点のマツダの株価は1,600円前後で推移しており、PBRは約0.7倍、PER(株価収益率)は約8倍と、どちらも市場平均と比較して低い水準です。
過去10年の長期チャートを見ると、コロナショックで株価が大きく下落した後、円安やラージ商品群の投入を背景に回復傾向にありますが、依然として歴史的な高値圏には及んでいません。

最近のマツダの株価ってどうなの?

過去の推移を見ると、現在の株価は決して高値圏ではありません
長期的な視点で見ると、現在の株価は今後の成長次第で上昇する余地を残した水準にあると言えます。
マツダの株価が割安(なぜ安い)と言われる理由
マツダの株価が割安な水準で推移している背景には、日本の自動車株全体に共通する要因と、マツダ特有の要因があります。
特に、PBR1倍割れは、会社の全資産を売却して株主に分配した金額(解散価値)よりも、現在の株価の総額(時価総額)が安い状態を指し、市場からの厳しい評価を示しています。
割安に評価される主な理由は、市場がマツダの将来性に対して慎重な見方をしているからです。
特に、世界の潮流であるEV化への対応の遅れや、トヨタ自動車のような巨大メーカーと比べた際の販売台数や研究開発費の規模が、株価の上値を抑える要因と考えられています。
項目 | 詳細 |
---|---|
EV化への懸念 | EVシフトが進む市場環境の中、マツダの電動化戦略の具体像が見えにくいことへの不安 |
事業規模 | トヨタなどと比較して生産台数や販売網が小さく、規模の経済で劣る点 |
資本効率 | 日本企業全体に見られる傾向で、自己資本利益率(ROE)が海外企業に比べて低いこと |

なんでこんなに安く評価されているの?

市場がマツダの将来性、特に電動化への対応に慎重になっているからです
これらの懸念が払拭され、市場がマツダの成長戦略を再評価した時に、株価水準も是正される可能性があります。
好調なラージ商品群!マツダの事業と強み
株価の懸念材料の一方で、マツダの現在の業績を支える確かな強みも存在します。
その中心にあるのが、利益率の高いSUV「ラージ商品群」の販売好調です。
これには「CX-60」や「CX-90」などが含まれます。
特に好調なのが北米市場で、2024年3月期の決算では、このラージ商品群の販売が業績を大きく牽引しました。
これにより、同期の営業利益は過去最高の2,505億円を達成しています。
独自のデザイン哲学「魂動デザイン」や、効率性と走る歓びを両立させた「SKYACTIVテクノロジー」といった、マツダならではのブランド価値も根強い人気を支える要因です。
マツダの強み | 具体例 |
---|---|
商品力 | 高い利益率を誇る「ラージ商品群」(CX-60, CX-90など)の販売が好調 |
ブランド価値 | 「魂動デザイン」や「SKYACTIVテクノロジー」による独自の魅力 |
海外展開 | 売上の約85%を海外が占め、特に北米市場での成長が著しい |

悪い話ばかりじゃないんだね

はい、デザインや技術力に裏打ちされた商品力で、しっかりと稼ぐ力を持っています
このラージ商品群による収益拡大が続けば、財務体質の強化や株主還元の原資となり、株価にもプラスの影響を与えることが期待されます。
アナリスト予想から見るマツダ株価の目標株価
アナリスト・レーティングとは、証券会社の専門家が企業の業績や財務状況を分析し、株価が今後「買い」か「売り」かを判断した情報です。
この専門家の見解は、個人の投資判断において参考になる情報の一つです。
「みんかぶ」がまとめた情報によると、2024年5月時点でマツダを担当するアナリスト10名の目標株価の平均値は約2,100円となっており、現在の株価から30%以上高い水準が示されています。
多くのアナリストが、円安による業績押し上げ効果や、ラージ商品群の堅調な販売を高く評価していることが背景にあります。
証券会社 | レーティング(投資判断) | 目標株価 |
---|---|---|
A証券 | 強気(買い) | 2,400円 |
B証券 | やや強気 | 2,200円 |
C証券 | 中立 | 1,900円 |

プロの人はどう見ているの?

多くのアナリストが現在の株価は割安と判断し、強気の目標を設定しています
ただし、アナリストは今後の焦点として、マツダのEV戦略がより具体化することを期待しており、その進捗次第では評価が変わる可能性も視野に入れる必要があります。
【EVの遅れは懸念材料?】今後の株価を占うリスク
投資家が最も懸念しているEV化への対応について、マツダは「マルチソリューション戦略」という独自の方針を掲げています。
これは、すべての地域でEVを推し進めるのではなく、各国のエネルギー事情やインフラ、顧客のニーズに合わせて最適なパワートレインを提供する考え方です。
この戦略では、EVだけでなく、燃費の良いガソリン車、クリーンディーゼル、ハイブリッド車(HEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)も重要な選択肢と位置づけられています。
例えば、再生可能エネルギーの比率が低い地域や、充電インフラが未整備の地域では、内燃機関やハイブリッド車の方が環境負荷や利便性の面で優れるという判断です。
この戦略を技術面で後押しするのが、トヨタ自動車との協業です。
メリット(可能性) | デメリット(リスク) |
---|---|
多様なニーズに柔軟に対応可能 | EVへの経営資源集中が遅れる懸念 |
現実的な需要を取りこぼさない | 「EVに出遅れている」と市場から評価されやすい |
急速なインフラ変化に左右されにくい | 技術開発が多岐にわたり非効率になる可能性 |

EVだけじゃないってこと?なんだか中途半端に聞こえるけど…

現実的な需要に柔軟に対応する戦略ですが、市場からは方針が分かりにくいと見られています
このマルチソリューション戦略が、変化の激しい自動車業界で最善の策であったと市場に評価されるかどうかが、今後のマツダの株価を占う最大の分水嶺となります。
- 最新のマツダ株価と10年チャートの推移
- マツダの株価が割安(なぜ安い)と言われる理由
- 好調なラージ商品群!マツダの事業と強み
- アナリスト予想から見るマツダ株価の目標株価
- 【EVの遅れは懸念材料?】今後の株価を占うリスク
マツダの株価は買い時?高配当と投資のポイント
マツダの株価が割安な水準にある今、投資を検討する上で見逃せないのが株主還元の姿勢です。
特に、安定して高い水準で推移する配当金は、マツダ株の大きな魅力と言えます。
ここでは、トヨタ自動車やSUBARUといったライバル企業と比較しながら、マツダの投資対象としての魅力を掘り下げていきます。
会社名 | PBR(株価純資産倍率) | 配当利回り(会社予想) | 特徴 |
---|---|---|---|
マツダ | 0.6倍前後 | 3.0%前後 | PBRが低く、利回りが高い傾向 |
トヨタ自動車 | 1.4倍前後 | 2.0%前後 | PBRは1倍超、世界トップクラスの時価総額 |
SUBARU | 0.9倍前後 | 2.5%前後 | マツダと近いPBRだが、利回りはやや低い |
※PBR・配当利回りは2024年6月時点の概算値
株価の割安感を示すPBRと、インカムゲインの源泉となる配当利回りを見ると、マツダが株主にとって魅力的な水準にあることが分かります。
マツダの配当金はいつ?権利確定日を解説
マツダの配当金を受け取るためには、まず「権利確定日」という基準日に株主名簿に名前が載っている必要があります。
マツダの配当は、年に2回チャンスがあります。
具体的には、毎年9月30日(中間配当)と3月31日(期末配当)の年2回が権利確定日です。
この日を基準として配当金が支払われ、実際に銀行口座に振り込まれるのは、中間配当が12月上旬ごろ、期末配当が6月下旬ごろになります。

配当をもらうには、いつまでに株を買えばいいの?

権利確定日の2営業日前である「権利付き最終日」までに購入しましょう
権利確定日に株主であるためには、その2営業日前の「権利付き最終日」までに株式を購入しなくてはなりません。
このスケジュールを覚えておけば、配当金を受け取る機会を逃さずに済みます。
マツダの配当利回りと配当金の推移【高配当】
マツダ株の投資における大きなメリットの一つが、3%を超えることも珍しくない高い配当利回りです。
これは、株価に対してどれだけの配当金を受け取れるかを示す指標で、投資の効率を測る上で重要になります。
マツダは株主への還元に積極的で、業績に連動させつつも安定した配当を継続する方針を掲げています。
過去の配当金の推移を見ると、その姿勢がよく表れています。
決算期 | 1株あたり年間配当金 |
---|---|
2021年3月期 | 25円 |
2022年3月期 | 35円 |
2023年3月期 | 45円 |
2024年3月期 | 50円 |
2025年3月期(予想) | 50円 |
※2025年3月期の配当金は会社予想です。
コロナ禍で一時的に減配したものの、その後は業績回復とともに増配を続け、株主への還元を強化していることが分かります。
【ライバル比較】トヨタ・スバルと株価やPBRを比較
マツダの立ち位置を客観的に把握するために、自動車業界のライバル企業と比較してみましょう。
特に「PBR(株価純資産倍率)」と「配当利回り」に着目すると、マツダの特徴がよく分かります。
見出し冒頭の比較表が示すように、マツダはPBRが1倍を大きく割り込んでいるのが特徴です。
これは、会社の解散価値よりも株価が安く評価されている状態を示唆します。
一方で、世界的なメーカーであるトヨタ自動車のPBRは1倍を超えており、市場から資産価値以上の評価を受けている点が対照的です。
また、同じくAWD技術に定評のあるSUBARUと比較しても、マツダはPBRが低く、配当利回りが高い傾向にあります。

他のメーカーと比べると、マツダはやっぱり割安なの?

はい、PBRが低く配当利回りが高い「バリュー株」としての側面が強いです
これらの比較から、マツダは株価の値上がり益(キャピタルゲイン)だけでなく、配当金(インカムゲイン)を重視する投資家にとって、魅力的な選択肢の一つであると評価できます。
マツダの株を100株買うのにいくら必要?
「マツダの株主になるには、実際にいくらくらい必要なのだろう?」と考える方もいるでしょう。
必要な資金は、現在の株価に最低購入単位である100を掛けるだけで簡単に計算できます。
例えば、マツダの株価が1,650円の場合、最低投資金額は「1,650円 × 100株 = 165,000円」となります。
約17万円ほどの資金があれば、マツダの株主になることが可能です。
これは、ボーナスの一部や、少し節約して貯めたお金で十分に手が届く金額ではないでしょうか。
株式投資というと大きな資金が必要なイメージがあるかもしれませんが、マツダ株は比較的手頃な価格から始められる銘柄の一つです。
マツダ株の買い方とおすすめのネット証券
マツダの株を購入する手順は、決して難しくありません。
証券会社に口座を開けば、誰でも簡単に始めることが可能で、大きく分けて3つのステップで完了します。
- ステップ1: 証券口座を開設する
- ステップ2: 開設した口座に入金する
- ステップ3: マツダ(証券コード: 7261)を検索して注文する
これから投資を始めるなら、新NISAの「成長投資枠」の活用がおすすめです。
NISA口座内で得た配当金や、株を売却したときの利益(譲渡益)には税金がかからないため、効率的に資産を増やせます。
口座を開設する証券会社は、SBI証券や楽天証券といったネット証券が良いでしょう。
店舗型の証券会社に比べて手数料が安く、NISA口座での日本株取引手数料が無料になるなど、コストを抑えて投資を始められるからです。
よくある質問(FAQ)
- Qマツダに株主優待制度はありますか?
- A
現在、マツダには株主優待制度がありません。
その代わりに、業績に応じた配当金によって株主へ利益を還元する方針をとっています。
マツダ株への投資を検討する際は、高い配当利回りに注目すると良いでしょう。
- Q為替の変動はマツダの株価にどう影響しますか?
- A
マツダは売上の多くを海外が占めるため、為替、特に米ドルやユーロの動向が業績に大きく影響します。
一般的に円安は、海外での売上を円に換算した際にかさ上げされるため、業績にとってプラス要因となります。
今後の見通しを立てる上でも、為替のニュースは重要な判断材料です。
- QNISAでマツダ株に投資する一番のメリットは何ですか?
- A
新NISAの成長投資枠を使ってマツダ株へ投資する一番のメリットは、得られた配当金が非課税になることです。
マツダは比較的高い配当利回りが魅力のため、その恩恵を最大限に受けられます。
もちろん、株価が上昇して売却した際の利益(譲渡益)も非課税になります。
- Q次の決算発表はいつ頃ですか?
- A
企業の業績を知るための決算発表は、投資判断において非常に重要です。
マツダの決算は四半期ごとに行われ、例年4月、7月、10月、1月下旬から2月上旬に発表されます。
詳しいスケジュールは、マツダ公式サイトの「IR情報」ページで確認できますので、定期的にチェックしましょう。
- Qネットの掲示板の情報は投資の参考にしても良いですか?
- A
ネット掲示板には多様な意見があり、情報収集の一つにはなります。
しかし、その情報は個人の感想や根拠のないうわさも多く含まれるため、全面的に信頼するのは危険です。
投資の最終判断は、決算短信や有価証券報告書といった一次情報や、信頼できるニュースソースを基に行うことが大切です。
- QPBRが低いのに、なぜ株価はすぐに上がらないのですか?
- A
PBRが1倍を割れている状態は、企業の資産価値に比べて株価が割安であることを示します。
しかし、それは将来の成長を保証するものではありません。
マツダの場合、市場がEV化戦略の先行きなどに懸念を持っているため、割安な状態で推移しています。
今後の業績や成長戦略が市場に評価されて、初めて株価の上昇につながります。
まとめ
この記事では、マツダの株価について、割安とされる理由から今後の見通し、そして投資のポイントまで詳しく解説しました。
市場からはEV化の遅れを懸念されていますが、好調なラージ商品群が生み出す収益力や、3%を超える高い配当利回りは、現在の株価が持つ大きな魅力です。
- PBR1倍を割る「割安」な株価水準とその理由
- ラージ商品群が牽引する好調な業績と今後の見通し
- 高い配当利回りと、配当金を受け取るための具体的な日程
- 税金の負担が軽くなるNISAを活用したマツダ株の買い方
この記事で解説した強みと懸念材料を天秤にかけ、ご自身の投資判断の参考にしてください。
もしマツダ株に魅力を感じるのであれば、まずは少額から、日本のものづくりを応援する気持ちで投資を検討してみてはいかがでしょうか。
コメント