60代喪服の選び方｜マナーを守る5つのポイントと失敗しない注意点

60代からの喪服選びでは、マナーを守ることはもちろん、年齢にふさわしい品格と着心地の良さを両立させることが大切になります。

この記事では、喪服の基本的なマナーから、60代の方が失敗しないための具体的な選び方の5つのポイント、スタイル別の特徴、季節への対応、小物の選び方まで詳しく解説します。

• 60代にふさわしい喪服の選び方（マナー・品格・着心地）
• 喪服の種類（正喪服・準喪服・略喪服）と着用場面
• スタイル（ワンピース・アンサンブル・パンツ）の特徴
• 小物（バッグ・靴・アクセサリー）のマナーと選び方

60代の喪服選びで重視すべき3つの要素

• 年齢にふさわしい品格の表現
• 故人や遺族への敬意を示すマナーの遵守
• 長時間でも安心な着心地の良さ
• 多様な場面に対応できる準喪服の重要性

60代の方が喪服を選ぶ際には、様々な要素を考慮する必要がありますが、特に 年齢にふさわしい品格 を表現することが大切です。

それに加えて、故人や遺族への敬意を示すマナーの遵守、 長時間でも安心な着心地の良さ、そして多くの場面に対応できる 準喪服の重要性 も理解しておくと良いでしょう。

これらの要素を押さえることで、弔事の場にふさわしい、自信を持てる一着が見つかります。

年齢にふさわしい品格の表現

品格とは、その人の持つ気高さや上品さを指します。

60代の喪服選びでは、これを 素材やデザイン で表現することが求められます。

具体的には、一般的な黒い服とは異なる 深染め加工された「深い黒」の生地 を選び、光沢のない上質な素材感にこだわりましょう。

デザインは、襟元の詰まったシンプルなものや、体型を自然にカバーするゆったりとしたシルエットがおすすめです。

スカート丈は、立っても座っても膝が完全に隠れる ふくらはぎ丈（ミディ丈）が最適 です。

これらの点を意識することで、成熟した大人の女性としての落ち着きと、弔事の場にふさわしい敬意を示す装いが完成します。

故人や遺族への敬意を示すマナーの遵守

喪服を着用する上で最も重要なのは、 故人や遺族に対する敬意を表す ことです。

そのためには、基本的なマナーをしっかりと守る必要があります。

まず、喪服には 正喪服、準喪服、略喪服の3つの格式 があり、自身の立場や弔事の種類に合わせて選びます。

一般的に多く着用されるのは準喪服です。

服装のデザインは、肌の露出を極力抑えることが原則。

襟元が開きすぎず、袖丈は肘が隠れ、スカート丈は膝が隠れるもの を選びます。

バッグや靴、アクセサリーなどの小物も、光沢のない黒で統一し、シンプルなデザインのものを選びましょう。

項目	マナー	補足
格式	立場や場面に合わせる（通常は準喪服で可）	詳細は後述
露出	控える（襟元、袖、スカート丈）	肘・膝が隠れる丈が基本
素材	光沢のない深い黒
バッグ	黒の布製、小ぶり、シンプル	革製は光沢なければ可、爬虫類・エナメル不可
靴	黒の布製・合成皮革、シンプルなパンプス	ヒールは3～5cm程度、光沢・装飾不可
アクセサリー	基本は結婚指輪のみ、パール（一連）は可	二連パール、他の宝石・光る金属は不可
ストッキング	黒の無地（30デニール程度）	柄・網タイツ不可

マナーを守った装いは、故人を偲び、遺族に寄り添う気持ちを無言のうちに伝える大切な要素です。

長時間でも安心な着心地の良さ

弔事は、立ったり座ったり、移動したりと、意外に身体的な負担がかかるものです。

特に60代になると、 体型の変化や長時間の着用による疲れ を感じることも少なくありません。

そのため、喪服を選ぶ際には、 締め付け感が少なく、楽に過ごせる着心地の良さ も重視しましょう。

例えば、ウエスト周りにゆとりのあるデザインや、腕が動かしやすいアームホールの設計、ストレッチ性のある素材などが挙げられます。

約7割のシニア女性が気にすると言われる着脱のしやすさ もポイントで、腕が上がりにくくても楽に着替えられる「前開きファスナー」仕様のワンピースは非常に人気があります。

品格やマナーはもちろん大切ですが、心身ともに負担なく過ごせる着心地の良い喪服を選ぶことも、落ち着いて故人を偲ぶために重要な要素です。

多様な場面に対応できる準喪服の重要性

喪服には格式があると説明しましたが、現代において最も広く着用されているのが 「準喪服」 です。

これはブラックフォーマルのワンピースやアンサンブルなどを指します。

準喪服は、 お通夜、葬儀・告別式、一周忌までの法要など、ほとんどの弔事に対応可能 な汎用性の高さが特徴です。

以前は喪主や近親者は最も格式の高い「正喪服」を着用するのが一般的でしたが、近年では生活様式の変化などから、喪主や親族であっても準喪服を着用するケースが増えています。

準喪服を着用してもマナー違反にはあたりません。

どのような立場で弔事に参加することになっても対応できるよう、基本の一着として質の良い準喪服を用意しておくことが、いざという時の安心につながります。

品格とマナーを守る喪服選び5つのポイント

• ポイント1 深い黒と上質な素材選び
• ポイント2 露出を控えた落ち着きあるデザイン
• ポイント3 体型をカバーするシルエットと着脱の配慮
• ポイント4 膝が隠れる適切なスカート丈（ミディ丈推奨）
• ポイント5 肘が隠れる袖丈の選択

60代の喪服選びでは、故人や遺族への敬意を示す マナーを守ること が何よりも重要です。

具体的には、深い黒と上質な素材選び、露出を控えたデザイン、体型をカバーするシルエット、適切なスカート丈、肘が隠れる袖丈 の5つのポイントを押さえる必要があります。

これら5つのポイントを意識することで、年齢にふさわしい品格のある装いが完成します。

ポイント1 深い黒と上質な素材選び

喪服における「黒」は、単なる色ではありません。

深い黒（漆黒） であることが、格式と品質を示す重要な要素となります。

これは特殊な染色（深染め加工など）によるもので、一般的な黒い服とは 明らかに色が異なります。

実際に店舗で比較すると、その違いがよく分かります。

項目	喪服の黒 (深い黒)	一般的な黒い服
色味	より深く、吸い込まれるような黒	やや浅く、他の色が混じる場合あり
光沢	基本的になし (マットな質感)	素材により光沢がある場合あり
染め方	特殊な深染め加工など	通常の染色
与える印象	格式高い、厳粛	カジュアル、ファッショナブル

光沢のある素材は避け、落ち着いた印象を与える上質な生地を選ぶことが、品格につながります。

ポイント2 露出を控えた落ち着きあるデザイン

弔事の場では、肌の露出を最大限に抑えること が基本的なマナーです。

襟ぐりが深く開いたデザインや、体のラインが強調されるようなデザインは避け、シンプルで落ち着きのあるもの を選びましょう。

具体的には、襟元が詰まったデザインや、首に自然に沿うようなボートネック、上品なノーカラーやショールカラーなどが挙げられます。

項目	適切なデザイン例	避けるべきデザイン例
襟元	クルーネック、ボートネック、ノーカラー、ショールカラー	深いVネック、オフショルダー
装飾	なし、または控えめなパイピングやタック	華美なレース、フリル、リボン、ビジュー
シルエット	体のラインを拾いすぎない、ややゆったりめ	ボディコンシャス、タイトすぎるデザイン

華美な装飾は避け、あくまで故人を偲ぶ場にふさわしい、控えめで上品なデザインを選択してください。

ポイント3 体型をカバーするシルエットと着脱の配慮

60代になると体型の変化を感じる方も少なくありません。

無理なく着用でき、かつ美しく見えるシルエット を選ぶことが大切です。

ウエスト周りやヒップラインを自然にカバーしてくれる Aラインや、ややゆったりめのボックスシルエットのワンピース などがおすすめです。

締め付け感が少なく、長時間着用しても疲れにくいデザインを選びましょう。

見た目の美しさだけでなく、ご自身の体の状態に合った着心地の良いものを選ぶことが、安心して弔いの場に臨むためのポイントになります。

ポイント4 膝が隠れる適切なスカート丈（ミディ丈推奨）

スカート丈は、喪服のマナーにおいて非常に重要なポイント です。

短すぎると品格を損ない、長すぎると格式が変わってしまう可能性があります。

基本は、立っている時も椅子に座った時も、必ず膝が完全に隠れる長さ であることです。

具体的には「膝下5cm」以上を目安にしましょう。

丈の名称	長さの目安	60代喪服としての評価	備考
ミニ丈	膝上	× (不適切)	マナー違反
膝丈	膝がちょうど隠れる	△ (やや短い可能性)	座ると膝が見える場合がある
ミディ丈	ふくらはぎの中ほど～下	◎ (最適)	品格があり、動きやすい。準喪服として標準的
ロング丈	くるぶし丈	△ (準喪服には不向き)	正喪服の格式と見なされる可能性がある
マキシ丈	床につく長さ	× (不適切)	喪服には適さない

60代の女性には、品格と落ち着きがあり、準喪服として最も標準的な「ミディ丈（ふくらはぎ丈）」がおすすめです。

ポイント5 肘が隠れる袖丈の選択

スカート丈と同様に、袖丈も肌の露出を抑えるという観点から重要 です。

原則として長袖が最も望ましい とされていますが、季節やデザインによっては、肘が完全に隠れる五分袖や七分袖 でも問題ありません。

袖丈の名称	長さの目安	喪服としての評価	備考
ノースリーブ	肩まで	× (不適切)	ジャケット着用時以外はNG
半袖	肘より上	× (不適切)	ジャケット着用時以外はNG
五分袖	肘が隠れる	◯ (許容)	夏場や動きやすさ重視の場合に可
七分袖	肘下～手首の中間	◯ (許容)	夏場や動きやすさ重視の場合に可。上品な印象
長袖	手首まで	◎ (最適)	最もフォーマルで、季節を問わず基本となる長さ

半袖やノースリーブは、ジャケットを常に羽織る場合を除き、単体での着用はマナー違反となるため避けましょう。

スタイル別喪服の特徴と選び方

• ワンピース 手軽さとデザインの確認点
• アンサンブル 格調高さと体温調節の利便性
• パンツスーツ 動きやすさとマナー面の注意点

喪服を選ぶ際、どのスタイルを選ぶかは、見た目の印象だけでなく、着心地や利便性にも大きく関わる重要なポイントです。

ご自身の体型や好み、そして弔事の場面に合わせて最適な一着を選びましょう。

ここでは、代表的なスタイルであるワンピース、アンサンブル、パンツスーツについて、それぞれの特徴と60代の方が選ぶ際のポイントを解説します。

スタイル	特徴	メリット	60代向けポイント
ワンピース	一枚で着用可能、デザイン豊富	手軽さ、夏場でも比較的涼しい	前開きファスナー仕様で着脱しやすいもの、体型カバーデザイン
アンサンブル	ジャケットとワンピースのセット、格式高い	体温調節可能、フォーマル度が高い	幅広い場面に対応、ジャケットデザインで印象を変えられる
パンツスーツ	ジャケットとパンツのセット、動きやすい	動きやすさ、防寒性、足さばきの良さ	ブラックフォーマル専用品を選ぶ、インナー選びに注意

それぞれのスタイルに良さがあります。

特徴を理解し、ご自身が最も重視する点（例えば、着脱のしやすさ、格式、動きやすさなど）に合わせて選ぶことが、後悔しない喪服選びにつながります。

ワンピース 手軽さとデザインの確認点

ワンピーススタイルは、上下一体となっているため、コーディネートに迷うことなく一枚でフォーマルな装いが完成する手軽さが最大の魅力です。

ジャケットとセットになったアンサンブルの一部としても用いられますが、デザインによっては夏場などワンピース単体での着用も可能です。

そのため、ジャケットを脱いだ状態でも、肌の露出が少なく、きちんと見えるデザインかどうかの確認が大切になります。

特に襟元の開き具合や袖丈はしっかりチェックしましょう。

確認項目	ポイント
デザイン	襟元の開きが少ない、袖がある（半袖・ノースリーブは避ける）
素材	透け感が少ない、シワになりにくい
機能性	前開きファスナーだと着脱が楽
シルエット	体のラインを拾いすぎない、ややゆったりめ
ジャケットとの相性	アンサンブルとして着る場合、バランスが良いか

一枚で着用する場面も想定し、デザインだけでなく、ご自身の着替えやすさといった機能面も考慮して選ぶことをおすすめします。

アンサンブル 格調高さと体温調節の利便性

アンサンブルは、ワンピースとジャケット（またはボレロ）がセットになったスタイルで、喪服として最も標準的で格式高い印象を与えます。

ワンピースとジャケットが共布で作られているため、統一感があり、改まった場にふさわしい装いとなります。

最大の利点は、ジャケットの着脱によって体温調節がしやすいことです。

例えば、移動中や屋外ではジャケットを着用し、暖房の効いた室内ではジャケットを脱ぐといった対応が可能です。

このため、季節を問わず快適に過ごしやすく、さまざまな弔事の場面で重宝します。

確認項目	ポイント
セット内容	ワンピースとジャケット（またはボレロ）が共布か
ジャケットのデザイン	襟のデザイン（テーラード、ノーカラー等）、着丈が体型に合っているか
ワンピースのデザイン	単体で着用しても問題ないデザインか（袖丈、襟元）
全体のバランス	着用時にすっきり見えるか、重たい印象にならないか
素材の季節感	オールシーズン対応か、夏用・冬用か

格式を重視したい場合や、一着で幅広い場面や季節に対応したいと考える方にとって、アンサンブルは非常に実用的な選択肢と言えるでしょう。

パンツスーツ 動きやすさとマナー面の注意点

パンツスーツは、ジャケットとパンツがセットになったスタイルで、動きやすさや足元の冷え対策に優れている点が特徴です。

特に、立ったり座ったりの動作が多い場合や、正座が苦手な方、寒い季節の弔事などでは、その快適さがメリットとなります。

ただし、喪服としてのパンツスーツ選びには注意が必要です。

一般的なビジネス用の黒いパンツスーツではなく、必ず「ブラックフォーマル」として販売されている、光沢のない深い黒色の専用品を選びましょう。

また、インナーには透け感がなく、襟元の詰まったシンプルな黒のブラウスなどを合わせるのがマナーです。

確認項目	ポイント
商品カテゴリ	必ず「ブラックフォーマル」用を選ぶ
色・素材	光沢のない深い黒、フォーマルに適した素材
デザイン	露出が少なく、シンプルなデザイン
インナー	黒で無地、透けない素材、襟元が詰まったデザイン（ブラウス等）
着心地・動きやすさ	ストレッチ素材など、快適に過ごせるか
マナーとしての許容範囲	地域の慣習や葬儀の格式によっては避けた方が良い場合もある

パンツスーツは、動きやすさを重視する方にとっては有力な選択肢ですが、比較的新しいスタイルであるため、周囲への配慮も必要です。

マナーをしっかり守って着用することが大切になります。

季節や小物まで配慮した喪服の着こなし

• 夏場の暑さ対策と素材選び
• 冬場の寒さ対策とインナーの工夫
• 必須アイテム 黒のフォーマルコートの選び方
• ハンドバッグ 素材とデザインのマナー
• 靴 素材とデザインのマナー
• アクセサリー 唯一許される真珠の選び方
• ストッキングの色と厚さの基本
• 髪型とメイク 控えめな整え方

喪服本体だけでなく、季節や小物選びへの配慮が、より丁寧で洗練された印象を与える上で重要です。

夏場の暑さ対策（夏場の暑さ対策と素材選び）、冬場の寒さ対策（冬場の寒さ対策とインナーの工夫）、コートの選び方（必須アイテム 黒のフォーマルコートの選び方）、バッグ（ハンドバッグ 素材とデザインのマナー）、靴（靴 素材とデザインのマナー）、アクセサリー（アクセサリー 唯一許される真珠の選び方）、ストッキング（ストッキングの色と厚さの基本）、髪型・メイク（髪型とメイク 控えめな整え方）まで、細部にわたるマナーとポイントを解説します。

小物アイテム	主な素材	デザインのポイント	色	備考
ハンドバッグ	布（ポリエステル、サテン等）	小ぶり、シンプル、金具少なめ	黒	光沢なし、爬虫類系NG
靴	布、合成皮革（光沢なし）	シンプルなパンプス	黒	ヒール3-5cm太め、オープントゥNG
アクセサリー	真珠（パール）	一連ネックレス、一粒イヤリング	白・黒・グレー	結婚指輪以外は基本NG、二連ネックレスNG
ストッキング	ナイロン、ポリウレタン	無地	黒	30デニール前後目安、柄物・網タイツNG
フォーマルコート	ウール、カシミヤ	シンプル（ステンカラー等）	黒	光沢・毛皮・ダウンNG、会場に入る前に脱ぐ

季節や持ち物一つひとつに心を配ることで、故人への深い敬意と遺族への思いやりを示すことができます。

夏場の暑さ対策と素材選び

夏の弔事では、暑さの中でもフォーマルさとマナーを守ることが求められます。

通気性が良く、見た目にも涼やかな夏用のブラックフォーマル素材（サマーウールや、接触冷感機能のあるポリエステルなど）を選ぶことが重要です。

例えば、ジャケットなしでも失礼にあたらないよう、袖丈が肘まで隠れるデザインのワンピースを選ぶなどの工夫が有効です。

汗をかいても快適に過ごせるよう、素材選びとデザインに配慮しましょう。

冬場の寒さ対策とインナーの工夫

冬場の弔事では、寒さ対策をしつつ、着ぶくれせずにすっきりとした装いを保つことが大切になります。

喪服の下には、保温性が高く、襟元や袖口から見えない黒やベージュの機能性インナー（例えば、ユニクロのヒートテックなど）を着用するのがおすすめです。

ウール混紡など、やや厚手の生地でできた喪服を選ぶのも良い方法です。

見えない部分での工夫で、暖かく、かつ品格を保った着こなしを実現できます。

必須アイテム 黒のフォーマルコートの選び方

冬場の弔事や、季節の変わり目の肌寒い日には、喪服の上に羽織るフォーマルなコートが必須アイテムとなります。

素材はウールやカシミヤが基本で、デザインはステンカラーコートやチェスターコートのようなシンプルでクラシックなものが適しています。

丈は喪服のスカートが隠れる長さが良いでしょう。

必ず黒色を選び、光沢のある素材や毛皮、ダウンなどは避けます。

項目	OK	NG
色	黒	黒以外（濃紺・グレーは避けるのが無難）
素材	ウール、カシミヤ	光沢のある素材、毛皮、革、ダウン
デザイン	シンプル（ステンカラー、チェスター）	華美な装飾、カジュアルすぎるデザイン
着用マナー	会場に入る前に脱ぐ	会場内で着用したまま

弔事用のコートを1着準備しておくことで、どんな季節でもマナーを守ったきちんとした印象を与えられます。

ハンドバッグ 素材とデザインのマナー

喪服に合わせるハンドバッグは、全体の印象を左右する重要な小物です。

最も正式なのは黒の布製（ポリエステル、サテンなど）で、光沢のないマットな質感が基本です。

革製も使用可能ですが、光沢や型押し、ワニ革やヘビ革などの爬虫類系は避けましょう。

デザインは小ぶりで、金具が目立たず、ブランドロゴも控えめなシンプルなものを選びます。

控えめな中にも品格が感じられる、弔事の場にふさわしいハンドバッグを選びましょう。

靴 素材とデザインのマナー

足元も意外と見られているものです。

喪服に合わせる靴もマナーを守って選びましょう。

素材は黒で光沢のない布製や合成皮革が最適です。

本革も可能ですが、光沢が強いものや装飾的なものは避けます。

デザインは飾りのないシンプルなパンプスが基本で、つま先はラウンドトゥやスクエアトゥが無難です。

ヒールの高さは3cmから5cm程度の太めのものが歩きやすく、フォーマル感もあります。

項目	OK	NG
色	黒	黒以外
素材	布、合成皮革（光沢なし）、本革	エナメル、スエード、爬虫類系
デザイン	シンプルなパンプス、ラウンドトゥ	オープントゥ、バックストラップ、ピンヒール、ウェッジソール、装飾
ヒール高	3～5cm程度の太めヒール	高すぎるヒール、低すぎるヒール（ローファーなどカジュアルなもの）

オープントゥやバックストラップ、サンダル、ブーツはマナー違反となるため注意が必要です。

アクセサリー 唯一許される真珠の選び方

弔事の場では、基本的にアクセサリーは結婚指輪以外は身に着けないのがマナーです。

唯一例外として許されているのが、「涙の象徴」とされる真珠（パール）です。

白、黒、グレーいずれかの一連ネックレス（長さは40cm前後）と、一粒タイプのイヤリングまたはピアスを選びます。

二連以上のネックレスや、大粒すぎるもの（目安として直径7mmから8mm程度まで）、デザイン性の高いものは避けましょう。

真珠以外の宝石や、光る金属（ゴールド、シルバーなど）は身に着けないように注意します。

ストッキングの色と厚さの基本

喪服を着用する際は、足元のストッキング選びも大切なマナーの一部です。

必ず無地の黒いストッキングを着用します。

厚さは、肌が透けすぎない30デニール前後が一般的とされていますが、季節や地域によって調整しましょう。

夏場は20デニール程度でも構いませんが、透け感が強すぎないものを選びます。

項目	推奨	注意点
色	黒	肌色（略式とされる場合がある）、カラー
柄	無地	柄物、ラメ入り、網タイツ
厚さ	30デニール前後（目安）	厚すぎるタイツ（カジュアルに見える）
状態	伝線していない綺麗なもの	伝線しているもの

網タイツや柄物、ラメ入りはもちろん、厚すぎるタイツ（60デニール以上など）もカジュアルな印象になるため避けるのが無難です。

髪型とメイク 控えめな整え方

喪服に合わせた髪型とメイクは、清潔感と控えめさが重要になります。

髪型は、顔周りをすっきりとさせ、長い髪は低い位置で一つにまとめます。

お辞儀をした際に髪が邪魔にならないように配慮しましょう。

ヘアアクセサリーを使う場合は、黒のシンプルなゴムやバレッタを選びます。

メイクは「片化粧」と呼ばれる、色味を抑えたナチュラルメイクが基本です。

ファンデーションはマットな質感にし、アイシャドウやチーク、口紅は使わないか、使う場合でもベージュ系など目立たない色にします。

ラメやパール感のあるものは避けましょう。

香りの強い香水や派手なネイルもマナー違反となるため注意が必要です。

購入前に知っておきたい喪服の基本と準備

• 喪服の3つの格式 正喪服・準喪服・略喪服
• 現代の主流 準喪服が広く受け入れられる理由
• お通夜での服装マナーの変遷
• 購入場所 百貨店・専門店・オンラインの比較
• レンタルサービスのメリット・デメリット
• 急な訃報に備える事前の準備

喪服を準備する上で最も重要なのは、基本的な知識を身につけ、いざという時に備えておくことです。

このセクションでは、喪服の格式、現代の主流となっている服装、お通夜での服装マナー、購入場所やレンタルサービス、そして急な訃報に備えるための準備について詳しく解説を進めます。

購入場所	メリット	デメリット
百貨店	専門知識を持つ販売員への相談、試着が可能	価格帯が高めになる傾向
専門店	品揃えが豊富、質の高い商品、専門的なアドバイス	店舗数が限られる場合あり
オンライン	時間や場所を選ばず探せる、比較検討が容易	試着不可、サイズ感・質感の確認が難しい

これらの基本を押さえることで、突然の訃報にも慌てず、故人や遺族に対して失礼のない、適切な対応ができます。

喪服の3つの格式 正喪服・準喪服・略喪服

喪服には、格式の高い順に「正喪服（せいもふく）」「準喪服（じゅんもふく）」「略喪服（りゃくもふく）」という3つの種類があります。

それぞれの喪服は着用する立場や参列する弔事の場面によって異なり、TPOに合わせた適切な選択が非常に重要になります。

格式	特徴（女性・洋装の場合）	主な着用者	主な着用場面
正喪服	最も格式高いブラックフォーマル、肌の露出を最大限に抑えるデザイン	喪主、三親等までの遺族	葬儀・告別式、一周忌（～三回忌）までの法要
準喪服	一般的なブラックフォーマル（ワンピース、アンサンブル等）	喪主、親族、一般参列者	お通夜、葬儀・告別式、法事全般
略喪服	黒・濃紺・グレー等の地味なワンピース、スーツ等	主に一般参列者	急な弔問、三回忌以降の法要、「平服」指定時、お別れの会

ご自身の立場や、お通夜、葬儀・告別式、法事といった弔事の種類を確認し、ふさわしい格式の喪服を選びましょう。

現代の主流 準喪服が広く受け入れられる理由

現代の弔事においては、「準喪服」が最も一般的であり、多くの方が立場に関わらず着用しています。

かつては喪主や近しい親族は正喪服を着用するのが基本でしたが、準備の手間や現代の生活様式に合わせて、準喪服を選ぶケースが非常に増えました。

和装の正喪服を着用される方は特に減少しています。

準喪服は汎用性が高く、お通夜から葬儀・告別式、一般的な法事まで幅広く対応できるため、迷った際の基本的な選択肢として覚えておくと良いです。

お通夜での服装マナーの変遷

お通夜は、故人と特に親しかった人々が、葬儀・告別式の前夜に集まり、別れを惜しむ大切な儀式です。

以前は、「訃報を聞いて急いで駆けつけた」という気持ちを表すために、あえて準喪服ではなく略喪服（地味な平服）で参列するのが望ましいとされていました。

しかし、現在では事前にお通夜の日時を知らされることが多く、準備の時間があるため、準喪服で参列する方が一般的になっています。

お通夜に準喪服を着用してもマナー違反にはあたりません。

もちろん、仕事帰りなどで本当に時間がなく、準備ができなかった場合は、略喪服で駆けつけても問題ありません。

購入場所 百貨店・専門店・オンラインの比較

喪服を購入する場所は、主に百貨店、フォーマルウェア専門店、紳士服・婦人服チェーン店、大型スーパー、オンラインストアなどが考えられます。

それぞれに品揃え、価格帯、サービス内容（試着の可否、専門スタッフの有無など）が異なります。

例えば、専門の販売員に相談しながら試着してじっくり選びたい場合は百貨店や専門店、多様な商品を比較検討したい、あるいは手軽に購入したい場合はオンラインストアが候補となるでしょう。

ご自身の予算や、何を重視するか（品質、価格、利便性など）を考え、最適な購入場所を選びましょう。

レンタルサービスのメリット・デメリット

喪服は購入する以外に、レンタルサービスを利用するという選択肢もあります。

レンタルの最大のメリットは、購入するよりも費用を抑えられる可能性がある点と、自宅での保管場所を確保する必要がない点です。

着用する機会がそれほど多くない場合や、急に正喪服など、普段持っていない格式の喪服が必要になった場合には便利な方法と言えます。

メリット	デメリット
購入より費用を抑えられる可能性	デザインやサイズの選択肢が限られる場合あり
保管場所が不要	60代向けのデザインやサイズの在庫が少ない可能性
一時的なニーズに対応可能（例：正喪服）	急な不幸の場合、手配が間に合わないリスクあり

ただし、レンタルサービスでは、デザインやサイズの選択肢が購入する場合に比べて限られる可能性があります。

特に、急な訃報の場合には手配が間に合わないリスクも考慮する必要があります。

急な訃報に備える事前の準備

訃報は、多くの場合予期せず突然やってきます。

いざという時に慌てず、落ち着いて対応するためには、事前に喪服やバッグ、靴、アクセサリーといった必要な小物を一式準備しておくことが何よりも重要です。

特に60代になると、ご自身の親族だけでなく、配偶者の親族や友人・知人関係など、弔事に出席する機会が増える可能性が高まります。

早めに準備を整えておくことが、心の余裕につながります。

準備しておくものリスト	確認事項
準喪服	サイズが合っているか、汚れやシワがないか
バッグ	弔事用として適切か
靴	汚れがなく、ヒールがすり減っていないか
アクセサリー（真珠）	ネックレスの糸が緩んでいないか
ストッキング	予備を含めて用意
数珠	宗派に合わせたもの（あれば）
ふくさ	香典を包むために必要
ハンカチ	白または黒の無地のもの

事前に一通り揃え、年に一度はサイズ感や状態を確認しておく習慣をつけると良いでしょう。

そうすることで、突然の知らせにも、故人を偲ぶ気持ちに集中して、落ち着いて対応できます。

よくある質問（FAQ）

まとめ

この記事では、60代女性が喪服を選ぶ際に知っておきたい、マナーから具体的な選び方までを解説いたしました。

最も大切なのは、立場や場面に合わせた格式（特に準喪服）を理解して、マナーを守る点です。

• 格式（準喪服が基本）と場面に合わせた選択
• 60代らしい品格（深い黒、上質素材、適切な丈）
• 着心地と着脱のしやすさへの配慮
• 小物類（バッグ、靴、真珠など）のマナー遵守

これらのポイントを押さえることで、故人への敬意を示しつつ、ご自身も落ち着いて過ごせるはずです。

この記事を参考に、最適な一着を見つける準備を始めてみましょう。