日焼け止め選びで本当に大切なのは、流行や人気に流されるのではなく、ご自身の肌と目的に科学的な視点で向き合うことです。
この記事では、SPF・PAの正しい知識から紫外線以外の光(ブルーライト)対策、肌質に合わせた成分選び、汗をかくシーンで頼りになる「UV耐水性」基準まで、後悔しない日焼け止め選びの全知識を4ステップで詳しく解説します。

成分や数値の根拠を理解して、本当に信頼できる製品を選びたいな

成分の仕組みから最新基準まで、科学的根拠をもとに解説します。
- SPF・PAの正しい意味とシーン別の基準
- 肌質に合う紫外線防御成分(吸収剤・散乱剤)の見極め
- 汗や水に強い「UV耐水性」製品の選び方
- ブルーライトなど紫外線以外の光まで防ぐ最新の対策
日焼け止め選びで最も重要なのは、流行や口コミではなく、ご自身の肌と目的に科学的な視点で向き合うことです。
この記事では、SPF・PAの正しい知識から紫外線以外の光(ブルーライト)対策、肌質に合わせた成分選び、汗をかくシーンで頼りになる「UV耐水性」基準まで、後悔しない日焼け止め選びの全知識を4ステップで詳しく解説します。

成分や数値の根拠を理解して、本当に信頼できる製品を選びたいな

成分の仕組みから最新基準まで、科学的根拠をもとに解説します。
- SPF・PAの正しい意味とシーン別の基準
- 肌質に合う紫外線防御成分(吸収剤・散乱剤)の見極め
- 汗や水に強い「UV耐水性」製品の選び方
- ブルーライトなど紫外線以外の光まで防ぐ最新の対策
紫外線の基礎知識
日焼け止めを選ぶ上で最も重要なのは、UVAとUVBという性質の異なる2種類の紫外線を正しく理解することです。
太陽光にはこれら以外にも肌に影響を及ぼす光線が含まれており、それぞれが肌に与えるダメージは異なります。
したがって、効果的な日焼け止めは、UVAとUVBの両方を高いレベルで防ぐ「広域スペクトル(ブロードスペクトラム)」であることが必須条件となります。
UVA・UVBとは?
太陽から降り注ぐ紫外線は、その波長によってUVAとUVBに大別されます。
この2つは肌に到達する深さや与える影響が全く異なるため、両方の特性を理解することが重要です。
UVA
UVA(紫外線A波)とは、地表に届く紫外線の約95%を占める「生活紫外線」のことです。
波長が320〜400nmと長く、肌の奥深くにある真皮層にまで到達する性質を持っています。

窓際にいることが多いけど、室内でも対策は必要?

はい、UVAは窓ガラスを透過するため、屋内での対策も欠かせません。
真皮に届いたUVAは、肌のハリや弾力を支えるコラーゲンやエラスチンを破壊し、シワやたるみといった「光老化」を引き起こす主な原因となります。
UVB
UVB(紫外線B波)とは、主に肌の表面にある表皮に作用し、赤みや炎症を引き起こす「レジャー紫外線」です。
波長が280〜320nmと短くエネルギーが強いため、短時間で肌にダメージを与え、シミやそばかすの原因となるメラニンを生成させます。
海や山でのレジャーで肌が赤くヒリヒリする日焼け(サンバーン)は、このUVBが直接的な原因です。
近赤外線・ブルーライトの影響
近年の研究では、紫外線だけでなく近赤外線(NIR)やブルーライト(HEV)も肌老化に関与することが明らかになってきました。
特に近赤外線は、UVAよりもさらに深く、皮下組織にまで到達する特性を持ちます。

PC作業が多いからブルーライトが気になるけど、太陽光にも含まれるの?

はい、ブルーライトの最大の発生源は太陽光です。
これらの光線は、それぞれ異なるメカニズムで肌に影響を与えます。
放射線タイプ | 波長(概算) | 到達深度 | 主な生物学的影響 |
---|---|---|---|
UVB | 280-320 nm | 表皮 | サンバーン、炎症、シミの原因 |
UVA | 320-400 nm | 真皮 | シワ、たるみ(光老化) |
ブルーライト(HEV) | 400-500 nm | 真皮 | 酸化ストレス、色素沈着 |
近赤外線(NIR) | 700-2500 nm | 皮下組織 | 熱ストレス、シワ・たるみの悪化 |
ブルーライトは肌の酸化ストレスを、近赤外線は熱によるダメージを招くため、紫外線以外の光線からも肌を守るという視点が、現代の太陽光対策では不可欠です。
SPF・PAの正しい理解と選び方
- SPF(UVB防御度)の目安
- SPF10~20:日常生活(散歩・買い物)
- SPF20~40:短時間の屋外活動
- SPF30~50+:炎天下・マリンスポーツ
- PA(UVA防御度)の目安
- PA+:日常・曇りの日[1]
- PA++~+++:レジャー・長時間の外出
- PA++++:汗・水に強いシーン
- 塗り重ね・塗り直しのコツ
日焼け止め選びで最も基本となるのが、SPFとPAという2つの指標です。
これらは紫外線の種類(UVBとUVA)に対する防御効果を示しており、自分の活動シーンに合わせて適切な数値を選ぶことが、効果的な紫外線対策の第一歩となります。
シーンごとの目安を理解し、肌に余計な負担をかけずに最適なケアを実践しましょう。
SPF(UVB防御度)の目安
SPFは「Sun Protection Factor」の略で、肌に赤みや炎症(サンバーン)を引き起こす紫外線B波(UVB)を防ぐ効果を示します。
例えばSPF30の製品は、何も塗っていない状態に比べて日焼けが始まるまでの時間を約30倍遅らせることを意味します。
ただし、これは効果の持続時間ではなく、防御レベルの高さを示している点に注意が必要です。
シーンに応じて必要なSPF値は異なるため、過剰に高いものを選べば良いというわけではありません。
SPF10~20:日常生活(散歩・買い物)
SPF10~20は、通勤や通学、近所への散歩や買い物といった日常生活に適したレベルです。
窓からの紫外線対策など、屋内での活動が中心の日にも十分な効果を発揮します。
肌への負担が比較的少ない処方が多く、毎日使いやすいのが特徴です。
例えば、無印良品の「日焼け止めジェル SPF27 PA++」は、軽い付け心地で日常使いに向いています。

毎日使うから、肌への優しさも重視したいな。

石鹸で落とせるタイプを選ぶと、クレンジングの負担も減らせます。
日常の紫外線対策としては、このレベルの製品を習慣的に使用することが大切です。
SPF20~40:短時間の屋外活動
SPF20~40は、公園でのピクニックやガーデニングなど、屋外で数時間過ごすような軽いレジャー活動に推奨されます。
日常生活よりも強い紫外線を浴びる可能性があるため、SPF10~20の製品よりも防御力を一段階上げる必要があります。
アネッサの「デイセラム(SPF50+ PA++++)」は高い防御力を持ちながら美容液効果もあり、屋外活動と普段使いを両立させたい場合に適しています。

週末のテニス前の軽いウォーミングアップくらいなら、このレベルで大丈夫?

発汗を伴わない軽い運動であれば、この範囲で対応可能です。
少し長めに外にいる日は、この範囲のSPF値を目安に製品を選びましょう。
SPF30~50+:炎天下・マリンスポーツ
SPF30以上、特に最高値であるSPF50+は、真夏のビーチや山登り、長時間のスポーツなど、強い紫外線を浴び続ける過酷な環境下で必須のレベルです。
日本化粧品工業会の基準では、SPF50を超える製品は一律「SPF50+」と表示されます。
SPF50の時点でUVBを約98%カットするため、これ以上の数値を追い求めるよりも、こまめに塗り直すことが重要になります。
ALLIE(アリィー)の「クロノビューティ ジェルUV EX」は、高いUVカット効果と摩擦に強い機能性を両立させています。
強い日差しから肌を確実に守るためには、最高レベルのSPF値を選び、後述する塗り直しのコツを実践することが欠かせません。
PA(UVA防御度)の目安
PAは「Protection Grade of UVA」の略で、肌の奥深く(真皮)にまで到達し、シワやたるみといった光老化の原因となる紫外線A波(UVA)を防ぐ効果を示します。
日本独自の指標で、「PA+」から「PA++++」までの4段階で表示されます。
「+」の数が多いほど、UVAに対する防御効果が高くなります。

シミだけじゃなくて、将来のたるみも防ぎたいからPA値は重要だね。

UVAは窓ガラスも透過するため、室内でもPA値は意識したいポイントです。
SPF値とあわせてPA値もチェックし、UVAからも肌をしっかり守りましょう。
PA+:日常・曇りの日[1]
PA+は、UVA防御効果があることを示し、主に室内で過ごす日や曇りの日のような、紫外線量が比較的少ない状況での使用が目安です。
紫外線A波は天候にかかわらず常に地表に降り注いでいるため、少しの外出でも対策は必要です。
キュレルの「UVカット デイバリアUVローション(SPF50+ PA+++)」は高い防御力を持ちつつ、乾燥性敏感肌に配慮した処方で日常的に使いやすい製品です。
油断しがちな曇りの日でも、最低限のUVA対策としてPA+以上の製品を使用する習慣をつけましょう。
PA++~+++:レジャー・長時間の外出
PA++(UVA防御効果がかなりある)からPA+++(UVA防御効果が非常にある)は、屋外でのレジャーや長時間の外出など、UVAを浴びる時間が長くなるシーンに適しています。
現在市販されている日焼け止めの多くがこのレベルの防御力を持っており、一般的な屋外活動にはPA+++を選んでおくと安心です。
ビオレUVの「アクアリッチ ウォータリーエッセンス(SPF50+ PA++++)」は、高い防御力を持ちながらみずみずしい使い心地で、幅広いシーンに対応します。
屋外で活動する際は、SPF値だけでなくPA値も+++以上のものを選ぶことが、光老化を防ぐ上で重要です。
PA++++:汗・水に強いシーン
PA++++はUVAに対する防御効果が極めて高いことを示す、現在の最高分類です。
炎天下でのスポーツやマリンレジャーなど、絶対に日焼けをしたくない過酷な環境では、SPF50+とPA++++を組み合わせた最高スペックの製品が推奨されます。
スキンアクアの「スーパーモイスチャージェル ゴールド(SPF50+ PA++++)」は、汗・水に強い処方で、厳しい環境下での使用を想定して開発されています。
UVAによる深刻なダメージから肌を徹底的に守るためには、活動内容に合わせてPA++++を選択することが最適な対策です。
塗り重ね・塗り直しのコツ
どれだけ高いSPF・PA値の製品を選んでも、2~3時間ごとの塗り直しを怠ると効果は大幅に低下します。
汗をかいたり、タオルで肌を拭いたりした後は、その都度塗り直すことが理想です。
特に顔に塗る際は、一度に厚塗りするのではなく、推奨量(500円玉大程度)を2回に分けて重ね付けすると、塗りムラを防ぎ、均一な保護膜を作ることができます。

メイクの上からだと、どうやって塗り直せばいいの?

スプレータイプやUVカット機能のあるパウダーを使うのが手軽でおすすめです。
日焼け止めの効果を最大限に引き出す鍵は、製品のスペックだけでなく、正しい使い方を実践することにあります。
タイプ別 日焼け止めの特徴と選び方
日焼け止め選びで最も重要なのは、配合されている紫外線防御成分の種類と、使い心地を左右する「剤形」を理解することです。
この2つの要素を押さえることで、ご自身の肌と目的に合った製品がぐっと見つけやすくなります。
成分と剤形、それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
紫外線散乱剤 vs. 吸収剤
日焼け止めに配合される紫外線防御成分は、大きく分けて「紫外線散乱剤」と「紫外線吸収剤」の2種類です。
これらは紫外線を防ぐ仕組みが全く異なります。
項目 | 紫外線散乱剤(ノンケミカル) | 紫外線吸収剤(ケミカル) |
---|---|---|
主な成分 | 酸化チタン、酸化亜鉛 | メトキシケイヒ酸エチルヘキシルなど |
作用機序 | 物理的な膜で紫外線を反射・散乱 | 化学反応で紫外線を吸収し、熱などに変換 |
メリット | 肌への刺激が少なく、アレルギーリスクが低い | 透明で伸びが良く、白浮きしにくい |
デメリット | 製品により白浮きやきしみを感じることがある | まれにアレルギーや刺激の原因になる |
向いている人 | 敏感肌、子供、肌への優しさ重視 | 使用感、白浮きのなさを重視 |
ご自身の肌質や日焼け止めに求めることを考えて、どちらのタイプが合っているか見極めることが大切になります。
散乱剤(酸化チタン・亜鉛)
紫外線散乱剤は、酸化チタンや酸化亜鉛といったミネラル成分が肌の表面に物理的な膜を作り、紫外線を跳ね返すことで肌を守るタイプです。
紫外線を肌に吸収させないためアレルギー反応のリスクが低く、敏感肌の方や小さなお子様にも使いやすいのが特徴になります。
肌への負担が少ないことから、このような成分のみを使用した製品は「ノンケミカル」処方と呼ばれます。

ノンケミカルって聞くけど、白浮きが気になる…

最近は技術の進化で、白浮きしにくい製品も増えていますよ
製品名 | ブランド | 特徴 |
---|---|---|
UVイデア XL プロテクショントーンアップ | ラ ロッシュ ポゼ | 敏感肌向け、トーンアップ効果 |
ミネラルUVパウダー | エトヴォス | 石鹸で落とせるパウダータイプ |
ノンケミカルUVミルク | キュレル | 乾燥性敏感肌向け、セラミド機能成分配合 |
肌への優しさを最優先に考えるなら、紫外線散乱剤を主成分とした製品から試してみるのがおすすめです。
吸収剤
紫外線吸収剤は、有機化合物が紫外線を吸収し、熱などの別のエネルギーに変えて放出することで、肌への侵入を防ぐ仕組みです。
透明で伸びが良く、白浮きしにくいため、使い心地の良い製品を多く作れます。
SPFやPAの高い製品にも配合しやすいのが利点です。

吸収剤は肌に悪いって本当?

成分をカプセル化するなど、肌刺激を抑える技術も進んでいます
製品名 | ブランド | 特徴 |
---|---|---|
スキンアクア スーパーモイスチャージェル | ロート製薬 | 水のようなつけ心地、大容量 |
ビオレUV アクアリッチ ウォータリーエッセンス | 花王 | ミクロレベルの塗りムラまで防ぐ独自技術 |
アリィー クロノビューティ ジェルUV EX | カネボウ化粧品 | 汗・水・摩擦に強く、ビーチフレンドリー処方 |
日焼け止め特有のきしみやベタつきが苦手な方、使用感を重視する方には、紫外線吸収剤を使用した製品が快適な選択肢となります。
剤形ごとの選び方
日焼け止めは、ミルク、ジェル、スプレーなど様々な剤形(テクスチャー)があり、それぞれ使用感や適したシーンが異なります。
毎日快適に使い続けるためには、ご自身の肌質や好みに合った剤形を選ぶことが欠かせません。
剤形 | 主な特徴 | メリット | デメリット | 最適なシーン |
---|---|---|---|---|
ミルク/ローション | しっとりとした乳液状 | 保湿力が高く、肌なじみが良い | 製品によりベタつくことも | 日常使い、乾燥肌 |
ジェル/パウダー | みずみずしく、さっぱり | 軽いつけ心地、白浮きしにくい | アルコールによる乾燥の可能性 | 脂性肌、暑い季節 |
スプレー/スティック | 手軽に塗布可能 | 手が届きにくい場所や塗り直しに便利 | 塗りムラが出やすい、十分な量を塗りにくい | 外出中の塗り直し、髪や背中 |
用途に合わせて複数のタイプを使い分けるのも、紫外線対策を継続するコツです。
ミルク/ローション
ミルクタイプやローションタイプは、乳液のようなしっとりとしたテクスチャーが特徴です。
保湿力が高く、乾燥から肌を守りながら紫外線対策ができます。
化粧下地としても使える製品が多く、毎日のメイクに取り入れやすいのが魅力です。

乾燥肌だから、日焼け止めでカサカサしたくないな

保湿成分が豊富なミルクタイプなら、スキンケア感覚で使えます
スキンケアの延長として心地よく使いたい方や、乾燥が気になる方には最適な選択です。
ジェル/パウダー
ジェルタイプはみずみずしく、パウダータイプはサラサラとした軽い使用感が特徴です。
どちらもベタつきにくいため、脂性肌の方や、日焼け止め特有の重い質感が苦手な方に人気があります。
特にジェルタイプは透明な製品が多く、白浮きを気にせず使える点がメリットです。

メイクの上から塗り直したいけど、どうすれば?

UVカット効果のあるパウダーなら、メイクを崩さず手軽にお直しできます
暑い季節のレジャーや、皮脂によるテカリが気になる場合に重宝するテクスチャーです。
スプレー/スティック
スプレータイプとスティックタイプは、手を汚さずに手軽に使える利便性が最大の魅力です。
スプレーは背中や髪、足の甲など塗りにくい部分に、スティックは鼻筋や頬骨など狙った場所にピンポイントで塗るのに適しています。
外出先での塗り直しにも大変便利です。

ムラなく塗れているか心配…

スプレーやスティックは塗り直し用とし、朝の最初のケアはミルクやジェルでしっかり塗るのがおすすめです
メイン使いというよりは、日中の補助的な紫外線対策として活用することで、防御効果を一日中キープできます。
肌質・シーン別のおすすめポイント
日焼け止め選びは、ご自身の肌が持つ特性と、どのような場面で使うのかを掛け合わせて考える必要があります。
肌への優しさ、使用感、そして求められる防御性能を総合的に判断するには、成分レベルで製品を理解することが欠かせません。
肌質とシーン、それぞれの観点から最適な一本を見つけ出すためのポイントを紹介します。
用途分類 | 推奨SPF/PA値 | 主な特徴と推奨成分 | 推奨テクスチャー |
---|---|---|---|
乾燥肌・敏感肌 | SPF30/PA+++前後 | 保湿成分(セラミド、ヒアルロン酸)、ノンケミカル処方 | クリーム、ミルク |
脂性肌・混合肌 | SPF30~50+/PA++++ | オイルフリー、ノンコメドジェニック、皮脂吸着成分 | ジェル、パウダー |
マリンスポーツ | SPF50+/PA++++ | UV耐水性★★、汗・熱に強い技術 | 高密着ミルク、スティック |
日常・通勤通学 | SPF15~30/PA++~+++ | ブルーライトカット機能、石鹸で落とせる処方 | ローション、軽めのジェル |
自分の肌とライフスタイルに真に合う製品を見つけることで、毎日の紫外線対策はもっと快適で確実なものになります。
乾燥肌・敏感肌向け
乾燥肌や敏感肌の方は、外部からの刺激を防ぎ、水分の蒸発を抑える皮膚の「バリア機能」が低下しがちです。
そのため、日焼け止め選びでは保湿力と低刺激性を最優先に考えることが大切です。
特に、ヒトの肌にあるセラミドと同じ構造を持つ「ヒト型セラミド」は肌なじみが良く、角層の水分を保持する能力に長けています。
肌への負担を考慮すると、紫外線を物理的に反射する紫外線散乱剤(酸化チタン、酸化亜鉛)を主成分としたノンケミカル処方が適しています。
項目 | 具体例 |
---|---|
推奨フィルター | 紫外線散乱剤(ノンケミカル) |
推奨保湿成分 | セラミド、ヒアルロン酸、コラーゲン |
避けるべき成分例 | アルコール(エタノール)、合成香料、合成着色料 |

ノンケミカルでも、酸化チタンや酸化亜鉛のナノ粒子は安全性に懸念はないのだろうか?

近年の技術では粒子表面をシリコーンなどでコーティング処理したものが主流で、皮膚への浸透リスクは極めて低いと考えられています
製品を選ぶ際は、保湿成分が豊富で、アルコールフリーなど肌への刺激となりうる成分を含まない、しっとりとしたミルクやクリームタイプを選ぶと良いでしょう。
例えば、キュレルの『潤浸保湿 UVクリーム』は、セラミド機能成分を配合し、乾燥性敏感肌を考慮した製品です。
脂性肌・混合肌向け
皮脂の分泌が多い脂性肌や、部分的に乾燥する混合肌の方は、毛穴詰まりやニキビへの配慮が必要です。
日焼け止めを選ぶ際は、ニキビの元(コメド)を誘発しにくいことをテストで確認した「ノンコメドジェニックテスト済み」の表示がある製品を選びましょう。
特に皮脂分泌が活発なTゾーンは、女性の約2倍の皮脂が分泌されることもあり、油分の少ない処方が快適さを保つ鍵となります。
「オイルフリー」と表示された製品や、べたつきにくい軽やかなジェル、テカリを抑えるパウダータイプが向いています。
項目 | 具体例 |
---|---|
推奨処方 | オイルフリー、ノンコメドジェニックテスト済み |
推奨テクスチャー | ジェル、ローション、パウダー |
推奨成分 | ビタミンC誘導体、グリチルリチン酸2K(抗炎症) |

ジェルタイプはアルコールが多い印象があるけれど、混合肌だと乾燥しないか心配だ

アルコールフリーのジェル製品も増えています。例えばオルビスの『リンクルブライトUVプロテクター』は、そうした選択肢の一つです
日中のテカリや化粧崩れを防ぎながら、ニキビのリスクを抑える製品を選ぶことで、一日中快適な肌状態を維持できます。
マリンスポーツ・スポーツ観戦
海や山でのレジャー、長時間のスポーツ観戦など、強い日差しと汗にさらされる環境では、最高レベルの防御力と耐水性が求められます。
ここで重要なのが、日本の新しい耐水性基準である「UV耐水性★★(ツースター)」です。
これは、国際規格に基づき、80分間(20分×4回)の水浴テストの後でも、SPF値の50%以上を維持することを証明する表示です。
従来の「ウォータープルーフ」という曖昧な表現よりも、信頼性が高い指標といえます。
項目 | 推奨スペック |
---|---|
SPF/PA値 | SPF50+ / PA++++ |
耐水性 | UV耐水性★★ |
推奨技術 | 汗・水・熱で膜が強くなる技術 |

「汗」に対する統一された耐性基準はまだないとのことだが、本当に信頼できるのだろうか?

アネッサの『パーフェクトUV スキンケアミルク N』のように、汗や熱、湿気に反応してUVブロック膜が強くなる独自の技術を搭載した製品もあります
こうした過酷なシーンでは、SPF・PA値が最高であることはもちろん、「UV耐水性★★」の表示があるか、さらに汗対策の独自技術を持つかを確認することが、肌を確実に守るための必須条件となります。
日常・通勤通学
オフィスワークや買い物といった日常的なシーンでは、過剰な防御力よりも、毎日無理なく続けられる快適さが重要です。
しかし、窓ガラスを透過して肌の奥深くに届くUVAや、PC・スマートフォンから発せられるブルーライトによる「光老化」は、屋内にいても進行します。
地表に届く紫外線の約95%はUVAであり、知らないうちに肌のハリを失わせる原因となるのです。
そのため、SPF値は高すぎなくても、UVAを防ぐPA値がしっかりあり、ブルーライトカット機能を備えた製品が適しています。
項目 | 推奨スペック |
---|---|
SPF/PA値 | SPF15~30 / PA++~+++ |
付加機能 | 化粧下地効果、ブルーライトカット機能 |
落としやすさ | 石鹸や通常の洗顔料で落とせる処方 |

毎日使うものだからこそ、夜のクレンジングの手間はできるだけ省きたいな

「石鹸で落ちる」と明記された製品を選ぶと、ダブル洗顔が不要になり夜のスキンケアがぐっと楽になります
防御力と使用感、落としやすさのバランスが取れた製品を選ぶことが、毎日の紫外線対策を習慣化する秘訣です。
アリィーの『クロノビューティ ジェルUV EX』のような、使用感が良く普段使いしやすい製品が選択肢になります。
正しい使い方・落とし方
どんなに高性能な日焼け止めを選んでも、使い方を誤るとその効果は半減してしまいます。
特に、ほとんどの人が推奨される塗布量を守れていないという点が、紫外線対策の大きな落とし穴です。
日焼け止めの効果を100%引き出し、肌トラブルを防ぐためには、正しい量と落とし方の両方をマスターすることが欠かせません。
顔と体への適量
日焼け止めのSPFやPA値は、皮膚1cm²あたりに2mgを塗布するという国際基準「2mg/cm²」で測定されています。
この基準量を守らないと、パッケージに表示された防御効果は得られません。
研究によれば、平均的な使用者は推奨量の25〜50%しか塗布できておらず、SPF50の製品でも実際の防御力はSPF7程度まで低下することがあります。

2mg/cm²って、実際どれくらいの量なの?

人差し指と中指の指先から第一関節まで出した量が、顔と首に塗る量の目安になる「2フィンガールール」がわかりやすいですよ
部位 | 推奨される塗布量の目安 |
---|---|
顔全体 | パール粒大を2回重ねづけ |
体(片腕や片足など) | 500円玉大を各部位に分けて塗布 |
日焼け止めを塗る際は、耳や首の後ろ、髪の生え際、足の甲といった忘れがちな部分まで丁寧に塗り広げることで、塗りムラを防げます。
落とし方
日焼け止めを肌に残したままにすると、毛穴の詰まりやニキビ、肌荒れの原因になることがあります。
特に高SPF値や耐水性の高い製品は肌に密着するように作られているため、適切なクレンジングが必要です。
肌の自然な保湿成分を奪いすぎないよう、すすぎは32~34℃のぬるま湯で行うことが推奨されます。

ダブル洗顔は肌に負担がかかりそうで心配です…

ファンケルの「マイルドクレンジング オイル」のように、肌のバリア機能を守りながらメイクも日焼け止めもしっかり落とせる製品を選びましょう
日焼け止めの種類 | 推奨される落とし方 |
---|---|
低SPF・「石鹸で落ちる」表示あり | いつもの洗顔料やボディソープで洗浄 |
高SPF・UV耐水性表示あり | クレンジングオイルなどを使用したダブル洗顔 |
一日の終わりには、使用した日焼け止めの性能に合ったクレンジング方法を選ぶ習慣をつけることが、健やかな肌を保つための鍵となります。
よくある質問(FAQ)
- Q顔用とからだ用の日焼け止め、何が違うのですか?
- A
顔用の日焼け止めは、一般的に顔の皮膚の特性に合わせて作られています。
例えば、皮脂によるテカリを防ぐ成分を配合したり、メイクのノリを良くする化粧下地効果を兼ね備えていたりします。
一方、からだ用は広範囲に塗りやすいように、伸びの良いテクスチャーや大容量の製品が多くなっています。
顔にからだ用を使っても問題はありませんが、顔特有の悩みに対応したい場合は顔専用の製品を選ぶことをおすすめします。
- Q子供にはいつから、どんな日焼け止めを使えば良いですか?
- A
一般的に、生後6ヶ月を過ぎてからの使用が推奨されています。
子供のデリケートな肌には、紫外線吸収剤を含まないノンケミカル処方の製品が適しています。
また、肌への負担を減らすため、お湯や石鹸で落とせるタイプを選ぶと良いでしょう。
使用する前には、必ず腕の内側などでパッチテストを行い、肌に異常が出ないことを確認してください。
- Q日焼け止めで肌荒れします。ニキビができやすい肌質向けの選び方はありますか?
- A
日焼け止めによる肌荒れやニキビが気になる場合は、製品選びと落とし方が重要です。
まず、ニキビの元になりにくいことをテストした「ノンコメドジェニックテスト済み」の表示がある製品を選びます。
油分が気になる脂性肌の方は、「オイルフリー」と記載されたジェルタイプが快適に使えるでしょう。
そして、一日の終わりには専用のクレンジングを使って、日焼け止めをきれいに落とし切ることが肌荒れを防ぐ鍵となります。
- Q去年開封した日焼け止めは今年も使えますか?
- A
一度開封した日焼け止めは、その年のうちに使い切るのが基本です。
開封後は空気に触れて品質が変化し、本来の紫外線防御効果を発揮できなくなる可能性があります。
特に、色や匂いが変わっていたり、中身が分離していたりする場合は使用を中止します。
未開封の場合でも、製造から3年が使用期限の目安とされているため、保管期間が長いものは使わないようにしましょう。
- Q日焼け止めと化粧下地は、どちらを先に塗るのが正しいですか?
- A
スキンケアで肌を整えた後、「日焼け止め」を先に塗り、その次に「化粧下地」を塗るのが正しい順番です。
日焼け止めは、肌に直接密着することでムラなく紫外線を防ぐ効果を発揮するため、メイクアップ製品より先に塗布します。
日中の塗り直しには、メイクの上から使えるスプレータイプや、UVカット効果のあるパウダーを利用すると手軽です。
- QSPFやPAが高いと、肌への負担も大きいのでしょうか?
- A
必ずしも「SPF/PA値の高さ=肌への負担」ではありません。
肌への負担は、数値そのものよりも、配合されている成分の種類や処方技術によって変わります。
最近は、紫外線吸収剤をカプセルで包み、肌に直接触れさせないように工夫された製品も登場しています。
敏感肌の方は、紫外線散乱剤を主成分としたノンケミカル処方を選ぶなど、ご自身の肌質に合った成分の製品を選ぶことが大切です。
- Q「メンズ」と書かれた日焼け止めと、そうでない製品に違いはありますか?
- A
基本的な紫外線防御の成分や機能に大きな違いはありません。
しかし、メンズ用の製品は、男性特有の肌質や好みを考慮して作られていることが多くなります。
例えば、皮脂の分泌が多い脂性肌の方向けに、さっぱりとした使用感でテカリを抑える成分が配合されていたり、無香料や爽やかな香りのものが主流です。
もちろん、性別に関わらずご自身の肌質や好みに合えば、どちらの製品を選んでも問題ありません。
- Qよく聞く「リーフセーフ」の日焼け止めとは何ですか?
- A
海のサンゴ礁といった海洋環境への影響に配慮して作られた日焼け止めのことを指します。
特に、特定の紫外線吸収剤である「オキシベンゾン」や「オクチノキサート」を含まない製品を指す場合が多いです。
環境への優しさを重視するなら、これらの成分を含まない製品や、紫外線散乱剤を主成分としたノンケミカルの日焼け止めを選ぶのがおすすめです。
- Q目元や唇も日焼けしますか?専用のケアが必要ですか?
- A
はい、目元や唇も日焼けします。
これらの部分は皮膚が非常に薄くデリケートなため、紫外線ダメージを受けやすい場所です。
顔用の日焼け止めを塗る際は目元も優しくカバーし、刺激が気になる場合は敏感肌向けの製品を選びます。
唇には、UVカット機能のあるリップクリームを使用するのが効果的です。
専用のアイテムでしっかり守ってあげましょう。
- Q「石鹸で落ちる」と書いてある製品は、本当に洗顔料だけで大丈夫ですか?
- A
はい、基本的には通常の洗顔料やボディソープで落とせるように処方されています。
ただし、これは日焼け止め単体で使用した場合を想定しています。
化粧下地やファンデーションなど、他のメイクアップ製品を重ねている場合は、メイクも落とせるクレンジング剤を使うのが確実です。
落とし方が心配な場合は、クレンジングを使用するとより安心できます。
- Q日焼け止めを塗ると顔が白くなってしまいます。どうすれば防げますか?
- A
白浮きの主な原因は、紫外線散乱剤(ノンケミカル)という成分です。
対策としては、紫外線吸収剤を主成分とした、透明でなじみやすい製品を選ぶ方法があります。
ノンケミカル処方にこだわりたい場合は、最近の技術で白浮きしにくく改良された製品を探してみましょう。
また、自分の肌色に合った色付きタイプの日焼け止めを選ぶと、白浮きを防ぎながら肌をきれいに見せることができますよ。
- Q「飲む日焼け止め」だけで紫外線対策は万全ですか?
- A
いいえ、「飲む日焼け止め」は、あくまで紫外線対策を補助する役割です。
これらは、紫外線によって発生するダメージを体の中から軽減するのを助ける美容サプリメントであり、塗る日焼け止めのように紫外線を物理的にブロックするわけではありません。
日焼けを防ぐためには、必ず塗るタイプの日焼け止めを基本とし、飲むタイプは補助的なケアとして併用することが大切です。
まとめ
この記事では、SPF・PA値の正しい理解から、肌質や利用シーンに応じた成分の選び方、そして新しい「UV耐水性」基準まで、科学的な視点で最適な日焼け止めを見つける方法を解説しました。
数多くの製品の中から後悔しない一本を選ぶために最も大切なのは、ご自身の肌と目的に合わせて、防御成分の仕組みや性能表示を正しく理解することです。
- SPF/PA値と肌質・シーンを掛け合わせた総合的な製品選択
- 汗や水に強い場面での「UV耐水性」表示の確認
- 効果を保つための十分な塗布量と2~3時間ごとの塗り直し
この記事で得た知識を活かし、あなたにとって最高のパートナーとなる日焼け止めを見つけてください。
まずは今お使いの製品が、本当にご自身の肌とライフスタイルに合っているか、成分や性能表示を見直すことから始めてみましょう。
コメント