eSIMとWi-Fiの違いを徹底比較｜どっちを選ぶべきか5つのポイント

スマートフォンなどで快適にインターネットを利用するには、eSIMとWi-Fiの特性を理解し、状況に応じて使い分けることが最も重要です。

この記事では、似ているようで全く異なるeSIMとWi-Fiについて、それぞれの技術の根本的な違いを5つのポイントから比較し、みなさんの使い方に合わせた最適な活用法を解説します。

• eSIMとWi-Fiの仕組みと特徴の根本的な違い
• 5つのポイント（場所、速度、料金、設定、海外利用）での徹底比較
• 利用シーンに合わせた最適な使い分けと節約方法

eSIMとWi-Fi、自分に合うのはどっち？使い分けがカギ

• なぜ違いを知るのが大切なのか
• eSIMが得意なこと、Wi-Fiが得意なこと

スマートフォンなどのデバイスで快適にインターネットを利用するには、eSIMとWi-Fiの特性を理解し、状況に応じて使い分けることが最も重要です。

それぞれの技術の根本的な違いを知ることで、なぜ使い分けが必要なのかが明確になり、eSIMとWi-Fi、それぞれの得意な利用シーンが見えてきます。

みなさんのライフスタイルや利用目的に合わせて、両者のメリットを最大限に活かす方法を見つけることが、最適な通信環境の実現につながります。

なぜ違いを知るのが大切なのか

eSIMとWi-Fiは、どちらも無線でインターネットに接続する技術ですが、その仕組みや提供されるサービスは全く異なります。

この根本的な違いを理解することが、みなさんにとって最適な選択をするための第一歩となります。

例えば、外出先で頻繁にインターネットを使う方と、主に自宅で動画視聴を楽しむ方では、重視すべきポイントが異なります。

違いを知らないまま選択すると、「思ったより通信費が高くなった」「使いたい場所で繋がらない」といった不満につながるかもしれません。

それぞれの特性を正しく把握することで、無駄なコストを避け、より快適なインターネットライフを送ることが可能になります。

eSIMが得意なこと、Wi-Fiが得意なこと

eSIMとWi-Fiは、それぞれ得意な利用シーンが明確に異なります。

これを把握することが、賢い使い分けの基本です。

eSIMは、携帯電話会社の広範なネットワークを利用するため、場所を選ばずにインターネットに接続できる「移動中の利便性」が最大の強みです。

一方、Wi-Fiは、光回線などの固定回線を無線化するため、「特定の場所での高速・大容量通信」を得意としています。

特徴	eSIMが得意なこと	Wi-Fiが得意なこと
利用シーン	外出先、移動中、海外旅行	自宅、オフィス、カフェなど特定の場所
接続性	広範囲での接続性、場所を選ばない	局所的だが安定した高速通信
主なメリット	物理SIM不要の手軽さ、どこでも繋がる利便性	データ容量無制限プランでのコスト効率、複数機器接続
適した用途	地図アプリ、SNS、メールチェックなど	動画視聴、オンラインゲーム、大容量ダウンロード

このように、eSIMは「身軽さ」と「広範囲接続」、Wi-Fiは「速度・容量」と「コスト効率」にそれぞれ強みがあり、お互いを補完し合う関係にあります。

まずは基本理解 eSIMとは？デジタルSIMの仕組みと特徴

• 物理カード不要の仕組み
• 主なメリット（利便性・安全性）
• デメリットや注意点
• 利用に必要なもの（対応機種など）

eSIMを理解する上で、物理的なSIMカードが不要になるという点が最も重要です。

この見出しでは、eSIMがどのような仕組みで成り立っているのか（物理カード不要の仕組み）、どんな良い点があるのか（主なメリット）、気をつけるべき点（デメリットや注意点）、そして利用を始めるために何が必要か（利用に必要なもの）を解説していきます。

eSIMは、従来のSIMカードに代わる新しい技術で、スマートフォンなどの利用をより便利にするものです。

物理カード不要の仕組み

eSIM（イーシム）とは「Embedded SIM」の略で、スマートフォンなどの端末本体にあらかじめ埋め込まれたSIM機能を指します。

物理的なカードを抜き差しする代わりに、契約したい携帯電話会社の情報（プロファイル）をインターネット経由でダウンロードし、eSIMチップに書き込むことで通信が可能になります。

この設定は、多くの場合、送られてくるQRコードを読み取るか、専用アプリを通じて数分程度で完了します。

設定方法	概要
QRコード読み取り	キャリアから提供されるQRコードを読み込む
専用アプリ経由	キャリアのアプリ内で設定を完結させる
手動での情報入力	APN情報などを直接入力する場合もある

これによって、SIMカードの到着を待つ必要がなくなり、オンライン手続きだけで利用開始できる手軽さが実現しています。

主なメリット（利便性・安全性）

eSIMの大きなメリットは、利便性と安全性の向上にあります。

オンラインで契約から開通まで完結できるため、店舗へ行く手間やSIMカード到着までの待ち時間が不要になります。

最短で申し込み当日から利用開始できます。

海外旅行時も、渡航前に現地の通信プランをオンラインで購入・設定しておけば、到着後すぐにインターネットが使えます。

1台のスマートフォンに複数のeSIMプロファイルを保存し、必要に応じて切り替えて利用できる点も便利です（例: 仕事用とプライベート用、国内用と海外用など）。

メリット項目	詳細
オンライン完結	店舗訪問不要、待ち時間なし
即日利用可能	最短申し込み当日から利用開始
海外利用の手軽さ	渡航前にオンラインで準備可能
複数プラン管理	1台の端末で複数回線を使い分け
紛失・破損リスクなし	物理カードがないため紛失や破損の心配がない
盗難時の安全性向上	端末ロックで不正利用防止、SIM抜き取り不可

物理的なカードがないため、紛失や破損の心配がなく、万が一スマートフォンを紛失・盗難された場合でも、SIMカードを抜き取られる心配がないため、セキュリティ面でも安心感が増します。

デメリットや注意点

便利なeSIMですが、利用にあたっていくつか知っておくべきデメリットや注意点が存在します。

最大の注意点は、eSIMに対応した端末が必要なことです。

古い機種や一部の安価なスマートフォンでは利用できません。

eSIMプロファイルをダウンロードする際には、安定したインターネット接続環境（通常はWi-Fi）が必要になる場合が多いです。

データ通信プランは、Wi-Fiのように無制限で使い放題のものが少ない傾向にあり、使いすぎると料金が高くなる可能性があります。

注意点	詳細
対応機種の確認	手持ちのスマホがeSIMに対応しているか要確認
初期設定時のネット環境	プロファイルDL用にWi-Fiなどの接続が必要
データ容量プラン	使い放題プランが少ない傾向、使いすぎに注意
端末変更時の手続き	SIM差し替えより手続きが複雑な場合がある(改善傾向あり)
データ専用プランの存在	海外用などで音声通話不可の場合がある

スマートフォンを買い替える際のeSIM情報の移行も、物理SIMを差し替えるより手順がやや煩雑な場合がありますが、キャリアによっては簡単な移行方法も提供され始めています。

利用に必要なもの（対応機種など）

eSIMの利用を開始するには、いくつかの準備が必要です。

まず最も重要なのは、eSIMに対応したスマートフォンやタブレットになります。

iPhoneであればiPhone XS/XR以降のモデル、AndroidスマートフォンもGoogle Pixelシリーズや比較的新しいモデルの多くが対応しています。

購入前に必ずメーカー公式サイトやキャリアの対応機種一覧で確認してください。

次に、利用したい携帯電話会社とのeSIMプランの契約が必要です。

契約後、eSIMプロファイルをダウンロードするための情報（QRコードやアクティベーションコードなど）が提供されます。

必要なもの	補足
eSIM対応デバイス	スマートフォン、タブレット、スマートウォッチなど
eSIMプランの契約	携帯電話会社（MNO/MVNO）との契約
プロファイル設定情報	QRコード、アクティベーションコードなど
インターネット接続環境	初期設定時に必要（多くの場合Wi-Fi）

そして、前述の通り、初期設定（プロファイルのダウンロードとインストール）を行う際には、安定したインターネット接続環境（通常はWi-Fi）が必要となります。

こちらもおさらい Wi-Fiとは？無線LANの仕組みと特徴

• 無線でネットにつなぐ仕組み
• 主なメリット（速度・容量）
• デメリットや注意点
• 利用に必要なもの（回線・ルーター）

eSIMについて理解を深めたところで、私たちの生活にすっかり定着しているWi-Fiについても基本的な仕組みをおさらいしておきましょう。

特に、自宅やオフィスでの快適なインターネット利用には、Wi-Fiの特性を理解することが重要です。

ここでは、Wi-Fiが無線でネットにつなぐ仕組みから、主なメリットである速度や容量、そして知っておきたいデメリットや注意点、最後にWi-Fiを利用するために必要なものについて、順に確認していきます。

これらの点を把握することで、eSIMとの違いがより明確になります。

無線でネットにつなぐ仕組み

Wi-Fi（ワイファイ）とは、「Wireless Fidelity」の略とされることもありますが、実際には無線LAN（WLAN: Wireless Local Area Network）の普及促進を図る業界団体「Wi-Fi Alliance」によるブランド名です。

技術的にはIEEE 802.11という規格に基づいた無線通信技術を指します。

ご自宅やオフィスに引かれた光回線やケーブルテレビなどのインターネット回線を、バッファロー社やNEC社などが販売する無線LANルーター（Wi-Fiルーター）という機器に接続し、そのルーターが発する電波（主に2.4GHz帯と5GHz帯）を利用して、スマートフォンやパソコン、タブレットなどをワイヤレスでインターネットに接続する仕組みです。

ルーターが基地局のような役割を果たし、その電波が届く範囲内で無線通信を可能にします。

主なメリット（速度・容量）

Wi-Fiの大きなメリットは、光回線などの高速な固定ブロードバンド回線と組み合わせることで、一般的にモバイルデータ通信（eSIMなど）よりも高速で安定した通信が期待できる点です。

特に、月額固定料金でデータ通信量が無制限、あるいは非常に大容量のプランが多いため、データ量を気にすることなく利用できます。

動画ストリーミングサービスでの高画質視聴、オンラインゲーム、大容量ファイルのダウンロードやアップロード、オンライン会議など、データ通信量の多い活動にはWi-Fi接続が適しています。

パソコンやスマートフォン、タブレット、ゲーム機、スマートTV、プリンター、スマートスピーカーなど、複数の機器を同時に接続できるのも大きな利点です。

これらのメリットにより、固定された場所で多くのデータを扱う場合には、Wi-Fiが非常にコスト効率の良い通信手段となります。

デメリットや注意点

Wi-Fiは便利な反面、いくつかのデメリットや注意点も存在します。

最大の制約は、Wi-Fiルーターの電波が届く範囲（通常、屋内やその周辺の数十メートル程度）でしか利用できないことです。

ルーターから離れたり、壁（特にコンクリート製）や階が異なると電波は弱くなります。

移動しながらの利用には基本的に向きません。

他の電子機器（電子レンジなど）や近隣のWi-Fiネットワークからの電波干渉を受けて、通信速度が低下したり不安定になったりすることもあります。

また、セキュリティ面では、特にカフェや駅などで提供される公衆Wi-Fi（フリーWi-Fi）スポットは注意が必要です。

暗号化されていない、または誰でも簡単に接続できるネットワークの場合、通信内容を第三者に傍受されるリスクがあります。

個人情報やパスワードの入力は避けるなどの対策が求められます。

利用に必要なもの（回線・ルーター）

Wi-Fiを利用するためには、いくつかの機器や契約が必要です。

まず、大元となるインターネット回線（光ファイバー、ケーブルテレビ、ADSLなど）の契約が必須となります。

これは、NTT東日本・西日本のフレッツ光や、auひかり、NURO光といったサービスを提供するインターネットサービスプロバイダー（ISP）と契約します。

次に、そのインターネット回線に接続し、Wi-Fiの電波を飛ばすためのWi-Fiルーター（無線LANルーター）が必要です。

多くの場合、ISPからレンタルするか、家電量販店などで別途購入します。

最後に、スマートフォンやパソコンなど、Wi-Fiに接続したいデバイス側にWi-Fi受信機能が内蔵されている必要がありますが、現在市販されているほとんどのデバイスには搭載されています。

必要なもの	具体例	役割
インターネット回線	光ファイバー、ケーブルテレビ、ADSLなど	インターネットへの接続経路を提供する
ISP（プロバイダー）との契約	フレッツ光、auひかり、NURO光、各地域のCATV会社など	インターネット接続サービスを提供する
Wi-Fiルーター（無線LAN）	バッファロー製、NEC製、TP-Link製などの機器	インターネット回線の信号を無線電波（Wi-Fi）に変換・発信する
Wi-Fi対応デバイス	スマートフォン、パソコン、タブレット、ゲーム機など	Wi-Fi電波を受信してインターネットに接続するデバイス

これらが揃って初めて、自宅やオフィスでWi-Fi環境を構築し、利用することができます。

【徹底比較】eSIMとWi-Fi、5つの違いで選ぶポイント

• ポイント1 利用できる場所の違い（屋内・屋外・移動中）
• ポイント2 通信速度と安定性の違い
• ポイント3 料金体系の違い（従量課金・定額）
• ポイント4 設定方法や手軽さの違い
• ポイント5 海外旅行での利用方法の違い

eSIMとWi-Fiは、どちらも現代のデジタルライフに欠かせない無線通信技術ですが、その仕組みや得意なことは全く異なります。

みなさんの利用シーンに合わせて最適な方を選ぶ、あるいは上手に使い分けることが非常に重要です。

ここでは、「利用場所」「速度・安定性」「料金」「設定」「海外利用」という5つの具体的なポイントから、両者の違いを詳しく解説します。

特徴項目	eSIM (セルラー通信)	Wi-Fi (無線LAN)
利用できる場所	携帯電波が届けば広範囲 (移動中もOK)	ルーター設置場所周辺の限定的な範囲 (屋内中心)
通信速度・安定性	場所や状況で変動しやすい (5Gは高速)	固定回線次第で高速・安定 (電波干渉の影響あり)
料金体系	データ容量に応じたプラン・従量課金が多い	月額固定・データ無制限プランが主流
設定方法・手軽さ	オンライン手続き・QRコード等で比較的簡単	回線契約・ルーター設置・パスワード入力が必要
海外旅行での利用	事前購入・設定で現地ですぐ利用可、手間少ない	レンタルルーター、現地SIM購入、ホテルWi-Fi等

この比較を通じて、ご自身のライフスタイルや使い方にどちらがよりフィットしているか、具体的な判断材料を見つけていきましょう。

ポイント1 利用できる場所の違い（屋内・屋外・移動中）

最も基本的な違いは、インターネットに接続できる場所の範囲です。

eSIMはNTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンク、楽天モバイルといった携帯電話会社が提供する広範なモバイルネットワーク（4G LTEや5G）を利用します。

そのため、日本全国の電波が届くエリアであれば、屋外や移動中の電車内など、基本的にどこでもインターネットに接続できます。

一方、Wi-Fiは、光回線などのインターネット回線に接続された無線LANルーター（バッファロー製やNEC製などがあります）が設置された場所、つまり自宅やオフィス、カフェといった特定の場所とその周辺（通常、数十メートル程度）という限られた範囲内でしか利用できません。

結論として、外出先でのインターネット利用が多い方はeSIM、主に自宅やオフィスなど特定の場所で利用する方はWi-Fiが基本的な選択肢となります。

ポイント2 通信速度と安定性の違い

通信の「速さ」と「安定性」も、どちらを選ぶか考える上で重要な要素です。

Wi-Fiは、自宅に引いているNTTのフレッツ光や電力系のeo光といった高速な固定回線に接続されていれば、eSIMよりも安定して高速な通信が期待できます。

例えば、通信速度1Gbps以上の光回線と、最新規格のWi-Fi 6やWi-Fi 6Eに対応した無線LANルーターを組み合わせれば、高画質な動画のストリーミング再生や、大容量ファイルのダウンロードもストレスなく行えます。

ただし、Wi-Fiが使う電波（特に2.4GHz帯）は、電子レンジやBluetooth機器など他の家電製品からの電波干渉を受けやすく、不安定になることがあります。

また、ルーターからの距離が遠くなったり、壁などの障害物があったりすると電波が弱まり、速度が低下します。

eSIMが利用するセルラー通信は、5Gネットワークのエリア内であれば光回線並みの非常に高速な通信も可能ですが、一般的にはWi-Fiほどの最高速度は出にくいです。

また、利用する場所や時間帯による回線の混雑具合、近くの基地局との距離や間の障害物などによって通信速度が変動しやすいという特性があります。

安定した高速通信を求めるなら固定回線に繋がったWi-Fi、場所を選ばない利便性を重視しつつ速度も求めるなら5G対応のeSIM、といった特性を理解して選びましょう。

ポイント3 料金体系の違い（従量課金・定額）

通信にかかる「コスト」の考え方も、eSIMとWi-Fiでは大きく異なります。

Wi-Fiは、多くの場合、プロバイダー（例：So-net、BIGLOBEなど）との契約により、月額固定料金でデータ通信量が無制限、あるいは非常に大容量というプランが主流です。

自宅の光回線であれば、月額料金は戸建てで5,000円～6,000円、マンションで4,000円～5,000円程度が一般的で、データ量を気にせず利用できます。

一方、eSIMの料金プランは、月間に利用できるデータ通信量の上限（例えば3GB、20GB、100GBなど）が決まっており、その容量に応じて月額料金が変わる段階制が主流です。

例えば、月間3GBで約1,000円、20GBで約3,000円といった料金設定が多く見られます（音声通話料金は別途かかる場合があります）。

ahamoやpovo、LINEMOといったオンライン専用プランや、楽天モバイルのように段階制で無制限になるプランもあります。

あまりデータ通信を使わない月は安く抑えられますが、使いすぎると料金が高くなったり、速度制限がかかったりします。

海外旅行で使うeSIMは、滞在日数と必要データ量に応じたプリペイド（買い切り型）プランが豊富です。

アジア周遊プラン7日間・5GBで約2,000円など、行き先や使い方に合わせて選べます。

動画視聴やオンラインゲームなどでデータ通信量が多い方は定額制のWi-Fi、月々のデータ使用量が少ない、または変動が大きい方はeSIMの段階制プランや必要な分だけチャージするプリペイドプランが経済的な選択肢となるでしょう。

ポイント4 設定方法や手軽さの違い

利用を開始する際の「設定の手間」や「手軽さ」にも、それぞれ違いが見られます。

eSIMは、対応するスマートフォン（iPhone XS/XR以降のモデルや、最近のAndroidスマートフォンなど）があれば、通信キャリアのウェブサイトやアプリからオンラインで契約を申し込み、その後送られてくるQRコードをスマートフォンのカメラで読み取るか、アプリ上で設定を完了させるだけで利用を開始できるケースが多いです。

物理的なSIMカードの配送を待つ必要がなく、手続きが早ければ数分～数時間で完了する手軽さが大きなメリットです。

一方、自宅でWi-Fiを利用するためには、まずインターネット回線（光回線など）の契約と、場合によっては開通工事が必要です。

その後、ONU（光回線終端装置）やモデムと無線LANルーターを接続し、ルーターの初期設定（インターネット接続設定やWi-Fiの名前（SSID）、パスワードの設定など）を行います。

設定が完了したら、スマートフォンやパソコンなどの利用したい各デバイスで、設定したWi-Fiネットワークを選択し、パスワードを入力して接続します。

手順が多く、少し手間がかかると感じるかもしれません。

すぐにインターネットを使いたい場合や、SIMカードの管理・交換の手間を省きたい場合はeSIMが便利です。

一度設定してしまえば安定して使える環境をじっくり構築したい場合は、Wi-Fiの初期設定が必要になります。

ポイント5 海外旅行での利用方法の違い

海外旅行や海外出張時のインターネット接続手段として、eSIMとWi-Fiはそれぞれ異なる利便性を提供します。

eSIM対応のスマートフォンをお持ちなら、日本にいる間に、渡航先の国や地域で利用できる通信プランをオンライン（例：Ubigi、airaloなどの専門サービスや、一部国内キャリアの海外用プラン）で購入・設定しておくことができます。

これにより、現地の空港に到着した時点ですぐにスマートフォンでデータ通信を開始でき、非常にスムーズです。

現地の空港でSIMカードを探して購入したり、言葉の壁がある中で設定したりする手間や、日本で借りたWi-Fiルーターを受け取ったり、帰国後に返却したりする手間が一切不要になります。

複数の国を周遊する場合でも、1つのeSIMプランでカバーできるものもあります。

従来のWi-Fiを中心とした海外での接続方法としては、出発前に空港カウンターなどで海外用Wi-Fiルーター（例：グローバルWiFi、イモトのWiFiなど）をレンタルする方法があります。

この場合、ルーターの電源を入れれば複数人や複数のデバイスで同時にWi-Fi接続を共有できるメリットがあります。

あるいは、現地の空港や街中の携帯ショップでプリペイドSIMカードを購入し、自分のSIMフリースマートフォンや持参したモバイルルーターに入れる方法、ホテルやカフェなどが提供する無料Wi-Fiスポットを利用する方法などがあります。

スマートフォンの設定だけで完結する手軽さや身軽さを重視するならeSIMが非常に便利です。

同行者と通信をシェアしたい場合や、eSIM非対応のデバイスを接続したい場合には、レンタルWi-Fiルーターも依然として有効な選択肢といえるでしょう。

上手な活用法と知っておきたい注意点

• 基本的な使い分けでデータ通信量を節約
• 海外旅行時の選択肢とeSIMのメリット
• 通信費を抑えるためのヒント
• テザリング機能の活用
• Wi-Fi Callingで電波の悪い場所もカバー
• eSIM利用開始前の確認事項
• Wi-Fi利用時のセキュリティと速度に関する注意

eSIMとWi-Fi、それぞれの特性を理解したら、次は上手に活用するための方法と、利用する上での注意点を知ることが重要です。

状況に応じた使い分けが、快適さとコスト削減の両立につながります。

具体的には、基本的な使い分けによるデータ節約術、海外旅行でのeSIMの利便性、通信費を抑えるヒント、テザリングやWi-Fi Callingといった便利な機能の活用法を解説します。

さらに、eSIM利用開始前の確認事項や、Wi-Fi利用時のセキュリティ・速度に関する注意点もまとめました。

これらのポイントを押さえることで、みなさんの利用シーンに最適化された通信環境を構築できます。

基本的な使い分けでデータ通信量を節約

データ通信量の節約は、月々の通信費を抑える上で非常に効果的です。

最も基本的な方法は、Wi-Fiが利用できる環境では、積極的にWi-Fiへ接続することです。

例えば、1GBの動画を視聴する場合、モバイルデータ通信（eSIMや物理SIM）で行うと契約プランのデータ量を消費しますが、自宅のWi-Fi（多くは定額制）を使えばデータ量を気にする必要はありません。

スマートフォンの設定で、登録済みのWi-Fiネットワークに自動接続するようにしておくと便利です。

利用シーン	推奨接続方法	理由
自宅・オフィス	Wi-Fi	データ量節約、安定した高速通信の可能性
外出先（移動中）	eSIM（モバイルデータ）	場所を選ばず接続可能
外出先（カフェ等）	Wi-Fiスポット（注意あり）	データ量節約 (セキュリティに注意)

自宅や職場ではWi-Fi、移動中やWi-Fiがない場所ではeSIM、というシンプルなルールを実践することが節約の第一歩となります。

海外旅行時の選択肢とeSIMのメリット

海外旅行中のインターネット接続は、情報収集や連絡手段として不可欠です。

従来の海外用レンタルWi-Fiルーターや現地SIMカード購入に加え、eSIMが新たな選択肢として注目されています。

eSIMの最大のメリットは、渡航前に日本国内でオンラインで契約・設定が完了し、現地到着後すぐに利用を開始できる手軽さです。

例えば、Ubigiやairaloといったサービスでは、渡航先の国や地域、必要なデータ容量、利用期間を選んでオンラインで購入でき、物理SIMの受け取りや返却の手間が一切ありません。

eSIMのメリット（海外利用時）	具体的な内容
手軽さ	オンラインで契約・設定完結、物理SIMの交換・返却不要
即時性	現地到着後すぐにインターネット利用開始可能
柔軟性	滞在日数や必要データ量に応じて多様なプランから選択可能
デュアルSIM活用	日本のSIMと併用可能（電話番号維持など） ※デュアルSIM対応機種の場合

手間なくスムーズに海外でインターネットを使いたい方にとって、eSIMは非常に魅力的な選択肢となるでしょう。

通信費を抑えるためのヒント

eSIMとWi-Fiの使い分け以外にも、通信費を賢く節約する方法はあります。

まず、ご自身のスマートフォンのデータ通信量を定期的にチェックし、利用状況に合った料金プランに見直すことが基本です。

あまりデータ通信を使わない月が多いのに大容量プランを契約している場合は、ahamoやpovo、LINEMOといったオンライン専用プランや、IIJmio、mineoなどの格安SIM事業者が提供する小容量・低価格のeSIMプランへの乗り換えを検討する価値があります。

また、動画視聴時には画質設定を下げる、アプリの自動更新をWi-Fi接続時のみに設定する、といった細かい工夫も効果的です。

節約のヒント	具体的なアクション例
利用状況に合わせたプラン選択	データ使用量を確認し、ahamoやIIJmioなどの低価格・小容量eSIMプランへ乗り換え検討
Wi-Fiの積極活用	自宅・職場では必ずWi-Fiに接続、公衆Wi-Fiスポット利用（セキュリティ注意）
データ消費が多いアプリの設定見直し	動画アプリの画質設定を下げる、アプリ自動更新をWi-Fi限定にする、バックグラウンド通信制限
オフライン機能の活用	地図アプリのオフラインマップダウンロード、音楽・動画の事前ダウンロード

自身の利用状況を把握し、契約プランやスマートフォンの設定を見直すことで、無駄な通信費を削減することが可能です。

テザリング機能の活用

テザリングとは、スマートフォンをモバイルWi-Fiルーターのように利用して、パソコンやタブレットなどの他の機器をインターネットに接続する機能です。

eSIM（または物理SIM）でモバイルデータ通信が可能なスマートフォンがあれば、外出先でパソコン作業をしたい時や、Wi-Fiがない場所でタブレットを使いたい時に非常に便利です。

例えば、カフェでノートパソコン（例: MacBook Air）を使って作業する際、スマートフォンのテザリング機能（iPhoneでは「インターネット共有」と呼ばれる）をオンにすれば、別途Wi-Fiルーターを用意する必要がありません。

ただし、テザリング利用時はスマートフォンのデータ通信量を消費するため、契約プランのデータ容量に注意が必要です。

また、スマートフォンのバッテリー消費も早くなる傾向があります。

テザリングの活用シーン例	メリット	注意点
外出先でのPC作業	別途Wi-Fiルーター不要、場所を選ばず作業可能	スマホのデータ容量消費、バッテリー消費増
Wi-Fi非対応機器の接続	Wi-Fi機能がない機器もネット接続可能（例：一部ゲーム機）	スマホのデータ容量消費、バッテリー消費増
移動中のタブレット利用	新幹線や車内などでタブレット（例：iPad）をネット接続可能	スマホのデータ容量消費、バッテリー消費増、通信速度は環境依存
緊急時の回線確保	自宅の固定回線トラブル時に一時的なインターネット接続を確保	スマホのデータ容量消費、バッテリー消費増

テザリングは、スマートフォン一つで様々な機器をインターネットに繋げられる便利な機能ですが、データ容量とバッテリー消費を意識して活用しましょう。

Wi-Fi Callingで電波の悪い場所もカバー

Wi-Fi Calling（ワイファイ コーリング）とは、携帯電話の電波が届きにくい場所でも、Wi-Fiネットワーク経由で音声通話の発着信ができる機能です。

例えば、自宅やオフィスの一部でスマートフォンの電波が不安定（アンテナ表示が1本など）でも、安定したWi-Fiに接続していれば、通常の電話番号を使ってクリアな音声で通話が可能になります。

特別なアプリは不要で、スマートフォンの設定から機能をオンにするだけで利用できる場合が多いです（別途申し込みが必要な場合もあります）。

NTTドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルの大手4キャリアをはじめ、多くのMVNOでも提供されていますが、利用にはお使いのスマートフォン機種と通信キャリアの両方がWi-Fi Callingに対応している必要があります。

Wi-Fi Callingのメリット	利用条件など
電波不安定な場所での通話改善	自宅、地下、ビル内など、携帯電波が弱い場所でも安定した通話が可能
追加料金不要（基本的に）	通常の国内通話料が適用される（海外利用時は異なる場合あり）
いつもの電話番号を利用	専用アプリ不要、標準の電話アプリで発着信可能
海外での利用（条件による）	海外滞在中にWi-Fi経由で日本国内への発信が国内通話扱いになる場合がある ※要確認

Wi-Fi Callingは、Wi-Fi環境を最大限に活用し、携帯電波の弱さをカバーできる便利な機能ですので、対応状況を確認してみる価値があります。

eSIM利用開始前の確認事項

eSIMの利用を始める前に、いくつか確認しておくべき重要なポイントがあります。

最も重要なのは、お使いのスマートフォンがeSIMに対応しているかどうかです。

iPhoneであれば、iPhone XS、iPhone XS Max、iPhone XR以降のモデルが対応しています。

Androidスマートフォンも、Google PixelシリーズやGalaxy、Xperia、AQUOS phoneなどの比較的新しいモデルで対応が進んでいます。

加えて、利用したい通信キャリアがeSIMを提供しているか、希望する料金プランがeSIMに対応しているかの確認も必要です。

確認事項	チェックポイント
スマートフォンのeSIM対応状況	メーカー公式サイトや端末設定で確認（例：iPhoneなら設定 > モバイル通信 > 「eSIMを追加」があるか）
SIMロック解除の有無	他社のeSIMを利用する場合、SIMロック解除が必要な場合がある ※購入元キャリアに確認
通信キャリアのeSIM提供状況	利用したいキャリア（NTTドコモ、ahamo, IIJmioなど）の公式サイトで確認
料金プランのeSIM対応状況	希望するプランがeSIMで契約可能か確認
eSIM設定に必要なもの	Wi-Fi環境（プロファイルダウンロード用）、QRコード表示用デバイス（必要な場合）、本人確認書類（契約時）など

事前にこれらの点を確認しておくことで、スムーズにeSIMの利用を開始できます。

Wi-Fi利用時のセキュリティと速度に関する注意

Wi-Fiは便利ですが、利用時にはセキュリティと通信速度に関して注意すべき点があります。

特に注意が必要なのは、カフェや駅などで提供されている公衆Wi-Fi（フリーWi-Fi）の利用です。

パスワードなしで接続できるものや、簡単なパスワードで誰でも利用できるものは、通信内容を第三者に傍受されるリスクがあります。

金融機関のサイトへのログインや、個人情報、クレジットカード情報の入力は避けるべきです。

自宅のWi-Fiであっても、ルーターのパスワードを初期設定のままにせず、推測されにくい複雑なものに変更し、暗号化方式はWPA3またはWPA2を選択することが推奨されます。

速度に関しては、ルーターの設置場所（家の中心、障害物の少ない場所）や、ルーターの規格（Wi-Fi 6やWi-Fi 6E対応か）が影響します。

電子レンジや他の無線機器との電波干渉も速度低下の原因となりえます。

注意点	対策・確認ポイント
セキュリティ
公衆Wi-Fi	提供元が信頼できるか確認、パスワードなし・簡易パスワードのネットワークでの重要情報の送受信は避ける、VPN利用を検討
自宅Wi-Fi	ルーターのログインパスワード変更、Wi-Fiパスワードを複雑化、暗号化方式をWPA3/WPA2に設定、ファームウェアを最新に保つ
速度
ルーター設置場所	家の中心付近、床から離れた高い場所、障害物（壁、金属製の棚など）の少ない場所に設置
ルーター規格	Wi-Fi 6 (IEEE 802.11ax) や Wi-Fi 6E 対応ルーターへの買い替え検討（対応デバイスも必要）
電波干渉	ルーターのチャンネル変更（5GHz帯利用推奨）、電子レンジやコードレス電話

よくある質問（FAQ）

まとめ

この記事では、eSIMとWi-Fiという二つの異なる無線通信技術について、その仕組みや特徴、メリット・デメリットを比較解説しました。

最も重要な点は、利用する技術と得意な場所が根本的に違うことを理解し、使い分けることです。

• eSIMとWi-Fiの根本的な違い（利用技術、得意な場所）
• eSIMの手軽さと海外利用での利便性
• Wi-Fiによる特定場所での高速・大容量通信
• 利用シーンに合わせた使い分けによる快適性とコスト節約

この記事を参考に、みなさんのスマートフォンの使い方やライフスタイルに合った通信方法を見直してみましょう。

プラン変更や新しいデバイスの検討に、ぜひ今回の知識を活用してください。